
春の陽気に誘われて、旅に出かけるのを心待ちにしている人も多いのでは? 花開く春爛漫の旅はもちろんいいのですが、今回はあえての「まだ間に合う冬の魅力」を旅行ジャーナリストの村田和子さんが紹介します。
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2年にわたり冬場はコロナの拡大により、旅をあきらめ「冬の魅力はご無沙汰」というかたも多いかもしれません。今回は3月でも楽しめる、冬限定の絶景やアクティビティ、そして食の魅力を、トレンドやお得情報とともにお届けします。今を逃すと来シーズンまでお預け。まん延防止の状況を見守りつつ、日本の四季を感じる旅を計画してみてくださいね。

北陸で冬の美を堪能。美食に美湯、伝統工芸を感じる旅へ
まずは北陸の旅。毎冬、北陸3県(富山・石川・福井)ならびにJR3社(西日本・東海・東日本)が主になり、Japanese Beauty Hokuriku(ジャパニーズ・ビューティー・ホクリク)というキャンペーンを実施。「美食」「美観」「美技」「美湯」「美心」という5つの美をテーマに展開され、いつもと違う冬ならではの体験、個人で楽しめるアクティビティが豊富に揃います。

例えば、北陸の「美食」といえば「蟹」。金沢では、ズワイガニの中でも味に定評のある「加能(かのう)ガニ」を食したいところですが、気になるのがお値段。このキャンペーンの「冬のご褒美・金沢かにグルメ」プランでは、市内4店舗で1万2000円の均一価格のコースを用意。ズワイガニ漁は3月20日までなので、気になるかたは急いで。


穴場がお好みなら、富山県内で水揚げされるベニズワイガニ、「高志の紅ガニ(こしのあかがに)」はいかが? 新湊漁港で行われる珍しい「昼セリ(※)」を見学し、蟹を丸ごと一杯いただけるプランは、なんと2500円(他食べ放題プランもあり)。4月25日まで実施しているので、春旅に組み合わせて楽しめる蟹です。近くには海の貴婦人「帆船・海王丸」も停泊するなど、観光(美観)もぜひ。(※3月2日現在、新型コロナの拡大を受け、見学中止中。再開については、ホームページなどで確認を)

「美湯」も楽しみたいというかたには、福井県のあわら温泉で実施中の“おそとごはん“プランが一押し。9軒の旅館と温泉街の食事処8軒を組み合わせて予約できる宿泊プランは、なんと72通り! 3月27日までの土日祝は、東尋坊・永平寺への直行バスも運行され、美しい景色(美観)も存分に楽しめます。

福井県越前市の「萬谷」では、地元出身の天皇の料理番、秋山徳蔵氏の一番弟子、谷部金次郎氏監修のトリビュートセレクションのランチがいただけます。

地元食材を使ったスペシャルな料理に加え、越前刃物のカトラリー、越前和紙のランチョンマット、越前漆器など福井が誇る「美技」も堪能を。
ツアーもいいですが、北陸への旅には往復の特急と現地乗り放題のフリー切符が便利です。首都圏発で50歳以上なら、大人の休日倶楽部の会員限定「北陸フリーきっぷ(4日間有効・2万2410円)」、関西発着なら年齢問わず2名から利用できる「北陸フリーきっぷ(3日間有効・1万5850円)」などがあります。
※最新の情報はHP等でご確認ください
東北で冬の絶景と極上リゾートを満喫する
2月25日に岩手県安比高原にオープンした「ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート」は、全38室すべてがクラブルームというラグジュアリーホテル。「安比の自然との一体感」がテーマの客室からは、スキーゲレンデが目の前! 安比・八幡平の大自然を感じることができます。

「奇跡のシルキースノー」といわれる雪質を誇る安比高原スキー場は、4月10日までオープン。ゲレンデが目の前なのでスキーイン・アウトもスムーズで、スキーヤーにはたまらない立地です。

館内には、檜風呂と岩風呂の2種類の浴槽を備えた温泉やスパ施設も。そしてインターコンチネンタルホテルといえば、クラブラウンジのクオリティの高さにも定評があります。暖炉の炎があたたかな極上のラウンジで、朝食やティーサービス、夜にはフィンガーフードを手にお酒を楽しむ…まさに大人のスノーリゾート滞在が満喫できます。


■ANAインターコンチネンタル安比高原リゾート(https://www.appi.co.jp/stay/ana-intercontinental-appi-kogen-resort/)
静かで神秘的な雪景色を堪能!
他方、青森県十和田八幡平国立公園内にある奥入瀬渓流は、夏から秋には多くの人で賑わいますが、冬は静かで神秘的な雰囲気が漂います。

そんな奥入瀬に佇むのが「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」。館内からも奥入瀬の雪景色を楽しめます。

特筆すべきは、宿泊者向けの氷瀑(ひょうばく)ツアー。なんと参加費は無料! この氷瀑、一生に一度は見ておきたい、想像を超える迫力があります。


また、館内のフレンチレストラン「Sonore(ソノール)」では、冬限定メニューを提供。窓に映る雪景色を眺めながら、料理とワインを堪能する大人の時間が流れます。

北海道でダイナミックな絶景とパウダースノーを体感
冬季オリンピックをみながら「スキーをしたい」と思ったかたも多いはず。北海道で3月といえば、まだまだ冬の魅力が満載。スキー場は4月初旬まで、長いところだとゴールデンウィークまでオープンしています。

新千歳空港からJRの特急や直行バスでアクセスできるトマム スキー場は、パウダースノーの雪質に魅了されたリピーターも多く、晴天率があがる3月には、ゲレンデに移動式のシャンパンバーも登場。わくわくするリッチで大人スタイルのスキーが楽しめます。


トマムの魅力は、スキー以外の楽しみも多いこと。スノーシューや雪上バギー、スノーモービルなどでパウダースノーを楽しむのもよし。雲海で有名な標高1088mに位置する展望デッキは、「霧氷テラス」としてオープン(3月31日まで)。


スキーの途中に立ち寄ったり、ノンスキーヤーもゴンドラに乗ってアクセスOK。気軽に美しい冬の絶景が楽しめます。



霧氷をみられる確率は約70%と高く、私が訪れたときには風にのり霧氷が空気に舞い、ダイヤモンドダストを見ることもできました。トマムの冬の風物詩「アイスヴィレッジ」は、氷のバーやスイーツ作り、今シーズンはジップラインも登場し人気です。

霧氷テラスやアイスヴィレッジ、スキーや各種アクティビティは宿泊者以外の利用もOK。自分スタイルで、日本の冬、パウダースノーを存分に満喫しちゃいましょう。
◆教えてくれたのは:旅行ジャーナリスト・村田和子さん

旅行ジャーナリスト。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、旅の魅力を媒体で発信。宿のアドバイザー・講演なども行う。子どもと47都道府県を踏破した経験から「旅育メソッド(R)」を提唱、著書に「旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ(日本実業出版社・2018)」。現在は50歳を迎え、子どもも大学生となり、人生100年時代を楽しむ旅を研究中。資格に総合旅行業務取扱管理者、1級販売士、クルーズアドバイザーなど。2016年よりNHKラジオ『Nらじ』月一レギュラー。トラベルナレッジ代表(https://www.travel-k.com/)。旅ブログも行っている(http://www.murata-kazuko.com/)。
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