時間に追われるあわただしい朝。朝食抜きが習慣化している人も少なくないのでは? 実は、太る原因の1つが朝食を食べないことだと管理栄養士の菊池真由子さんは指摘する。朝食を食べるメリットや、食べるべき食材について菊池さんに教えてもらった。
朝食を食べると「痩せる」理由
「朝食は体と頭を活動モードにするスイッチの役目。朝から体が活発に動けば、その日1日の代謝も上がりやすくなります。毎日続けることで痩せやすい体になっていく。しっかり朝食を食べていれば、昼食や夕食のドカ食いの予防にもなり、1日を通して過食せずに済みます。
朝食を食べないことが習慣になっている人は、食べてくださいと言ってもなかなか食べてくれません。そういう人に限って、昼食に高カロリーの食事、夕食にドカ食い、さらにおやつを食べています。結局、朝食を抜いても1日の摂取カロリーは基準をオーバーすることに。朝食を抜いて1日のカロリーを減らそうとするのは逆効果なんです」(以下・菊池さん)
実際に、菊池さんのダイエット指導で朝食を食べるようになった人は、過食や間食が減り、痩せ始めるという。もう1つ、朝食を食べるのは“朝が来たことを体に知らせる”という役割もある。
「人間は生まれつき体内時計を備えていて、日中は活動し、夜は休息するというリズムになっています。ところが、体内は24時間単位で動いているわけではなく15分~1時間遅い。ですから、放置したままにしておくと、体内時計がどんどんズレて次第に夜型に。そうならないためにも、夕食後から何も食べずに朝食を食べることが大事。起きて口に入れた食ベ物が体内にはいることで、体も目覚め1日の始まりを認識します」
代謝に必須のたんぱく質は必ず摂るべし!
では、どんな朝食を食べればよいのだろう?
「和食、洋食に限らず、朝食で最も食べてほしい栄養素はたんぱく質です。具体的には、卵、ハムやソーセージなどの肉類、焼き鮭や干物などの魚類、納豆や豆腐、チーズ、ヨーグルトなど。朝からたんぱく質を体にとり込んでおけば、朝食を含め、その後に食べたカロリーを燃やしやすくなります。たんぱく質はご飯やパンなどの糖質に比べ、消化に時間がかかるので満腹感も持続しやすい」
朝食のためにわざわざたんぱく質のはいった料理を作らなくても、前日の残った料理でOK。
「たんぱく質と一緒に、ご飯やパンなどの主食、さらに野菜が揃えばパーフェクトですが、野菜料理を用意するのが面倒な日は、みかんやりんごなどの果物でOK。果物にもビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富に含まれています。ただし、果物は糖質も高いので食べすぎは禁物です」
では、朝食を食べるベストタイミングはあるの?
朝食と十分な睡眠のセットで痩せる
「食べる時間よりも意識してほしいのが睡眠時間。7~8時間の睡眠時間を満たしたうえで、起きて朝食をとるのが理想的です。起きてすぐに食べられる人は食べていいですし、少し時間を置いた方が食が進むというならそれでも構いません。
実際、睡眠時間を7~8時間に達していない人は太りやすいという検証結果も出ています。十分な睡眠がとれないと、かえって1日の食欲が増進してしまうので食べすぎてしまう傾向に」
太る原因の1つが寝不足であることがわかっても、7~8時間の睡眠時間を確保するのはなかなか難しい…。
「確かにそうですよね。実際は、睡眠が4~6時間という人も多いと思います。その場合、朝食は食べすぎないようにして最低限の必要な栄養をとる。イメージは喫茶店のモーニング。トースト、ゆで卵、サラダ、コーヒー。和食なら、ご飯、味噌汁、納豆、野菜小鉢。これくらいの量であれば、太りませんし体のエネルギーとしても十分有効です」
シリアルを食べるならドライフルーツ入りを
手軽なシリアルやグラノーラも人気だが、注意点も。
「単体で食べるよりもドライフルーツなどがはいった複数の食材や食感が楽しめるタイプがおすすめ。さらに、たんぱく質は必須です。牛乳またはヨーグルトに、ベビーチーズ1個程度の量を足せば栄養価も整います。ただし、グラノーラには甘味が含まれています。はちみつなどの自然な甘みではなく、砂糖が使われているものも多いので、パッケージに表示してある成分表で食材と糖質のカロリーをチェックして購入しましょう」
菊池さんによれば、シリアルは適当に器に盛ると食べすぎてしまうため、面倒でも慣れるまでは1食分の量をきっちり計ってほしいと言う。
お酒を飲みすぎた翌日のおすすめ朝食は海藻系の味噌汁
ところで、前日に食べすぎ、飲みすぎでどうしても朝食が食べられない場合は?
「暴飲暴食の翌朝は、わかめなど海藻系の味噌汁を飲みましょう。味噌汁には、飲みすぎによって失われる水分と塩分が両方含まれています。また、海藻に含まれる水溶性食物繊維には、食べすぎによって増えた余分なコレステロールを排出する働きがあります。インスタントのわかめスープでもいいですよ。ただし、わかめの量が少ないのでカットわかめなどを加えるのがコツ。ストックしておくと便利です」
“しっかり寝て、朝食を食べる”。それだけできつい運動をするよりも楽して痩せられるかも。
教えてくれたのは:管理栄養士・菊池真由子さん
管理栄養士。健康運動指導士。NR・サプリメントアドバイザー。日本オンラインカウンセリング協会認定上級オンラインカウンセラー。大阪大学健康体育部(現・保健センター)、阪神タイガース、国立循環器病センター集団検診部(現・予防検診部)を経て、厚生労働省認定健康増進施設などで栄養アドバイザーを務める。ダイエットや生活習慣病の予防対策など、のべ1万人の栄養指導に携わる。その活動の集大成として刊行した、『食べても食べても太らない法』(三笠書房)が10万部超え、『図解 食べても食べても太らない法』(三笠書房)が17万部超えのベストセラーに。また、『食べれば食べるほど若くなる法』(三笠書房)が7万部を超え、8月に最新作『図解 食べれば食べるほど若くなる法』(三笠書房)が発刊。
●太る食べ方と食事に注意!「朝食抜き」もダイエット失敗の原因に?
●ダイエット中におすすめ朝食メニュー&簡単レシピ6選|朝ごはんをとるべき理由も解説
●朝食を食べて、肥満防止! “幸せホルモン”の分泌を促すスープレシピ4選
●簡単!ダイエットスープレシピ11選まとめ|脂肪燃焼、デトックス、むくみ改善に!
●朝食のたんぱく質がダイエットのカギ!1食10gのたんぱく質が簡単に摂れる『大豆プロテイン グラノラ』【実食ガチ採点】