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《看取る力》家族を幸せに送るために大切なことは、希望を聞いておく「人生会議」や「エンディングノート」 本人が“生きていてよかった”と思う看取りができればベスト

親の希望を聞いておく「人生会議」や「エンディングノート」を

 死はいつ訪れるかわからない。幸せに看取るには、親の希望を聞いておくことも重要。「最も大切なのは勇気を出して親と話し合う『人生会議』です」と語るのは柴田さんだ。

「親の尊厳を守るためにも、まずは“どのような最期を迎えたいか”を、時間をかけて丁寧に聞き出すことが大事。子供の立場で聞くのが難しければ、親戚や友人に頼んで聞いてもらっても大丈夫です」(柴田さん)

 とはいえ、親が元気なうちに「死」を持ち出すと「死んでほしいのか」と機嫌を損ねるかもしれない。話を持ち出すタイミングを計ることも心がけたい。

「最適なのは親が病気になったり入退院したりしたタイミング。例えば、“東野圭吾さんが大腸がんで亡くなったけど、もしがんになったらどうする?”と最近のニュースと重ねて尋ねる手もあります」(舛森さん)

 看取られる親ができるのは、受けたい医療や介護、希望する葬儀、お墓などをエンディングノートにまとめることだ。自身もエンディングノートを書いたという柴田さんが指摘する。

「書き始めるのに勇気がいりましたが、いざ書くとその内容をとっかかりに家族と将来の話をしやすくなりました。よく延命医療が問題になりますが、昨今の医療費削減の流れからいくと今後は基本的に延命しない流れになる可能性が高く、延命を希望する人は家族に伝えたり、ノートに書いておくことが賢明です」

エンディングノートは急いで全部埋めなくてもいい(写真/PIXTA)
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 エンディングノートはすべての項目を急いで埋める必要はない。のちに修正してもよいので、気負わず書き始めてみることが大切だ。

 一方で、親が示した希望は絶対的なものではないことも理解したい。

「最期をどう過ごしたいかを自分で決められることは穏やかな死につながりますが、この自己決定は状況に応じて変化します。いつ亡くなるかわからない状況で親の心が揺れるのは当たり前なので、家族はその揺らぎをサポートすることが求められます」(後閑さん)

 認知症になったり意識がなくなった場合に備え、親の代理で意思決定をしたり連絡の窓口になったりする「キーパーソン」を決めておくことも意識しよう。

 親の衰えが進んでも家族は「まだ大丈夫」と思いがちだが、めぐみ在宅クリニック院長の小澤竹俊さんは「先を読む力」を持つことが大切だと訴える。

「“またよくなるはず”という気持ちでいると、急にそのときが訪れると心の準備が追い付かず、死後に自責の念に苛まれることになりがちです。先を読む力のバロメーターになるのは食事の量で、食べる量が減ったらお迎えが近づいたと考えていい。もっと手前の話でいえば、歩く距離が短くなったら“終わりの始まり”とみなすべきでしょう」

 人生の終わりをどこで迎えるかもあらかじめ話し合っておきたい。多くの人は「自宅」を望むが、「目的」と「手段」を混同することは避けたい。

 後閑さんが知るある女性はがんになり、自宅で死ぬことを願っていたが病院に入院した。なぜかを問うと、彼女は「私は娘と親子でいたいから」と語ったという。

「この女性の娘は看護師で、“在宅医療をしたらどうしても娘は私を患者として扱ってしまう。でも入院したら娘は看護には手を出さず、黙って一緒にテレビを見たり、手を握ってとりとめのない会話をするなど親子の時間を過ごせる”と語りました。自宅で亡くなることはあくまでも手段に過ぎず、彼女が最期に求めた目的は自分らしくいられる娘との関係性でした。

 最期まで好きなものを食べたいなら病院より自宅や施設が望ましいだろうし、家族と対話する時間が大切ならケアが行き届いた病院の方が適しているかもしれない。本当に大切なのは手段ではなく目的であることをこの女性に教えられました」(後閑さん)

 小澤さんも「人生の目的は幸せになることです」と続ける。

「自宅で死ぬことはひとつの結果であり、なかには入院して病気と闘うことを望む人もいます。何が幸せかは人それぞれで、本人が生きていてよかったと思うことができ、残された家族のその後の人生が豊かになる看取りができればベストだと思います」

(後編に続く)

※女性セブン2026年8月20・27日号

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