2002年に米ニューヨークで誕生した“新感覚”エクササイズで、フィットネス・バレエ・ヨガを融合した「バレトン」。あのマドンナも実践していたというからかなり本格的かと思いきや、「動きは簡単なのに驚くほど汗をかく」と、20~80代まで幅広い年齢層にウケているという。準備するものは体と音楽だけ、という手軽さもうれしい。エクササイズを始める前に、ウオーミングアップと基本の動きをマスターして、慣れてきたらレッツ・バレトン! アー・ユー・レディー?
今回は、2007年からバレトンの普及に努めてきた井出由起さんに、初心者が自宅でできる20分の運動にアレンジしてもらった。
「生徒さんからは、汗をかきやすくなったという声が多いんです。代謝が上がったためでしょうね」と井出さん。まずは週2回を1か月。しっかり汗をかいて心も体もスッキリ爽快になろう!
バレトンは、フィットネス、バレエ、ヨガの3パートからなるエクササイズ。ここからは、各パートごとにエクササイズを紹介する。
フィットネス・パート/下半身シェイプに効果あり!
バレトンの中でいちばん負荷がかかるのがフィットネス・パート。だからこそ、頑張れば代謝が上がり、脂肪が燃焼しやすくなる。そこで下半身に効く運動に注目。前後の動き、左右の動きで下半身の筋肉をまんべんなく鍛えるところからスタート。
「まずは手をつけず、【1】~【3】の動きを足だけでゆっくり2回、手をつけてゆっくり2回、その後、アップテンポで12回やってみましょう」(井出さん・以下同)
自然な呼吸で、上のおすすめの曲に合わせて「1、2、3、4…」と数えながらレッツ・トライ!
<編集部おすすめMusic♪>
RADIO FISH/『PERFECT HUMAN』
【1】太ももを引き締める
「足を前後に開いたあと、太ももを上げる。このときに体がぐらつかないよう、片方の足でしっかり立つのがポイントです」
(1)手を下ろしてまっすぐ立った姿勢から、両手を上げながら右足を大きく後ろに引く。
「開いた両足で上半身を支えるイメージで、背筋はまっすぐ伸ばしましょう」
(2)両手を下げながら体を起こし、右ももを思い切り上げる。「少しきついですが、頑張って太ももを高く上げましょう」。
(3)(1)のポーズに戻る。リズムにのって(1)~(3)を12回繰り返し、終わったら足を変えて同様に。
「7、8のカウントで足を閉じます」
【2】お尻を引き締める
「基本の動き」で解説したスクワットの姿勢からお尻~もも裏を伸ばしていく。
「肩に力を入れず、お腹に力を入れてお尻を気持ちよく伸ばしましょう」
(1)スクワットの姿勢で両手を前に伸ばす。顔は正面を向いて、足裏の3点バランスをチェック。
(2)腕を後ろに引き、股関節からお尻を引くように体を前に倒す。
<○正しい>
股関節を軸に体を倒しているので背中がまっすぐ伸びている。「お尻や股関節まわりの筋肉に効いています」
<×間違い!>
上半身の力で前傾すると悪い姿勢に。「これでは効き目はありません」。
(3)(1)に戻る。7、8のカウントで足を閉じ、(1)~(3)を繰り返す。
バレエ・パート/姿勢を整えしなやかな上半身を作る
しなやかな動きでインナーマッスルにアプローチするバレエ・パート。ここでは上半身や姿勢を整えるエクササイズを。ターンアウトの足の位置を頑張って維持しながら、上半身を伸びやかに動かしていく。
「足を上げる時は、骨盤が左右に揺れないよう、しっかり正面で固定してください」。
呼吸は自然に、フィットネス・パートと同じ回数を行おう。
<編集部おすすめMusic♪>
マドンナ/『ヴォーグ』
【1】肩から脇を伸ばす
「手を大きく動かすことで、太ももや上半身を気持ちよく伸ばしましょう」
(1)両手を横に伸ばし、ターンアウトの体勢で左足を一歩前に出す。
「肩に力が入らないように、重心を骨盤に置いて立ちましょう」
(2)左足を左斜め前に踏み出して曲げ、右手と右脇を左斜め前にぐっと伸ばす。
腰を曲げないよう斜め前に、脇から腕を心地よく伸ばす。
(3)両手を広げて体を起こし、左足を曲げてつま先を右足のひざあたりにつける。これはバレエの基本姿勢「パッセ」のポーズ。
「左足で三角形を作るようにしましょう」。7、8のカウントで足を閉じる。
<×間違い!>
軸足に重心がのっていないと体幹がぐらついてしまうことに。
ひざにつけるのが難しければすねのあたりでもOK。
「足を横に開くことが大切です」
【2】全身を美しく締める
上半身を左右に伸ばしながらバランスを取ることで体幹を鍛える。
「横の動きを意識して、前後のぐらつきに注意!」
(1)ターンアウトの姿勢でまっすぐ立つ。
(2)足を大きく開いて腰をまっすぐ落とし、左手を伸ばしながら左脇を気持ちよく伸ばす。
(3)両手を横に伸ばし、足を少し開きながら体を起こし、右足を右斜め前に出す。「右足のつま先は伸ばしましょう」。
(4)ひじを曲げながら手を上げ、右足を少し斜め上に上げる。
「体は正面を向き、骨盤を起こして上半身を支え、左足の裏でしっかりと立ちましょう」。7、8のカウントで足を閉じる。
<×間違い!>
片方の骨盤だけが落ちると体のバランスが偏ってしまう。
ヨガ・パート/リラックスしながら柔軟な体に
通常のヨガは難しいポーズが多いが、バレトンでは「運動の終わりに心を落ち着かせる時間。足裏の3点バランスが整い、心地よく体が伸びていればOKです」。
<編集部おすすめMusic♪>
Perfume/『チョコレイト・ディスコ』
【1】背面を気持ちよく伸ばす
背筋から脇をぐーっと伸ばすポーズは背中や肩の凝りをほぐすのに最適。体をひねりながら顔を上げるのは難しいが、足の力でしっかりと体のバランスを取るのがコツだ。
(1)左足を前、右足を後ろに開き、両腕を上げて重心を下げる。右足のひざは曲げないように注意。
(2)息を吸いながら手を胸の前まで下ろす。
(3)左右の足で上体を支え、息を吐きながら体を左にひねり、右ひじを左ひざの外側につけて、左後ろを見る。
「後ろ足にも力を入れないと、上体がぐらつきますよ!」
(4)体をもとに戻し、(1)~(4)を4~8回繰り返す。終わったら足を変えてもう一度。
【2】全身を伸ばす
ラストの運動は、深呼吸をしながら背中や足、胸まわりをストレッチするクールダウンの運動。リラックスして行おう。
(1)足を大きく開いて立つ。
(2)大きく息を吸いながら両手を上げ、腰を落とす。「背面を気持ちよ~く伸ばします」。
(3)息を少しずつ吐きながら両手を胸の前で組み、伸ばしながら背中を丸めていく。
(4)さらに息を吐きながら体を起こしていく。
(5)息を吐き切りながらゆっくりと頭を上げる。
一度やればハマる!愛好家増加の予感
日本に2007年に上陸はしたものの、当時指導者がほとんどいなかったため、一般に普及するまでに至らなかったバレトン。だが、いまでは井出さんらの尽力で資格を持つトレーナーが育ち、全国のフィットネスクラブや専門の教室などで受けられるようになり、着実にリピーターが増えている。バレトンには“一度やったらハマる”魅力があるようだ。
最近では、高齢者や障害者、妊婦などが座りながらできる“チェアバレトン”も開発され、あらゆる人が楽しめる運動として、さらに裾野が広がっている。
バレトンを行うのに効果的な時間帯は、朝食前や夜の入浴前がおすすめだ。
「朝食前に行うと交感神経を優位にし、体が活発モードになって、一日元気に生活できます。仕事で忙しい人は夜、お風呂に入る前にやれば、こわばった体がほぐれます」
春はすぐそこ。アップテンポの音楽で気分を上げつつ、バレトン生活を始めませんか?
教えてくれたのは…:バレトンマスタートレーナー・井出由起さん
一般向けはもちろん、高齢者向けチェア(椅子)バレトン指導や産後ママのための教室を主宰するなど、幅広い年齢層に向けた普及活動を展開。著書は『[DVDbook]即効! 7日間でくびれ復活バレトン・ダイエット』(大和書房)など。
撮影/菅原 拓
※女性セブン2020年3月5日号
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