健康・医療

医師46人が選んだ「処方されたい・処方されてもいい薬」ランキング 安全性の高さが評価された「アセトアミノフェン」、かぜのひき始めに用いられる「葛根湯」などが上位に

副作用があってものみたい薬

 同じ解熱鎮痛剤でも「ロキソプロフェン」(3位)は、胃腸や腎臓への負担が指摘されるものの、強い鎮痛効果で医師の信頼は厚い。

 漢方製剤も多くの支持を集めた。なかでも2位の「葛根湯(かっこんとう)」は、体を温めて血行を促進し、発汗を促すことからかぜのひきはじめに用いられる。肩こりや頭痛があるときに使うと答えた医師も多くいた。

 9位の「五苓散(ごれいさん)」は、最も処方されたい薬だと村川さんは言う。

「体内の余分な水分を排出し、“水の交通整理”を行うことで、むくみや頭痛、下痢、乗り物酔いなどの予防に使われます。100種類以上ある医療用漢方製剤の中でも副作用が比較的少ない」

医師が選ぶ処方されたい、されてもいい薬
写真5枚

 そのほか、胃腸機能を高めて気力や体力の回復を促す「補中益気湯(ほちゅうえつきとう)」(14位)や、インフルエンザやコロナウイルスの初期症状に幅広い効果が期待されるとして「麻黄湯(まおうとう)」(24位)などの名前も挙がった。

 解熱鎮痛剤や漢方製剤では処方薬と同じ成分の市販薬も増えている。市販薬は手軽に入手することができる一方、処方薬よりも高価な場合もある。さらに、ナビタスクリニック川崎院長の谷本哲也さんは、処方薬の利点について説明する。

「解熱鎮痛剤や漢方製剤であっても、若い人が一時的に使うのと、高齢者が複数の薬を服用しながら使うのとでは安全性がまったく異なります。患者さんの全身状態やのみ合わせを医師が確認しながら、安全性を含めて処方する薬を設計できるのが処方薬の強みです」

 生活習慣病の治療薬も多くの票を集めた。なかでも高脂血症治療剤の「スタチン系薬剤」(6位)、糖尿病治療薬の「GLP-1受容体作動薬」(11位)、「SGLT2阻害薬」(13位)を挙げたのは、谷本さんだ。

「生活習慣病は自覚症状が乏しい一方で、放置すると大きな病気につながります。降圧剤やスタチンは、血圧や悪玉のLDLコレステロール値を下げて、心筋梗塞や脳卒中を予防する効果が確立されている。糖尿病治療薬も慢性腎臓病の進行抑制や心血管疾患リスクを低下させる効果が期待されています」

 一方で、生活習慣病の薬は長期にわたって服用されることが多く、疾患が重なると薬の種類が増えていきがちだ。特に高齢者は、複数の薬をのむことで副作用が出やすくなる「多剤併用(ポリファーマシー)」のリスクが高まる。薬は本来“卒業”を目指すべきものだと舛森さんは言う。

「降圧剤などは“一生やめられない薬”だと思っている人もいますが、そんなことはありません。服用期間をあらかじめ決めて処方することもあります。運動や生活習慣で症状を改善させることは可能なのです」

 ただし、薬を自己判断でやめるのは危険だ。症状がなくても将来の疾患を予防する側面もあるので、減薬や中止は医師と相談しながら進めよう。

 新しい薬に飛びついてはいけないと話すのは、秋津医院院長で総合内科医の秋津壽男さんだ。

「新薬承認後、わずか半年や1年の間にトラブルが見つかり、使用中止になった例もある。すでに治療が確立している病気であれば、新薬だからといって劇的な効果の差はありませんので、まずは長い実績のある薬を選ぶと安心です」

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