深キョンのカワイイ自己アピール曲
自己紹介まではいかないが、歌い手の名前が入っていることで親しみを感じられる曲もある。私が個人的に好きなのは、深田恭子さんの『キミノヒトミニコイシテル』(2001年)である。深キョンが自らを「深田」と呼び、とてもかわいい。本当に可愛い。最高に可愛い。
興味深いのは、深田恭子さんは、声と歌い方は若い頃から超女優的である。デビュー曲『最後の果実』(1999年)で感心したのだが、素の不思議ちゃん的なキャラクターが、歌になると「ミステリアス」になるのだ。ちゃんと歌詞の世界のヒロインを演じていて、大人びた声が独特の色気を漂わせる。『キミノヒトミニコイシテル』は若さ弾けるポップな曲だが、深キョンの落ち着いた歌い方とのギャップが良き! 少女の包容力と危うさみたいなものを感じて、ものすごく惹かれてしまう。
グループアイドルの自己紹介ソング
さて、「自己紹介ソング」に話を戻そう。このジャンルで最も参考になるのは、短いフレーズでメンバーの特徴を覚える工夫がされている、グループアイドルの曲だろう。
辻希美さん、加護亜依さんのラストシングルとなったモーニング娘。の『女子かしまし物語』(2004年)はそれぞれの性格に合わせたセリフが印象的。コンサートでは現メンバーに合わせた『女子かしまし物語』が作られ、歌い継がれているのも素晴らしい。
もう一組、自己紹介を「ストーリー」としてガッチリ作り上げてくるのがももいろクローバーZ!
6人だった「ももいろクローバー」時代のデビュー曲『行くぜっ! 怪盗少女』(2010年)は、学校が終わったあと制服を脱ぎ捨てて「あなたの心を盗む」怪盗少女になるというイカシた設定。
5人になってからは、ゴレンジャーの如くメンバーカラーを前に出した『Z伝説 〜終わりなき革命〜』(2011年)を発表。アニメソングのカリスマ水木一郎さんによる「Z!」の叫び、そして間奏の、総合格闘技イベントPRIDEのナレーターとして有名な立木文彦さんによる、「説明しよう!」から始まる彼女たちの紹介は圧巻である。