夏の強い日差しに照らされた体は疲労しやすく、疲れた体は糖分を欲する。甘いジュースを一気に飲み干せば、のどの渇きを潤すことができ満足感も得られる――。だが、残念ながら摂取カロリーも血糖値も急上昇してしまう。そこで、飲んでも太りにくいドリンクと飲み方について管理栄養士の菊池真由子さんに教わった。
ジュースの種類と砂糖の量は?
ジュースには、果汁100%のほかに、ソフトドリンクと呼ばれる無果汁、果汁100%以外の飲料、炭酸飲料、糖分のはいっているスポーツドリンクなどさまざまな種類がある。
「ソフトドリンクは砂糖の点滴のようなものです。甘さ控えめでも糖分の割合が高く、想像以上に砂糖がはいっています。食品表示に砂糖の記載がなくても、代わりに果糖ブドウ糖液糖などのシロップがはいる。主なソフトドリンク(500ml)にはいっている糖分をスティックシュガー(3g)に置き換えると、コーラでは19本分、ジンジャーエールでは15本分、スポーツドリンクでも10本分に値します(糖分の量は菊池さんの著書『図解食べても食べても太らない法』より)。
さらに、ソフトドリンクをよく飲む人ほど、お菓子や油脂の多い食事を食べる傾向にあるという結果も。これではおデブ一直線ですね」(菊池さん・以下同)
糖分をスティックシュガーに置き換えるとギョッとする量だが、飲みすぎないためにも砂糖の量を知ることが大事だという。一方、「カロリーゼロ」、「糖質オフ」などのソフトドリンクも多く売り出されている。これなら飲んでも太らないのだろうか?
太らない量はどのくらい?「カロリーゼロ」に要注意!
「『カロリーゼロ』や『糖質オフ』なら、太らない、体によさそうと思いがちですが、砂糖の代わりに人工甘味料が使われています。人工甘味料は砂糖同様に甘いのですが、ほとんどカロリーがなく体に吸収されません。ですが、人工甘味料を摂ると脳は甘い飲み物を飲んだと錯覚し、血糖値を下げようとします。実際には糖分を摂っていないわけですから、血糖値が下がりすぎてしまい、かえって空腹を感じやすくなり甘い物を欲する」
「糖質ゼロ」、「カロリーゼロ」の文字に、ついつい太らないと安心しがちだが、ムダな食欲につながりやすいのも事実。では、太らない飲み方とは?
「ソフトドリンクを飲んでも太らない目安が、250mlを2日に1回飲む。このペースなら飲んでも太る心配はそれほどありません」
特に、フルーツの果糖が含まれる果汁ドリンクは、いずれも糖質高めでダイエッターには不向き。だが、糖質のデメリットにも勝るダイエット効果が期待できるドリンクがあるという。
食べすぎ防止におすすめは果汁100%のオレンジジュース
「食べすぎを防ぐドリンクとして唯一おすすめしたいのがオレンジジュース。ただし、糖分がはいっていない果汁100%のオレンジジュース(濃縮還元)に限ります。フレッシュなオレンジを絞ったストレートジュースとカロリーは変わりませんが、ストレスを撃退するパントテン酸とビタミンCの量はストレートの約2倍。
パントテン酸は抗ストレスホルモンの材料となるビタミンの一種。体内にビタミンCが多ければ多いほどストレス耐性も高くなり、やけ食いややけ酒などの過食を防いでくれる。また、ビタミンCの抗酸化作用は、しみ予防や免疫力アップに有効で老化のスピードを遅くする。疲労回復を促すクエン酸も多く含んでいるので、まさに一石三鳥!」
適量は1日1回、200ml。ソフトドリンクに比べると、飲んでもいい回数は増えるが、健康効果に優れたオレンジジュースに限っては例外。飲むタイミングは、食前、食中がおすすめだという。
「ちなみに、果汁100%のオレンジジュース200mlのビタミンC含有量は84mg(ビタミンCの量は菊池さんの著書『図解食べても食べても太らない法』より)。成人の1日当たりの必要推奨量が100mgですから、かなりカバーできます」
食べすぎ防止とアンチエイジングの強い味方、オレンジジュース。暑い夏のマストアイテムになりそうだ。
教えてくれたのは:管理栄養士・菊池真由子さん
管理栄養士。健康運動指導士。NR・サプリメントアドバイザー。日本オンラインカウンセリング協会認定上級オンラインカウンセラー。大阪大学健康体育部(現・保健センター)、阪神タイガース、国立循環器病センター集団検診部(現・予防検診部)を経て、厚生労働省認定健康増進施設などで栄養アドバイザーを務める。ダイエットや生活習慣病の予防対策など、のべ1万人の栄養指導に携わる。その活動の集大成として刊行した、『食べても食べても太らない法』(三笠書房)が10万部超え、『図解食べても食べても太らない法』(三笠書房)が17万部超えのベストセラーに。最新作は、『食べれば食べるほど若くなる法』(三笠書房)は7万部超え。
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