
かぼちゃは夏から初秋にかけて収穫され、3か月ほど寝かせてからスーパーなどに並びます。「寝かせることで、でんぷんが糖分に変わり、甘みが出てくるのです」と教えてくれた野菜ソムリエプロの福島玲子さんに、おいしいかぼちゃを見極める方法と保存のコツを教えてもらいました。
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かぼちゃを選ぶポイントは形、軸、重さ、色むら
かぼちゃは寝かせることで、でんぷんが分解されて糖分に変わり成熟します。熟した西洋かぼちゃは甘みが強く、ほくほくとした食感を楽しむことができます。日本かぼちゃは、粘質で甘み抑えめで滋味深い味を楽しむことができます。
まるごと買うときは形と重さをチェック
1個まるごと購入するときは、左右対称に丸くなっているものを選びましょう。形が整っている方が、栄養が全体に行き渡っていておいしいですよ。

さらに、軸のまわりがへこみ、切り口が乾燥してコルク上になっているのが成熟しているサインです。軸は太いものの方が、栄養がより多く運ばれた実だといえます。
そして、手に持った時ずっしりと重みを感じるものが、実が詰まっていておいしいと言われています。
色むらはオレンジが濃いものを選ぶのがコツ
かぼちゃは果肉の色が濃いオレンジのものがおいしいと言われているので、カットかぼちゃは断面の色をチェックしましょう。加えて、肉厚で種がふっくらとしているものがいいですよ。
種がぺたんこになっているものは、未熟なうちに収穫されたものです。甘みやほくほく感が足りないものが多いので避けてくださいね。

カットされていないかぼちゃの場合は、皮の色むらから果肉の色を知ることができます。黄色やオレンジになっている部分は皮が日焼けしておらず、果肉の色と同じなので、切らなくても果肉の色を知ることができます。つまり、オレンジの色むらがあれば、それは果肉もオレンジ色であるということ。おいしいかぼちゃだと判断できます。また、皮に色むらがあっても、味に影響はありません。

皮はツヤがあるもののほうがいいとされています。ただし、あまり見かけることはないですが「菊かぼちゃ」や「日向かぼちゃ」などの表面がでこぼことした日本かぼちゃの場合は、白く粉をふいた状態になったもののほうがよいと言えます。
1個とカットで保存法が異なるかぼちゃ
かぼちゃは丸ごと1個買って保存しておくと、追熟が進んで甘みや栄養価が高まりますが、カットすると傷みやすくなります。それぞれに適した方法で保存しましょう。
まるごとなら冷暗所、カットなら冷蔵庫で日持ち
かぼちゃは丸ごとなら保存性が高い野菜で、涼しく風通しの良い冷暗所で保存すれば2か月程度は持ちます。

カットした場合は、ワタの部分から傷み始めるので注意です。スプーンなどでワタと種を取り除き、キッチンペーパーなどで水分を拭き取ってから、ぴったりとラップをしましょう。そうすることで、野菜室で1週間ほど保存できます。
冷凍保存はカットまたはマッシュにして
冷凍保存の場合は、冷蔵と同様に種とワタを取りのぞき、使用しやすい大きさにカットします。保存袋に入れて、冷凍後1か月程度で使い切りましょう。
煮物に使うならば、面取り(切った野菜の角を薄くそぎ取ること)をしてから冷凍すると、そのまま鍋に入れて調理することができて便利です。

また、マッシュにして冷凍保存してもOKです。加熱した実をマッシャーなどでなめらかになるまでつぶし、冷めたら1回分ずつ小分けにして、ラップの上に広げて包みましょう。保存袋に入れて冷凍しておけば、ポタージュやソースなどに活用できます。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ