不調改善

太る人がしがちな食生活とその改善法を元デブの医師がズバリ解説!

痩せたくても痩せられない。その理由は意志が弱いからではない。ダイエット外来医師で自らも体重92kgから25kgの減量を成功させた工藤孝文さんは、「太る原因はついやってしまう『デブ習慣』にあります」と断言する。

「太る行動をとってしまうのは、脳や心、体がそれを求めていることも考えられます。ですから、そうしてしまう欲求を別の方法で満たしてあげることをおすすめしています」(工藤さん・同上)

工藤さんの著書『THE デブ脳』(枻出版社)には、“デブ脳”を脱して、楽して痩せるための方法が紹介されている。まずは、同書でも紹介されているデブ習慣の1つ、デブになる食事内容から見直してみよう。無理なくその習慣を断ち切る方法もあわせて紹介する。

濃い味が好きな人は太りやすい!やめるには?

太った女性がハンバーガーにかぶりついている
写真/ゲッティイメージズ
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工藤さんによると濃い味が好きな人は太りやすいという。なぜ、味の濃い食べ物を食べるとデブになるのか。

「例えば、塩味が効いた料理を夢中になって頬張っているときは、脳内で快楽物質のドーパミンが分泌されて、気分が高揚している状態であると考えられます。しかし、だからと濃い味ばかり食べてしまうと、どんどん味覚が麻痺しさらに濃い味を求めてしまいます。濃い味は、高カロリーな食事内容に多いので、その結果、カロリー過多で肥満につながります」

◇昆布茶に含まれる成分がダイエットに有効

強い意志がなくても、味の濃い食べ物を断つ方法はあるだろうか。工藤さんは、「代替品として、昆布茶が有効」と提案する。確かに昆布茶は塩味が効いており、味の濃い飲食物が好きなら、満足感を持てそうだ。それだけではない。昆布茶にはダイエットに強い成分が3つ含まれているという。

「まず、うま味成分のグルタミン酸が含まれています。このグルタミン酸は、ドーパミンに似た成分があるため、脳内が濃い味を食べたときのような状態になるんです。次に、原料の昆布にはいっているビタミンB群。この栄養素はホルモンの材料となり、脳内のホルモンバランスを調整してストレスを緩和させる効果があります。3つ目が、豊富な食物繊維。食前に飲めば胃の中で膨れ、食べる量を抑えられますし、空腹時に飲めば低カロリーなのに食欲を抑える効果も期待できます」

一方、味覚の衰えで味の濃いものを食べているなら、亜鉛を含む牛ひき肉を摂取するといいという。

「極端な食事制限などで栄養バランスが崩れると、亜鉛の摂取量が減ります。亜鉛不足は、舌の上にある味細胞の働きを弱くし、味覚が鈍感になり、濃い味を好むようになります」

その点、牛ひき肉は100gあたり7.6mgの亜鉛量が含まれている。もちろん他にも亜鉛が含まれている食べ物は多いが、食事制限などダイエットの我慢の反動で肉を食べたい人には、牛ひき肉を使った牛そぼろ丼なら満足度を高めてくれると工藤さんは言う。カロリーが心配なら、ひじき煮など和食に混ぜるのもおすすめだという。

お酒を飲むとラーメンを食べたくなる理由とは?

ラーメンがテーブルに置かれている
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ダイエット中は、お酒にも要注意。ただ、工藤さんによると、お酒を飲んで太るのは、お酒自体に含まれるカロリーではなく、飲んだあとに高カロリーなものを食べてしまうからだとか。

「アルコールが血液にはいると、それを分解するためにインスリンが分泌されて糖分を肝臓に運びます。食べた糖分の多くが肝臓に運ばれてしまうので、血液中の糖分の割合が低くなってしまう。すると脳は、糖を求めてしまい、糖質の高いラーメンなどを食べてしまうのです」

◇お酒を飲む日のランチはおかかや鶏肉を!

それでもどうしてもお酒を飲まないといけない場合、どうすべきか。工藤さんは、飲む日のランチにおかかおにぎりや鶏そぼろおにぎりを食べることを推奨する。

「お酒を飲むと脳内にドーパミンや幸せホルモンであるセロトニンが分泌されて、楽しい気持ちになります。その快楽を求めて飲んでしまうなら、代わりにセロトニンの原料となるトリプトファンが含まれているおかかや鶏肉を食べればよいのです」

なお、固形物は吸収されるのに時間がかかるので、トリプトファンは飲む日のお昼に摂取するのが吉。これでお酒の量が減り、それによって飲酒後の余計なドカ食いもなくなれば、成功だ。

◇お酒を飲む前夜にキムチを食べるのがおすすめ

もしストレスで飲みすぎてしまう傾向があるなら、前夜にキムチを食べるのが効果的だという。

「キムチには、GABA(ギャバ)を作る乳酸菌が豊富です。GABAは、ドーパミンなどの興奮系ホルモンの働きを抑え、副交感神経が優位な状態にして、リラックスをもたらす作用がある成分です。このGABAを脳内に増やしておけば、ストレスによる飲みすぎ防止に一役買うでしょう」

お菓子を食べるなら低GIのいちごやブルーベリーを

デスクワークで疲れたあとや、いつもよりちょっと多く歩いたあとなどについついお菓子に手を伸ばしてしまう。その場合、疲労回復物質のイミダペプチドというアミノ酸が豊富な食べ物を食べよう。

もっとも手っ取り早く口に入れられるのは、いちごやブルーベリーなどのベリー系果物だ。

「ベリー系の果物は甘さがしっかりあるのにGI値(食後の血糖値の上昇を示す数値)が低く、抗酸化作用も高いです」

いちごが季節外れで入手できなければ、冷凍ブルーベリーであれば冷凍食品としてコンビニなどでも入手しやすい。無糖ヨーグルトに入れて食べてお腹を膨らませるもよし、口さみしいときにそのまま食べるのもよいだろう。

ダイエットの“敵”ポテトチップス、食べるとなぜ止まらない?

袋に入ったポテトチップスに手を伸ばしている
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いったん袋を開封したら最後、食べきらないと気が済まない。そんな悩ましい魅力を持つポテトチップス。アメリカのイェール大学の研究によると、脳は脂質と糖質の組み合わせに強く惹かれる傾向があるが、この組み合わせはドーパミンを大量に分泌させる。つまり、糖質と脂質が組み合わさったポテトチップスを食べてしまうのは、理にかなっているのだ。

◇食べ物以外でストレス解消するには「笑う」や「青色」

では、食べ物以外でストレスを抑える方法はないだろうか。

「本やテレビで笑ってストレス解消できればそれに越したことはありませんが、それができないなら、口角を上げて笑顔を作ったり、『楽しい』と口に出してみたりしましょう。それで脳が『楽しい』と錯覚するかもしれません。また、晴れた日に青空を眺めてみたり、青いモノを意識的に使うようにするのも1つの手です。青色には高ぶった神経を鎮め、食欲を抑える効果があるからです」

疲れたとき、ストレスが溜まったときは、まずはこの方法を思い出してほしい。

教えてくれたのは:工藤孝文さん

工藤孝文
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福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、現在は、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療を行っている。ダイエット外来・糖尿病内科・漢方治療を専門とし、『あさイチ』(NHK)『ガッテン!』(NHK)『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)減量外来ドクター、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)肥満治療評論家・漢方治療評論家など、メディア出演多数。日本内科学会、日本糖尿病学会、日本肥満学会、日本東洋医学会、日本抗加齢医学会、日本女性医学学会、日本高血圧学会、日本甲状腺学会、小児慢性疾病指定医。

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