異物誤飲や転落のリスクをなるべく減らす
ストレス対策の他にも、飼い主さんが子犬の健康を守るために注意すべきことがあります。
「異物誤飲や転落といった事故も、子犬には起きやすいことなので、注意してなるべく防ぎましょう。子犬は好奇心が旺盛で、鼻先が届くところに何かあれば、すぐに口に入れてしまいます。毎年、1歳未満の子犬の7~8%が異物誤飲で病院にかかっています」
対策としては、やはり子犬の行動範囲に誤飲しそうなものを放置しないこと。ペットゲート、ペットフェンスといった可搬型の柵などを使って子犬の行動範囲を制限し、その中を完璧にキレイにしておく方法もあります。
子犬の転落は要注意
また、子犬の転落は、人間にとってはそれほど高くない場所からであっても大ケガをする可能性があるので要注意です。
「日本では人気犬種の上位は小型犬が占めていますよね。小型犬の子犬は前足や後ろ足の骨がとても細いので、人間の腰の高さから落ちても骨折することがあります。抱っこしていて落とすことがないように注意しましょう。抱っこするならなるべく飼い主さんが座った状態がいいですね。
また、子犬がソファの上で遊んでいて自分で転落して骨を折ることもあるので、子犬はある程度大きくなるまでソファやベッドに上がらせないほうが無難です。もちろん、大きくなっても関節への負担を考慮すると、自分でジャンプして登り降りするのは避けたほうがよいですね」
感染症予防のためのワクチン接種
子犬は抵抗力が弱いので、感染症の予防策も万全にしておく必要があります。
「ペットショップやブリーダーの元にいる間に、混合ワクチンの1回目を接種する子がほとんどなので、家に来てすぐでなくて構いませんが、1回目接種から3~4週空けて2回目、さらに3~4週空けて3回目を打って、十分な抗体をつけたいですね。その後は、1年に1回接種するという間隔が一般的です」
ワクチンの2回目、3回目接種が済むまで、お散歩デビューや先輩ペットとの対面を待つと、感染症予防の意味では理想的といえます。ただし、ワクチンが完了していなくても他の犬や外の環境に直接、触れないように気を付ければ、抱っこなどで外に出しても大丈夫です。抱っこしながら外の景色や匂いを感じさせてあげるのは、子犬の社会化にもおすすめです。
◆教えてくれたのは:獣医師・山本昌彦さん
獣医師。アニコム先進医療研究所(本社・東京都新宿区)病院運営部長。東京農工大学獣医学科卒業(獣医内科学研究室)。動物病院、アクサ損害保険勤務を経て、現職へ従事。https://www.anicom-sompo.co.jp/
取材・文/赤坂麻実
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