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《熟年離婚後の後悔》ウキウキは一瞬で消えて…生活は想像以上にハード、心細いひとり暮らし、孤独死したらという不安も尽きない日々

熟年離婚の割合が増えている(写真/PIXTA)
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 離婚件数が横ばいで推移するなか、昨今「熟年離婚」の割合が増えたことが注目されている。その背景には、高齢化や女性の就労率の増加、離婚がタブーでなくなったことなどがある。

 長寿化が進み、残りの人生を過ごすうえで熟年離婚という手段が現実的になった一方、熟年離婚を思いとどまり、パートナーへの愛情はないものの形式上は夫婦関係を保つ「仮面夫婦」を選ぶ人たちがいる。

 かつては“冷え切った関係”や“夫婦関係の成れの果て”と揶揄され、ネガティブなイメージが強かったが、いまや老後をよりよく生きる方法として“あえて”選択する人が増えている。そこにはどんな可能性があるのだろうか。【全3回の第1回】

熟年離婚には解放感と同時に不安やストレスも

 厚労省の「人口動態統計」(2025年)によると、同年に離婚した夫婦のうち、同居期間が20年以上だった「熟年離婚」の割合は22.2%と、統計のある1947年以降で過去最高となった。そもそも、近年の熟年離婚の割合増加の背景について、要因のひとつに「人生の区切り」を挙げるのは、精神科医の樺沢紫苑さんだ。

「世の女性が熟年離婚に踏み切るのは、子育てが一段落して肩の荷が下りたタイミングです。それまで自己犠牲的に献身したけど、子供が独立したから自分らしい人生を生きようと考える余裕ができ、夫婦で別の道を進むことを選ぶ女性が増えたのです」

同居20年以上の熟年離婚割合は増加
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 女性の社会進出が進んだことも決断を後押ししている。東京成徳大学応用心理学部臨床心理学科准教授の石村郁夫さんが語る。

「昔は専業主婦が多く、経済的理由から熟年離婚が難しかった。でもいまは女性の社会進出が進み、パートタイムなどをして蓄えを持ち、たしかに熟年離婚に踏み切りやすい環境になりました」

 さまざまなルール改正も熟年離婚を選ぶ女性にとって追い風となった。2007年4月から離婚時の年金分割制度が始まり、今年4月には、離婚後2年以内に申し立てる必要があった財産分与の請求期間が、離婚後5年に延長された。

 夫婦問題研究家の岡野あつこさんは「女性たちは解放されたい」と訴える。

「多くの女性はこれまでストレスが大きくても夫を見送ってから自分の人生を考えようと思い、がまんを続けてきました。しかし平均寿命が長くなり夫も長生きするなら、いっそ離婚して財産分与や年金分割の権利をもらい、自分はパートで働いて自由な生活を取り戻したいと考えるようになった。がまんより解放を望むようになったことが熟年離婚が増えた理由でしょう」

 アディーレ法律事務所の近藤姫美弁護士が続ける。

「昔は離婚したら不幸でかわいそうな女性とされましたが、いまは召使いみたいな生活から解放された成功者という真逆のイメージで、離婚を前向きに考える女性が増えました。

 60才や70才でも離婚して元気に働き、年金分割+パートの収入でセカンドライフを充実させるかたは珍しくありません」

 10年前、夫が公務員を定年退職した日に離婚を申し出たという群馬県在住のAさん(64才)が語る。

「高齢の義両親には大反対されましたが、長年にわたる夫のモラハラに耐え切れなかった。夫が実家に戻るというので自宅を売却して財産分与をしてもらい、いまは社会人の娘が住むマンションに同居してパートで働いています。夫のモラハラから逃れることができて、結婚願望のない娘とともに暮らす毎日は気楽です」

 ただし、バラ色の熟年離婚ばかりではない。そこには厳しい現実が待ち受ける。

「夫からすれば、いままで自分の通帳に入っていたお金が半分なくなるのだから、“銭闘”はすさまじくなります。何十年も同じ釜の飯を食べた人と離婚の調停や裁判で争うダメージは大きく、メンタルをやられて鬱になる人もいます。自分で望んで行動しても、思い通りにならないのが熟年離婚です」(岡野さん)

 離婚は結婚の10倍のエネルギーを使うともいわれるだけに、熟年離婚で身も心も朽ち果てる危険がある。しかも熟年離婚は夫婦だけではなく、家族を巻き込む骨肉の争いになることも多いと近藤さんが続ける。

「熟年離婚は当事者の子供が口を出して感情的に対立し、無駄に長引くケースが少なくない。一方が親類や子供を味方につけようと“謀略”を図ることもあります」

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