健康・医療

「自宅で最期を迎える」ための準備と費用 重要なのは自分に合ったかかりつけ医を見つけ緩和ケアの体制を整えること 自己負担はヘルパーのケアを受けても1か月で5万〜8万円

初診で丁寧な医師は信頼できる

 自分に合った在宅医を見つけるにはケアマネジャーや地域包括支援センターに相談するのがいい。すでにかかりつけ医がいる場合には、在宅医療を行っているか確認し、行っていない場合には地域におすすめの在宅医がいるか聞いてみよう。その場合のポイントは、「患者の生活や人生について、どれだけ話を聞いてくれるか」ということだ。

「腕利きの名医を見つける必要はなく、自分の希望を叶えてくれるか、話を聞いて寄り添ってくれるかで見極めましょう。初診で丁寧なカウンセリングを行ってくれる医師は期待できます。在宅医との信頼関係があれば家族も安心して託すことができる。疾患があって、治療のために一時的に入院することがあっても、病院と連携を取りながら必要な処置が終わればまた自宅に戻れるようにサポートしてくれる在宅医が理想です」(安井さん)

 佐々木さんも続ける。

「在宅医療では歯科医による口腔ケア、理学療法士による日々のトレーニングなどチーム医療が重要になります。そうしたチームをしっかり率いてくれるかどうかも最期まで自宅で暮らせるかどうかに大きくかかわる。少しでも違和感を覚えたら在宅医の変更を検討しても構いません」

公益財団法人生命保険文化センターの調査(2024年)によると、在宅介護にかかった費用の月額平均は5.3万円(写真/PIXTA)
写真5枚

 どんなサービスが受けられるか、かかる費用についても、家族会議できちんと確認しておきたい。 

「在宅医療やリハビリも保険適用となりますから、標準的な内容であればそこまで高額になるわけではありません。一般的な訪問医療の範囲なら月2万〜3万円が目安になります。介護が必要な場合にも、たとえば要介護度5の場合に1日3回ほど(1か月で31回を超えると保険外)ヘルパーさんのケアを受けても自己負担は1か月で5万〜8万円で収まります。

 自分の体がどれだけ動くか、入浴や排泄を自力でできるか、認知機能の低下の具合など、最期まで自宅で生活するにあたって必要なサービスは人それぞれ、段階ごとに変わります。状況に応じて柔軟かつスピーディーに対応できるよう家族だけでなく医師やケアマネジャーを交えてシミュレーションしておくといいですね」(安井さん・以下同)

 終末期を迎え、入院から在宅医療に切り替えたことで気力を取り戻し、住み慣れた家で生き生きと最期を迎えた例がある。

「喫茶店を経営していた60代の男性が複数の持病で入退院を繰り返していました。治療は一段落しましたが、そのうち自力で歩くことができなくなり、治療もできることをやり尽くしたということで尿道カテーテルを入れた状態で自宅に戻ることになりました。

 伝票の整理など、奥さんが続ける喫茶店の手伝いを始めるうちに表情が戻り、入院していたときに比べ見違えるほど気力が戻ってきた。最期まで大好きな仕事の話をしながら、自宅で静かに旅立ったそうです」

 苦しみや痛みがなく自宅で最期を迎えるために注意すべきポイントもある。

「がんや呼吸器疾患、心臓疾患などは、病期が進行すると苦痛が大きくなってしまうことがあります。少しでも痛みを和らげて穏やかな時間を過ごすためには、自宅でもしっかりと緩和ケアを受けられる体制を整えることが重要です」

 自宅のベッドでの最期から逆算して必要なことを家族と話し合う。それが人生最後の大仕事を果たせるかどうかを決めるだろう。

自宅で亡くなったのは約16%のみ
写真5枚
エンディングノートを準備している人はたった2割
写真5枚

(前編から読む)

※女性セブン2026年7月23日号

関連キーワード