せりふを母音にして棒読みするのが日課
──10年にわたり、試行錯誤しながらジーニー役を演じてきたわけですが、血反吐を吐くような努力があるんでしょうね。せりふや動きは徹底的に叩き込んで…。
瀧山:それはそうですね。私は毎日2回ランニングしているんですが、走りながらジーニーのせりふをすべて母音だけで棒読みするようにしています。
時間がもったいないので声帯を温めるのと体を温めるのを一緒にしちゃっているだけなんですが、棒読みすることで一度ついてしまった抑揚を洗っている(リセットする)んです。棒読みのほかにも、母音法で言ってみたり、お経みたいに言ってみたり、全部を関西弁にしてみたりもしてみます。それぞれ15分ぐらい。出演しない日でも毎日やっていますね。
──そういえば、ずいぶん体形がスリムになられましたよね。体重がある程度ないと声が出にくいとも聞いたことがあるんですが、発声に支障はないのですか?
瀧山:ピークはいまより20kgも重かったんですよ(苦笑)。かといって、いまと比べて当時はめちゃめちゃ声が出ていたかというと、そうでもないので、体重は関係ないと思います。
そもそも健康診断でやせた方が良いというお医者さまからの指摘を受けて体重を落とし始めたんですが、数値が良くなると体重を落とすのが楽しくなっちゃって。衣裳がガバガバになって、詰めてもらったりしました。
初演時はいまより7、8kgは重かったかな? 体重を落としていく過程で、声に影響があると感じたときがあったので、そこから少し体重を戻しましたが…。
──では、いまはおいしいものもセーブしているんですか?
瀧山:いえいえ、自分でご飯を作るのがすごく好きなので、休みの日は基本料理してそれを楽しんでいますよ。ただお酒は下戸で、まったく飲めないタイプですが。

──休日の素顔も教えてくださりありがとうございました。それでは最後に、瀧山さんにとってジーニーはどんな存在でしょうか?
瀧山:出会い、チャンス、気づきをくれた大切な存在です。いろいろなかたと出会えたり、いろいろな機会に恵まれたり、ここからすべてが始まりました。“3つの願い”以上の夢を叶えてもらっていますね。
ジーニーという役が大好きですし、日本初演に立たせていただいた人間として、この役を大事にしないといけないという責任も感じています。これからも立ち止まらず、お客さまに対しても劇団に対しても、この役を磨き続けていきたいと思っています。

撮影時には、最近、父を介して譲り受けたという100年前の曽祖父の紬を、ジャケットのようにさらりと羽織っていた瀧山さん。取材スタッフ3人にまんべんなく視線を向けながら真摯に答えてくれていたのも印象的だった。
インタビュー中、百面相のように表情を変え、声色さえも、まるでジーニーのようにコロコロと変わる様子は、「瀧山劇場」を見ているかのよう。
相手を楽しませようとするその素顔は、誰のことも取りこぼさない“いい奴ジーニー”そのものでした!
取材・文/辻本幸路 撮影/五十嵐美弥