健康・医療

春の“プチうつ”対策に焼いたブロッコリーがおすすめ!その理由を管理栄養士が解説

ブロッコリー入りのグラタン
プチうつ対策に焼いたブロッコリーがおすすめ(Ph/AFLO)
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春は暖かくて過ごしやすいはずなのに、何だかやる気が出ない…と悩む人もいるのではないでしょうか。あんしん漢方の管理栄養士・小玉奈津実さんによると、その原因は春特有の気候や気圧の変化にあるかもしれないそうです。そこで、春にプチうつ症状が起こりやすくなる原因や、症状を改善する食べ物を教えてもらいました。

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メンタルの不調は心理的ストレスだけが原因とは限らない

春は生活環境が変わりやすいため、プチうつの症状に心のストレスが関係していると考える人も多いのではないでしょうか。しかし、不調の原因はストレスだけでなく、春の気候や気圧の変化による影響もあるといわれています。

春のプチうつ症状をチェック

春のプチうつ症状はセルフチェックすることができます。明確な基準はないので、数個でも気をつけるのがおすすめですが、5個以上あてはまると要注意です。

・趣味や好きなものへの興味がなくなった
・集中力がなく、ぼーっとすることがある
・疲れやすくなった
・イライラしやすい
・最近眠れない日が多い
・食欲が落ちた
・新生活を前に焦りや緊張感がある

胸を押さえる女性
春の“プチうつ”の原因を解説
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なぜ春はメンタルの不調が起こる?

春にプチうつ症状が起こる原因は生活環境の変化と気候の変化による、自律神経の乱れと考えられます。春は転居や部署異動、家庭では子供の入学や就職など、何かと生活環境が変わりやすい季節です。その影響が心理的ストレスにあたります。

さらに、気候に関しても、春の訪れを告げる三寒四温という言葉があるほど、春は1年のなかでも特に寒暖差が激しい季節です。このような変化に対応するために、自律神経の1つである交感神経が優位になる状態(緊張状態)が続きやすくなります。

緊張状態が過剰だと疲れやすく、気分が落ち込むなどのプチうつが発症しやすい状態になってしまいます。

春のプチうつ対策に取り入れたい食材

春のプチうつを解消するためには、適度な休息や運動、質のいい睡眠をとるなど、生活リズムを整えるといいといわれています。さらに、元気のもととなる食事が大切です。そこで、管理栄養士がすすめるプチうつの改善に効果的な食べ物を紹介します。

焼きブロッコリー

ブロッコリーの原因
ブロッコリーの栄養を逃さず食べるには焼くのが◎
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ブロッコリーに豊富に含まれる葉酸は、たんぱく質や神経伝達物質の合成に関わるビタミンB群の一種で、不足すると神経過敏やうつ状態を引き起こしやすいと示唆されています。ブロッコリー100gあたりの葉酸含有量は450μgで、これは野菜の中でトップクラスです。(日本食品標準成分表2020年版八訂)

また、国立国際医療研究センターの研究をはじめとして「葉酸の摂取はうつ病予防が期待できる」という結果も多く出ているのです。葉酸は水溶性ビタミンで、茹でると栄養が流れ出る可能性があるため、ブロッコリーの葉酸を効率よく摂取するには、焼いて食べることをおすすめします。

たらこ

焼きたらこ
ビタミンB群が豊富なたらこ
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たらこは、プチうつ改善が期待できるパントテン酸やナイアシンといったビタミンB群が豊富な食べ物です。

パントテン酸は別名「抗ストレスのビタミン」と呼ばれています。自律神経の神経伝達物質を生成するのに必要な栄養素で、不足するとうつや食欲不振などが起こりやすくなるといわれています。ナイアシンは、自律神経を整える「セロトニン」の合成をサポートする栄養素です。朝ごはんにたらこを食べて、1日のスタートに元気のもとをチャージしましょう。なお、たらこは塩分が多いので食べ過ぎには注意してください。

チーズ

カットしたチーズ
アミノ酸の一種であるトリプトファンが豊富なチーズ
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チーズに豊富に含まれているトリプトファンはアミノ酸の一種で、自律神経を整えるセロトニンの材料となります。体内で作ることができないため、意識して摂りたい栄養素です。

また、チーズはカルシウムが豊富。カルシウムは神経を安定させる作用も期待できるので積極的に摂りましょう。さらに、チーズは発酵食品なので、善玉菌を刺激する、整腸作用が期待できます。セロトニンの多くは腸管で作られているため、腸内環境を整えることも大切です。

安定したメンタルを保つには漢方薬もおすすめ

食事や生活習慣に気を付けていても気分が晴れないときは、漢方薬をのむという方法もあります。漢方薬は、心療内科や精神科の治療でも使われている薬です。

漢方医学においてメンタルの不調は、ストレスなどにより自律神経のバランスが乱れて免疫力が低下することを原因としていて、この状態を放置すると、さまざまな病気へとつながると考えられています。

自然由来の漢方薬によって、体のバランスを整えて自然治癒力を高め、症状を根本的に改善することを目的としているのです。

漢方茶
気分の落ち込みにおすすめの漢方薬を紹介
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気分の落ち込みにおすすめの漢方薬2つ

・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡加竜骨牡蛎湯は、些細なことが気になる、イライラする、緊張感が強い、などの症状に用いられます。

→柴胡加竜骨牡蛎湯について詳しく知る

・加味帰脾湯(かみきひとう)

加味帰脾湯は、不安感が強い、悲観的になりやすいという心理的な症状や、貧血があるときなどに用いられます。

→加味帰脾湯について詳しく知る

漢方薬を始めるときの注意点

漢方薬は繰り返す不調に対して、根本からの改善が期待できる薬です。そのため、食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。

ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬をみつけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。

◆教えてくれたのは:管理栄養士・小玉奈津実さん

管理栄養士の小玉奈津実さん
管理栄養士・小玉奈津実さん
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管理栄養士資格取得から食に関する職務に携わってきて15年目。サプリメントの商品開発・外食のメニュー開発・高齢者施設の栄養価計算や献立作成などに従事。現在はサプリメントの監修や食に関する記事の執筆、オンライン栄養指導などフリーの管理栄養士として活動中。さらに、オンラインで漢方を購入できる「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)で情報発信もしている。

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