
夏野菜のとうもろこしには、バテがちな暑い季節にうれしい栄養が豊富に含まれていると野菜ソムリエプロの福島玲子さんはいいます。そこで、とうもろこしの栄養や豆知識、おすすめのレシピなどを教えてもらいました。
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とうもろこしには夏に摂りたい栄養が豊富!
とうもろこしは、炭水化物を多く含む高エネルギー食材です。ほかにも、暑い夏を乗り切るにふさわしい、さまざまな栄養が含まれています。
エネルギー代謝にかかわるビタミンB群が夏に◎
ビタミンB群を多く含むとうもろこし。ビタミンB1やB2はエネルギーの代謝に大きくかかわる栄養素なので、夏バテで食欲不振になったり、だるさや疲労感のある人には特におすすめです。
また、とうもろこしの実の薄皮にはセルロースという不溶性食物繊維も豊富に含まれています。セルロースには腸内環境の改善や、腸内で水分を吸収して膨らみ、便通をよくする働きがあります。

必須脂肪酸やカリウムも摂ることができる
ほかにもとうもろこしは、リノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸をたくさん含んでいます。不飽和脂肪酸の中でもリノール酸は必須脂肪酸といわれ、体内では合成できない重要な栄養素なんです。総コレステロールを減らす効果があるので、生活習慣病の予防につながりますよ。
また、カリウムも多く含まれています。カリウムは人体に必要なミネラルの一種で、ナトリウムを体外に排出する作用があります。塩分の摂りすぎを調節してくれるので、高血圧予防によいとされています。

とうもろこしの豆知識&おすすめレシピ
とうもろこしには、たくさんの種類があることを知っていますか? 一般的にとうもろこしと呼ばれている品種は「スイートコーン(甘味種)」です。多種多様なとうもろこしについてご紹介します。
豊富な品種があり、身近な食べ物のとうもろこし
スイートコーンの中にも、粒が濃い黄色のゴールデンコーン、粒が白色のシルバーコーン、黄色の粒と白色の粒が混在しているバイカラーコーンなどの品種があります。焼いたり茹でたりするだけでなく、近年ではみずみずしさと甘さが特徴の生食可能なとうもろこしも増えています。

サラダや中華料理に使われることが多い「ヤングコーン」は、スイートコーンの実が大きくなる前に収穫したものです。加熱調理をして水煮などのパックで売られているものは通年で手に入りますが、旬の時期には生のものがスーパーに並ぶことも。生のヤングコーンは、加工品とは違うシャキシャキとした食感を楽しめます。またヤングコーンのひげもさっと炒めて食べることができますのでぜひ実と一緒に調理してみてください。

ほかにも、お菓子のポップコーンに使われる品種「ポップコーン(爆裂種)」は粒の皮がとても硬いのが特徴。加熱すると硬い皮に包まれた粒の中の水分が破裂して、ポップコーンができ上がります。また、飼料として使われている「デントコーン(馬歯種)」も、コーンオイルやコーンスターチの原料です。
プロおすすめのとうもろこしレシピ
ご飯と一緒に炊くことで、ふんわりと甘い「とうもろこしご飯」ができます。米2合、とうもろこし1本(ほぐした実と芯)、塩小さじ1、酒大さじ1/2を合わせて炊飯器に入れて炊くだけ、と簡単。

芯からも甘みのあるダシが出るので、一緒に炊くのがおいしく作るコツです。炊き上がったら芯を取り出して、さっくりと全体を混ぜましょう。カラフルな見た目が食欲をそそる、おすすめの一品です。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ