
キャベツは、名前の由来となった「キャベジン」のほかにも、さまざまな栄養素を含む野菜です。旬を迎えるキャベツの栄養素やおすすめレシピなどについて、野菜ソムリエプロの福島玲子さんから教えてもらいました。
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胃腸に◎なキャベツの栄養素や効率のよい食べ方
キャベツの栄養の特徴といえば、まずは「キャベジン」とも呼ばれるビタミンUです。市販の胃腸薬の名前でも聞いたことがあるかもしれませんが、これはキャベツが由来となっている栄養素で、厳密に言えばビタミンではなく、ビタミン様物質と言われています.
ビタミンUには、胃酸の分泌を抑えて、粘膜の修復を助ける効果があります。胃腸の健康維持効果も期待できます。水に溶けやすく熱に弱い性質があるため、サラダなど生のまま食べると効率よく摂れますよ。加熱調理する場合は、短時間で調理すれば損失を少なく抑えられます。
また、でんぷん分解酵素であるジアスターゼもたっぷり。消化を助けて、胃もたれや胸焼けなどに効果があると言われています。このようにキャベツは胃にやさしい栄養が多く、とんかつなどの揚げ物に添えてある理由も納得ですよね。

抗酸化作用のビタミンCとKもたっぷり
キャベツには、ビタミンCとKもたっぷりです。ビタミンCには、風邪の予防や疲労回復、ストレス解消効果があります。抗酸化作用があり、お肌の健康も守ってくれるうれしい栄養です。水に溶けやすい性質があるので、効率よく摂るにはスープなどのメニューをおすすめします。
ビタミンKは、出血を止めるために必要な成分の生成に不可欠な栄養素です。不足すると、止血に時間がかかってしまう可能性があります。さらに、骨の健康を維持する効果も。脂溶性ビタミンで油に溶け出しやすい性質があるため、油を使った炒め物やソテーにすると余すことなく摂ることができますよ。
紫色や赤色のキャベツには独特の栄養アリ
紫キャベツやレッドキャベツからは、赤の色の理由になっているポリフェノールの一種、アントシアニンを摂ることができます。アントシアニンは強い抗酸化作用を持ち、目や体の老化防止に欠かせない栄養素です。

また、赤色や紫色のキャベツには一般的な緑色のキャベツの1.5倍ほどのビタミンKが含まれています。あまりなじみがないかもしれませんが、赤色や紫色のキャベツは食卓に取り入れると彩りがきれいになりますし、栄養も豊富でおすすめです。
キャベツのヘルシーレシピとカットのコツ
冬キャベツは葉の巻きがしっかりして甘みがあるので煮込み料理に最適、春キャベツは巻きがゆるくて葉がやわらかいため生食にも向いています。旬によってレシピを変えておいしくいただきましょう。
キャベツ消費&ダイエット中におすすめレシピを紹介
キャベツは炒めても焼いても、スープにしてもおいしい野菜です。栄養価も高く、調理法を工夫すればダイエットにもぴったりの食材になります。おすすめの調理法は、「お好み焼き風キャベツ焼き」です。

作り方は、まずキャベツを千切りにしてから、卵を2個溶いて混ぜます。さらにフライパンに油を引き、ベーコン(2~3枚)の上にキャベツと卵を合わせたものをのせて焼きます。火が通ったらひっくり返して、焼き目がつけば完成です。小麦粉を使わないことで糖質が抑えられ、イタリアンオムレツのような味わいになります。ソースにも合いますし、キャベツの大量消費にも便利なレシピです。
ほかにも、細切りにしたキャベツをミネストローネなどのスープに入れれば、キャベツを麺に見立てた満足感のあるダイエットレシピができ上がります。

また、8等分くらいにカットしたキャベツを好みの加減までフライパンで焼くだけの「キャベツのステーキ」も簡単でおいしく、ヘルシーです。味付けは焼き肉のタレや白だしなどお好みで、ゴマやのりを振りかけるのもいいですよ。
キャベツをカットするときは水平に切る?
キャベツを1個買って切り分けるとき、地面に対し垂直にカットしがちだと思います。けれど、水平に切って使うのがおすすめなんです。上半球と下半球に分けて、半分にするイメージです。

キャベツは、上のほうが葉が薄くてさっと火が入り、下のほうが肉厚で加熱に時間がかかりがちです。そこで、横にカットすれば、たとえばやわらかい上部を千切りキャベツやお好み焼きの具に、下部の肉厚の部分をスープの具や炒めものに…など調理法を分けやすく、加熱時間の調整も必要ないので使い勝手がいいんです。料理がラクになるので、ぜひ試してみてください。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん

ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ