ライフ

65歳オバ記者、感染して初めてわかった「コロナの怖さ」と周囲に感染させてしまった自責の念

オバ記者
元日にコロナに感染していたことが判明(写真は2023年1月1日、初日の出を見に行ったとき)
写真9枚

新年があけても新型コロナの感染拡大は収まらず、感染者は増える一方。そんななか、ライター歴30年を超えるベテランのオバ記者こと野原広子(65歳)が感染していることが判明! 感染して初めてわかったという「コロナの怖さ」についてリポートする。

* * *

「卵巣がん疑い」で手術の次はコロナ感染

それにしてもこんなにご難続きってあるのかしら。去年の夏から秋にかけて卵巣がんの疑いで大学病院で6時間に及ぶ大手術をしたばかり。こちらは卵巣がんではなくて境界悪性腫瘍という良性腫瘍と悪性腫瘍の中間、という診断で、退院して3週間目の診察で「大丈夫。今日からスポーツしてもいいですよ」というお墨付きをいただいたばかりだ。

オバ記者
「卵巣がんの疑い」で手術を受けた直後のオバ記者
写真9枚

それから2か月もたたないのに今度はコロナ? まったく「私、何か悪いことした?」とお天道さまに聞きたいくらいよ。

とはいえ、なんかイヤな感じはしていたんだよね。去年の12月に入ったころから「実は…」という話がちょくちょく耳に入るようになったのよ。仕事仲間に「しばらくだけどどうしてたの?」と聞いたら「実はコロナで」とか。

仕事仲間だけじゃない。介護施設で働く知人とか、行きつけの和食屋さんのカウンターで知り合った人とか、感染する人はランダムなんだよね。最初はビックリしたけど、そのうち目の前で笑っている人の顔を何人も見ているうちに私も慣れてきて、「オミクロン株じゃたいしたことないもんね」とか、「ま、どんなに対策しても感染するときはするしね」とか言ったりして。

オバ記者
手術からは復活。こんなに体調良好だったのに…
写真9枚

「コロナの怖さを何も知らなかった」

まったく、なんてバカだったのかしら。私はコロナの怖さを何も知らなかったのよ。

私が元日に発症してからずっと考えているのは、私は誰から感染したか、ということ。年末、3人の会食を2回したけどみんな無事。ってことは思い当たるのはものすごい混雑っぷりだった12月29日のデバ地下なんだよね。買い物をしながら「ここ、ヤバくね?」と思ったんだよね。

とはいえ確証はない。つまり、誰から感染したかはわからない。だけど誰にうつしたかはハッキリしているんだわ。大晦日、空咳をしていた私を大歓迎してくれた弟夫婦と年越しに招待してくれた福島の親戚の人たちだ。

実は紅白を見ながら大ご馳走をいただきはじめたころから、どことなく調子がよくなくて、お酒は乾杯プラス1杯。そして午後8時には用意してくれた部屋で横になっだけど、発熱している感じではないの。

なんとなく体調が悪いと感じながら紅白観戦
なんとなく体調が悪いと感じながら紅白を見ていたが…
写真9枚

元旦は日の出に合わせてみんなで車で海へ。この時もとりたてて体調が悪い感じじゃなかったんだよね。

だけど、元日の昼過ぎ、福島の親戚の家から茨城に向かう途中で身体がキツくなってきて、咳の質も変わってきたの。ちょっと咳き込むくらいだったのが、年寄りが苦しげにゲーッ、ゲーホ~ッ!ってやるあんな感じよ。

それで夕方、茨城から電車で東京の自宅に帰ってきて、まさかと思いつつ検査キットにツバをのせてみたら、ハッキリクッキリの陽性!

それから今日まで、ひとりコロナと格闘しながらコロナの不気味さをいやというほど知ることになったの。

コロナ陽性が発覚!
コロナ陽性が発覚!
写真9枚

体温は37度1分が最高、次々に別の症状が

ノドの一点だけにイヤ〜な痛みがあったり、夜中の頻尿、頭痛、だるさ。何かが収まってきたと思ったら、また別の症状が出てくるからどんどん不安になるんだわ。

10年以上前にインフルエンザになったことがあって、身体がだるくて身動きが取れないという意味では同じだけど、今回はどんな症状が出ても発熱だけはしないんだよね。

コロナといえば発熱。熱が出たらまず病院に電話をして、発熱外来で診察を受ける予約をする。と、これが常識ということは私だって知っている。

でも発症した元日の体温が最高で、37度1分。あとはずーっと平熱だから、発熱外来にも行かなかった。てか、それ以前に自分がコロナに感染しているとは思わなかったのよ。

オバ記者
37度1分は元日だけ。あとはずっと平熱だった
写真9枚

そのせいで、弟夫婦や私を歓待してくれた福島の親戚を感染させたと思ったら、ほんと、いたたまれないのよ。昼夜問わず、寝ては起きて何か口にしたらまた寝る。その夢うつつの間、私が感染させた身内を思って、何回ベッドでのたうち回ったか。

かかりつけ医の医院は1月5日まで正月休み中で、6日朝、さっそく電話で症状と経過を話したら「超軽症」という見立て。「自宅隔離は明日までで、明後日からは普通の生活をしてもいいですよ」とお墨付きをくれた。

感染させた弟夫婦への電話は何度もためらった

夕方には私は65歳の高齢者だからと、保健所からも電話がきた。こちらは年配の女性で、私はここぞとばかりに「発熱外来って名づけていると、発熱してないからコロナじゃないんじゃね?と私みたいに油断する人が出るから、発熱しなくてもコロナ。咳をしたらコロナかもって発信したほうがいいですよ」とまくしたてたわよ。

今だからわかるんだけど、その前の誰とも話さずひとり悶々としていた6日間が心身のきつさのビーク。かかりつけ医や、見ず知らずの保健所の人と話ができてものすごく安心したんだよね。

ひとり暮らしの長い私は、体調が悪くなると内にこもるクセがある。誰かに相談してどうなるもんじゃないから、風邪くらいなら誰にも言わない。だけどコロナはそんなことは許されないわよ。

だけど、「どうした?」と弟夫婦に電話をするのは何度もためらった。やっと電話で聞いたら、2人とも高熱。特に義妹は40度近い熱が出ているとか。福島の親戚も寝込んでいるそう。

オバ記者
弟夫婦も福島の親戚も正月後、体調を崩していた
写真9枚

もし何かあったら私は生きていられないよ。と、そんなことを思っているうちに睡魔が襲ってきて起きていられなくなる。

「大丈夫? ほんとにごめん」と謝ったところで自分が安心したいだけじゃないか。感染させた加害者の私に何ができる。

目を覚ましている間中、こんな思いが堂々巡りして、不安定な身体に不安定な気持ちが重なって、にっちもさっちもいかなくなる。コロナは被害者、加害者がハッキリしたときに恐ろしさが一段あがるなんて、私は考えたことがなかった。

私みたいな発熱しないコロナ感染者がウイルスをばら撒いて重症者を作る。きっとこれからこんなことがあちこちで起きるんだよね。

今も続く体の不調 ワクチンは2回目が最後だった

で、発症7日で自宅隔離をとかれたけど、ちょっと調子が良いからと外出すると、翌日とか翌々日に身体が沈み込みそうなダルさに襲われたり、なぜか鼻風邪の症状が出たりする。

たとえて言えば、向こうにトンネルの出口が見えていて、お、もう少しで抜け出せそうだぞ、と小走りになるとまたまた暗闇に戻されて、光が遠のいていく。

その繰り返しだ。

「で、ワクチンは何回打っていたの?」と、私の注射嫌いを知る友だちから聞かれたし、そういえばかかりつけ医にも「最終的に何回打ちましたか?」と聞かれたっけ。

私は一昨年の6月に2回目、ファイザーのワクチンを打ったのが最後だった。昨年の9月末に子宮と卵巣の全摘出手術をするため、大学病院に入院したときも、PCR検査は受けたけど、ワクチンを打てとは言われなかった。

もし、私がワクチンを5回きっちり打っていたらコロナにならなかったのか。

オバ記者
ワクチンを打った方がよかったのか…?初日の出を見たときはすでに体調に異変が
写真9枚

注射が大嫌いな上、ワクチンの後遺症のニュースを聞いたりするとワクチンは2回でいいかなと思っていた私。だけど「絶対に感染しない」というなら、イヤ、リスクが少なくなるというなら5回、打つと思う。

そんな確約がないから、迷うんだけどね。

◆ライター・オバ記者(野原広子)

オバ記者イラスト
オバ記者ことライターの野原広子
写真9枚

1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。昨年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。

【330】65歳オバ記者が振り返る“激動の1年” 母親の死から、卵巣がん疑い手術、『あさイチ』生出演まで

【329】「卵巣がんの疑い」手術から2か月半、65歳オバ記者が「乗り切った!」と達成感を覚えた瞬間

→オバ記者の過去の連載はコチラ

関連キーワード