新型コロナウイルスが猛威をふるっているなか、感染症予防のために正しい手洗いや咳エチケットなどできるかぎりの対策をとっている人が多い。加えて注目されているのが、免疫力をアップすることだ。
酪酸菌とは何か?
免疫力を上げるために、善玉菌のひとつである「酪酸菌」を増やすことが重要だという。酪酸菌とは、腸内環境を整えるとして乳酸菌やビフィズス菌などの菌と腸内で共生し、それらと整腸効果を発揮し合う善玉菌のこと。大腸の動きを活性化させるのに欠かせない存在だ。健康な体に不可欠な酪酸菌を増やすためには、どんな食生活を心がければいいのか――。
食物繊維が酪酸菌を増やすカギ
大腸内で酪酸菌を増やすには、そのエサとなる食物繊維を摂ることが大切だ。
「なかでも水溶性食物繊維は、酪酸菌など善玉菌のエサになりやすく、酪酸菌を増やすのに役立ちます」
そう話すのは、京都府立医科大学消化器内科学教室准教授の内藤裕二さん。
水溶性食物繊維は、野菜や果物、海藻類、玄米や大麦などの全粒穀物に多く含まれる。その中の、ごぼう、玉ねぎ、チコリなどに含まれる「イヌリン」には、酪酸菌を増やす作用があるといわれており、そのほかの水溶性食物繊維を含む食材とともに、積極的に摂りたいものだ。
キウイフルーツがおすすめ
消化器内科の専門医として、4万人の大腸内視鏡検査を施術してきた松生クリニック院長の松生恒夫さんは、「朝食でキウイフルーツを食べることで酪酸菌を増やせます」とすすめる。
「水溶性食物繊維を含む食材はいろいろありますが、手軽さでいえば、キウイフルーツがおすすめ。半分に切るだけで中をすくって食べられますし、調理しないので塩分はゼロ。簡単なので、無理せず続けられます」(松生さん・以下同)
ヒトの生活環境にできるだけ近い状態で行った試験管実験では、ゴールドキウイとグリーンキウイをそれぞれ添加して48時間後に測定したところ、ともに酪酸濃度が増加していた。
「食事において不溶性食物繊維が多いと便が硬くなりやすく、水溶性が多いと軟らかくなります。野菜サラダを食べていても便秘が解消できないのは、不溶性食物繊維の割合が高すぎるのが原因とも考えられます。理想は、不溶性2に水溶性1のバランスで食物繊維を摂ること。キウイフルーツはほぼ2対1のバランスで含まれているので、これだけでいいのです」
◆キウイを食べる量は毎朝1~2個
毎朝1~2個のキウイフルーツを食べれば、眠っていた脳や内臓が目覚め、一日が気持ちよくスタートできる。さらにエクストラバージンオリーブオイルをティースプーン1杯ほどかけて食べれば、酸味がまろやかになり、オレイン酸が腸壁で潤滑油となって、便秘解消効果が高まる。
また酪酸菌は、ぬか漬けや臭豆腐にも含まれてはいるが、酸素に弱い性質のため、食品から生きた酪酸菌そのものを摂取するのは難しい。酪酸菌配合のサプリメントや整腸薬で取り入れるのも、1つの方法だ。
◆キウイフルーツ添加後の酪酸濃度の推移
酪酸菌を増やす「水溶性食物繊維が豊富な主な食材」
毎日の食生活の中に、酪酸菌を増やす食材を取り入れてみよう。意外と身近なものが多いので、少し意識するだけで免疫力アップにつながる食事ができそうだ。
◆イヌリン
ごぼう、菊いも、ヤーコン、玉ねぎ、チコリ、にんにく
◆ペクチンなど
オクラ、かぼちゃ、モロヘイヤ、キウイフルーツ、アボカド
◆オリゴ糖
オリゴ糖も食物繊維の仲間。バナナや玉ねぎ、はちみつなどに含まれる。
◆グルコマンナン
こんにゃく
◆アルギン酸
わかめ、寒天
◆β-グルカン
玄米、スーパー大麦、もち麦
※女性セブン2020年4月9日号
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