寒い季節の代表的な野菜であるほうれん草。おひたしや鍋、サラダなどさまざまな食べ方を楽しんでいるかたも多いのではないでしょうか。せっかくなら目利きの方法を知って、おいしいものを選びたいですよね。そこで、野菜ソムリエプロの福島玲子さんから、そのコツを教えてもらいました。
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目利きの仕方と、ほうれん草の種類とは?
スーパーなどに並んでいると同じように見えがちなほうれん草ですが、おいしいものを見極めるポイントがあるんです。
鮮度は葉、甘みはくきに注目
目利きのポイントは、葉は青々として色が濃く、かつハリがあって厚いものを選ぶこと。あざやかな色味は、鮮度のよい証拠です。くきは細いよりは適度に太いものを、根っこの先がふっくらとして赤みがあるほうが、甘みが強いですよ。
今のほうれん草は、くせのない味に改良!
ほうれん草には、丸く厚みのある葉でアクが強い西洋ほうれん草と、ギザギザとした葉でアクが少ない東洋ほうれん草の2種類があります。今、主に流通しているほうれん草は、この2種類のいいところを組み合わせて品種改良したもので、アクが少なくくせのない味になっています。
また、冬季に出回る寒締めちぢみほうれん草は、寒さにあえて当てて甘みを引き出した品種です。スーパーなどで見かけたら、ぜひ味わってみてください。
ほうれん草の高い栄養価と注意すべき成分
冬季のほうれん草は寒さから身を守る機能によって、甘みが増しています。さらに、甘みだけでなく栄養価も冬に育ったもののほうが高いんです。これはほうれん草ならではの特徴です。
冬採りのほうれん草の栄養価は夏の倍以上!
冬の寒い時期はゆっくりと成長し、そのぶん多く土からの栄養が蓄えられるほうれん草。夏と冬のものでは栄養価が倍以上違います。特に、ビタミンCは100gあたり夏20mg、冬60mgと、3倍にもなるそうです。季節によって、これだけ栄養価に違いが出る野菜は珍しいですよ。
一方、夏のほうれん草は冬に比べて栄養価は低くなるとはいえ、夏場に出回る葉物の野菜は少ないので、ビタミンを摂取できる貴重な野菜として重宝されています。
骨や粘膜を強くする!ほうれん草の栄養効果
緑黄色野菜のほうれん草に多く含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAに変わり、粘膜を強化するなどうれしい働きがあります。β-カロテンは脂溶性なので油を使って調理することで、吸収率が高くなり、効率良く摂ることができますよ。
また、ほうれん草は、鉄分を多く含むことでおなじみですよね。それだけでなく、造血作用のあるビタミンKや骨の形成に必要とされる栄養素のマンガンも摂ることができます。
根元の部分がピンク色なのは、ベタシアニンという色素成分によるもの。ベタシアニンは抗酸化作用のあるポリフェノールの一種で、ボルシチの材料に使われるビーツやドラゴンフルーツ(ピタヤ)にも含まれています。
結石の原因になることもあるシュウ酸は下茹でで対策
ほうれん草は、結石の原因になることもあるシュウ酸が多い野菜です。生でたくさん食べるのはおすすめできませんが、シュウ酸は水に溶けるので、ほうれん草を下茹でして水にさらせば大丈夫です。
生食が好きな場合は、シュウ酸の少ないサラダほうれん草を選びましょう。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ