音楽を聴きながら涙が止まらなくなった
母ちゃんの死が現実のものとして受け止められたのは三十五日の法要から東京に帰ってきた翌日のこと。
それまで母ちゃんの死はどこか絵空事で、ふとした瞬間に「ああ、もう介護の心配をしなくていいんだ」とホッとして息を吐いたり、かと思えば母ちゃんの好物の餃子を見るとばく然と思い出したりしていたけど、きっと気持ちは強張ったままだったんだと思う。
それが先日、YouTubeで音楽を聴いていたら、突然、なんの前触れもなく涙が溢れてきたのよ。いったん泣き出したら止まらない。わーっと声をあげて泣いたのは年子の弟が死んでから初めてだ。母ちゃんの死と、もう二度と会えないという現実がちゃんと私の体の中に落ちてきたの。
「初盆が終わると、肩の荷がすーっと降りるってこれはみんな言うね」と同級生のE子は言う。その前に再来週は四十五日。その後、私はどんな気持ちになるのか。とにかく今は、何かというと泣き崩れそうになるから、人と会うときは要注意だ。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。
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