
今季はタートルネックが大ヒット。特に、インナーとして着る着こなしがよく見られます。首元がキュッと詰まっているタートルネックは女性らしい繊細さを引き立ててくれるアイテム。しかも年齢の出やすい首物を隠せ、暖かさも確保できるといいことづくし。そこで、今回は、シンプルなタートルネックを上品に見せる皇后雅子さまの着こなしをチェック。タートルネックが映えるアクセサリーを合わせるなど、時代を問わず参考になるそのテクニックについて、スタイリストの横山麻里さんがわかりやすく教えてくれました。
カットソー素材や薄手のタートルネックが旬
まずは最近のタートルネックの傾向について。
「最近は、カットソーやニット素材の薄手のタートルネックが多いです。シンプルでタイトなシルエットのデザインが多く、レイヤードしやすいものが多く出ています。スエットにインしたり、ニットカーディガンに重ねるコーディネートがトレンドです」(横山さん・以下同)
カーディガンと同色にして上品ワントーンコーデに
2014年12月、51歳のお誕生日に発表されたお写真では、白のタートルネックにカーディガンを羽織り、お気に入りのシャネルのスカーフをかけておられました。



「オールホワイトなので、首元が詰まっていても重くならない。よりIラインを強調することで、スタイルアップにつながっています。雅子さまのように、タートルネックのトップスと羽織りを同色で揃えると、初心者のかたでも取り入れやすいです。全体をワントーンでまとめることにより、上品な雰囲気に仕上がります」
くすみカラーに白タートルで顔映えよく
2012年12月、49歳のお誕生日写真では白のタートルネックにミディアム丈のベージュのジャケットという装いでした。




「トレンドのくすみカラーコーディネートも白のタートルネックを取り入れることで、抜け感が出て、お顔周りが明るくなっています。肌見せで抜け感を出すのではなく、あえて肌を見せずにひとつ白を投入し、抜け感を出しているところが、大人の着こなし。くすみカラーコーディネートには、白を上半身に取り入れることがポイントです」
存在感のあるネックレスでメリハリを
2015年12月、52歳のお誕生日に発表されたお写真では、白のタートルネックに白のカーディガン、パールのネックレスを合わせられていました。




「同色のタートルネックとカーディガンのコーディネートには、同色の少しボリュームのあるアクセサリーを合わせることで、メリハリがつき、さりげなくコーディネートのアクセントになります。雅子さまのように、ローゲージではなく、ハイゲージのタートルネックをセレクトすると、カジュアルすぎず、大人っぽい着こなしになります。
また、パールのアクセサリーをプラスすることで、清楚な雰囲気にまとまるのでおすすめです」
辛口ジャケットに女性らしさをプラス
愛子さまの小学1年生の運動会には、きちんと感のあるネイビーのジャケットにクリーム色のハイネックのインナーという装い。大粒のパールのイヤリングがポイントに。

「テーラードジャケットは辛口な着こなしになりがちですが、タートルネックのニットを中に着ることで、やわらかい女性らしいコーディネートになります。雅子さまのように、ジャケットよりも明るいカラーをインナーにすると、全体が重たくならず、バランスよくまとまります。
シーンに合わせて、カジュアルさをプラスしたいなら、ジャケットにあえてカジュアル度の高いタートルネックやデニムパンツなどを合わせると、トレンド感のある装いになります」
大ぶりな襟のアウターにきちんと感を添えて
2011年5月に東日本大震災に伴う避難者お見舞いの際は、白のタートルネックに同じ白の襟の大きなブルゾンを羽織られていました。


「大きめのデザイン襟のブルゾンに、タイトな同色のタートルネックを重ねることで、カジュアルすぎず、きちんと感のある装いに。トレンドの大きめな襟のデザインの服には、シンプルなデザインやシルエットのものを合わせるとバランスがいいです。タートルネックを合わせる場合は、首元に沿うようなデザインのものをセレクトすると、ラフにならず上品です」
カジュアルコーデに品を添えつつヘルシーに
愛子さまの幼稚園での初めての運動会には、白のタートルネックのトップスに黒のパンツというカジュアルスタイルでした。父母参加の種目があることもあり動きやすいパンツスタイルに。それでも耳もとにはパールのイヤリングなど上品さもキープ。

「ニットアウター×パンツスタイルのきれいめカジュアルなコーディネートですが、白のタートルを首元に少しのぞかせることで、エレガントさを軽減させ、品のあるカジュアルなコーディネートになっています。クルーネックのカットソーでもまとまりますが、ハイネックをセレクトする、ひと手間が上級者。ノーアクセサリーでも、お顔周りが明るく、抜け感が出ています。
シンプルな白のカットソーこそ、シルエットやデザインを厳選すると、ワンランクアップしたおしゃれが楽しめます。この季節、コートやカーディガンを羽織ってしまうと、袖周りのデザインは見えないので、襟元が重要。ネックラインをそろえるのではなく、あえて、タートルネックでレイヤード感を高めるとトレンド感のある着こなしになります」
レースのブラウスで抜け感と華やかさを両立
1998年3月に、フェリペスペイン皇太子(当時)をお出迎えになった際は、鮮やかなロイヤルブルーのセットアップにハイネックのレースのインナーを合わせられていました。

「鮮やかなロイヤルブルーのスーツに、レースのスタンドカラーブラウスを合わせることで、気品漂う女性らしい印象です。白+レースの効果で、抜け感と華やかさが出ています。デイリーに取り入れるのであれば、ニットやスエットプルオーバーにレースのタートルネックのトップスをレイヤードさせるのがおすすめです。
カラーは、黒や白のベーシックカラーが着回し抜群。首元や袖口から、少し見せることで、大人なきれいめカジュアルスタイルが完成します」
ストライプ柄ジャケットのかっちり感を中和
2021年1月、熊本の豪雨被災地にオンラインでお見舞いされた際は、天皇陛下とおそろいで、タートルトップスにグレーのジャケットというコーディネートでした。


ストライプ柄のテーラードジャケットは、辛口な印象ですが、淡いカラーのタートルニットを合わせて、きちんと感のあるなかにも、温もりが感じられるコーディネートです。
かっちりとしたテーラードジャケットには、布帛(ふはく)ではなく、ニット素材を合わせると、優しい印象になります。白や淡いカラーのタートルニットには、同色でワントーンでまとめるか、アウターやジャケットをダークカラーで引き締めると、バランス良くまとまります」
◆ファッション解説:スタイリスト・横山麻里さん
ほどよくフェミニンで上品なカジュアルスタイリングが参考になると、同世代の女性たちからの支持多数。大人女性のファッション誌を中心にカタログや広告で活躍中。