寒い時期の味覚のひとつである、ほうれん草。鍋に炒め物に…と考えていたのに、いつのまにかしなびてしまったという経験があるかたもいるのではないでしょうか。そこで、野菜ソムリエプロの福島玲子さんに、ほうれん草を長持ちさせる保存の仕方を聞きました。
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ほうれん草の正しい保存方法
ほうれん草をなるべくおいしくいただくために、正しい保存の仕方を知っておきましょう。
縦にして保存するのが基本
ほうれん草にかぎらず、野菜を加工しないで保存するときは、土に生えているときと同じ向きで置くのが基本です。なぜなら、野菜は収穫後も蒸散と呼吸を繰り返し、成長しているからです。育っているときと同様の向きにしておかないと、もとの状態に戻ろうとしてストレスがかかり、エネルギーを使います。それが味の劣化にもつながってしまうんです。
また、ほうれん草は乾燥しやすい野菜なので、新聞紙で包んでからビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
冷凍保存が一番おすすめ
一番理想的な保存の仕方は、買ってきた当日に茹でて水気をよく切ってから、使い勝手のよい大きさにカットして、フリーザーバッグで冷凍保存することです。
冷凍保存は2週間程度が目安です。それ以上の期間になると、冷凍庫のニオイが移ってしまいますので注意しましょう。
意外と知らない!ほうれん草の洗い方と茹で方のコツ
根には土がついているから、とほうれん草の葉の部分だけ料理に使っていませんか? でも、甘みも栄養も根本の方にたっぷり詰まっています。洗い方と茹で方を知って、ぜひ根までおいしく食べていただけたらうれしいです。
ほうれん草の根の洗い方のコツ
切って捨ててしまいがちなほうれん草の根本ですが、甘みが強く、ミネラルやポリフェノールも多く含んでいる部分です。捨ててしまってはかなりもったいないので、きれいに洗って食べることをおすすめします。
根元に十字の切り込みをいれて、ボウルなどにためた水に入れて振るい洗いをすると、土が落ちやすくきれいに洗うことができます。
おいしい茹で方は10秒待って一回転
茹でるときは沸騰したお湯に塩少々を入れて、根元から茎の太い部分までを入れて10秒待ち、葉をつけたら一回転させて取り出すのがベストです。
さっと茹でるだけでアクは流れますし、葉の食感も楽しめて、栄養も流れずに済みます。
水抜きは「醤油洗い」ワザでスッキリ
茹でたほうれん草が水っぽくなるのを防ぐために、食べる直前に水をよく絞りましょう。醤油を何滴かとって手のひらにひろげ、ほうれん草をぎゅっと絞る「醤油洗い」をすると、水分をきれいに絞ることができます。これは醤油に含まれる塩分による浸透作用です。
おひたしにするときには特にこの方法がおすすめです。ほうれん草の泥臭さも気になりづらくなります。ほうれん草だけでなく、青菜のものには基本的に使えるテクニックです。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ