
「おしゃれは足元から」。冬に格段に出番の増えるブーツに着目。皇后雅子さまの冬の「ブーツファッション」を振り返りつつ、ブーツとアウターボトムの合わせ方など、その着こなしのポイントをスタイリストの横山麻里さんに解説してもらいます。
大人女性が選ぶべき冬のブーツは?
冬に大活躍するブーツですが、大人の女性にはどんなデザインのブーツが、そしてどんなふうにブーツを合わせるのがおすすめなのでしょうか。
「カラーブーツやニーハイブーツは難易度が高いので、スカートにも、パンツにも合わせられる、シンプルなショートブーツがおすすめです。スカートには、ロングブーツを合わせて、肌見せをせずに、ボトムとつなげる着こなしもおしゃれです。色は、黒やブラウンのベーシックカラーがボトムともなじませやすく、ボトムとブーツの色をつなぐと、脚長効果も期待できます。
また、ブーツのカラーをバッグなど小物に取り入れると、よりコーディネートに統一感が出て、品よく決まります。ブーツは少しヒールがあるデザインだと、カジュアルにも、きれいめコーディネートにも合い、全体のバランスもよくなります」(横山さん・以下同)
インパクト大の赤コートに締め色の黒を点在させてスタイリッシュに
1997年2月、秋田県鹿角市・鹿角観光ふるさと館「あんとらあ」を訪問された際は、鮮やかな赤のダブルボタンのチェスターフィールドコートに黒のブーツ、黒のベレー帽をお召しに。


「デザインコートが主役の華やかなコーディネート。低めのヒール、太めの筒周りのブーツや、ベレー帽を合わせることで、コンサバに決めすぎていないのもおしゃれです。赤×黒の統一感のある着こなしはとてもスタイリッシュ。コントラストが強いですが、イヤリングやリングのツヤ感が女性らしさも醸し出しています。
ダークカラーになりがちな冬のコーディネート。カラーコートをまとい、その他を黒でまとめる着こなしは、マネしやすくおすすめです。パールなどツヤ感のある女性らしいアクセサリーをプラスすると、やわらかい印象に仕上げられます」
お気に入りカラーのロングコートに黒ブーツがドレッシー
1998年2月、長野五輪で、アイスホッケーの試合を観戦される際は、ロイヤルブルーのコートに黒のブーツをお召しでした。

「ロングコートに黒のロングブーツを合わせると、Iラインが強調され、スタイルアップ効果を発揮します。シンプルなデザインのブーツは、ボタンがアクセントのコートをより引き立ててくれますね。小物は、黒でまとめていますが、手袋のファー使いや光沢のあるバッグなど素材の違う黒を散りばめて、コーディネートが単調になっていないところも素敵です。全体のカラーは2色でも、色々な素材を取り入れることで、おしゃれな印象ですね。
ロングコートには、コートの裾から、スカートを覗かせずに、ブーツで繋げる(パンツであれば、パンツとブーツのカラーをそろえる)と、バランスよく決まります。ブーツはダークトーンを選び、ポイントになるイヤリングやストールを顔周りにプラスすると、視線が上がり、スタイルアップ効果が上がります」
モノトーンコーデはパンツと同じ黒のブーツで脚長効果を発揮
2006年3月、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)アジアラウンドの日本-韓国戦を観戦された天皇陛下(当時は皇太子)と雅子さま。雅子さまの足元はパンツと同じ黒のブーツでした。


「モノトーンでまとめた、クールな印象のコーディネート。メンズライクな雰囲気の中に、ワンハンドルのバッグや、パールのイヤリングで女性らしさも添えられています。ボトムは、パンツとブーツの色を合わせることで、脚長効果がプラス。パンツは細身すぎず、ゆとりのあるデザインが、少し太めのヒールのブーツと相性よくまとまっています。
黒パンツ×黒ブーツの合わせは、いちばん脚長効果が発揮されるブーツコーデ。パンツは、スキニーでラインを出すより、少しゆとりのあるデザインのパンツを選ぶと、アラフィフ世代は、上品に仕上がります。トップスは、柄やカラー、アクセントになるアクセサリーを合わせると、重たくならず目線も上に行くのでおすすめです」
カジュアルなダウンコートに締め色ブーツで上品さをプラス
2006年3月にご家族3人で初めてディズニーリゾートを訪れた貴重なショット。雅子さまは、ボリュームのあるダウンコートに足元はすっきり締め色ブーツをお召しでした。




「ボリューム感のあるカジュアルな印象のダウンコートに、きれいめパンツを合わせて、大人の上品カジュアルスタイルですね。コートが淡いカラーですが、ボトムとブーツをダークカラーにすることで、引き締まった印象にまとまります。
また、コートの下は、明るめのカラーの上半身から、ボトムにかけては、ダークトーンに落ちていくグラデーションになっていてナチュラルな雰囲気です。トップスを明るく、ボトムをダークトーンにすることで、スタイルアップにもつながっています。ダークブラウンのパンツに、黒のブーツを合わせても、色が分断することなくつながって見えるので脚長効果を期待できます。
カジュアルな印象のダウンコートには、きれいめのボトムを合わせるのが、大人っぽい着こなしの鉄則。デニムパンツやニットパンツよりも、センタープレスのパンツを合わせ、さらにパンツと同じく締め色のブーツを合わせることで、カジュアルときれいめが調和され、大人のスタイルにまとまります」
→皇后雅子さま、新年の一般参賀で魅せた華麗なドレス姿はコチラ
上半身を白でまとめることでモノトーンコーデでもさわやかさ満点
2007年3月の長野旅行の際は、オフホワイトのコートに黒のパンツとブーツでモノトーンコーデでした。


「気品漂うモノトーンコーディネート。細身のコートとセンタープレスパンツで、Iラインが強調されています。ボトムとブーツの色をそろえることで、スタイルアップ効果は十分。少し高めのヒールブーツを合わせることで、サイドからの足元の抜け感が女性らしい印象になっています。
大人コーデは、ボトムとブーツはつながるように、ダークカラーをセレクトするのがポイント。そして、トップスは明るいカラーを取り入れると、顔周りも明るく、視線も上に上がり、スタイルアップ効果になります。ワントーンコーディネートにするときは、大きめのイヤリングや、アクセントになるネックレスをプラスすると、ワントーンでも視線を上げることができます」
→愛子さま21歳のバースデー、皇后雅子さまとの誕生日ショットなどはコチラ
オフホワイトのロングコートを主役にブラウンの細身ブーツでスタイルアップ
2008年1月、長野県で行われた冬季国体開会式に出席された天皇陛下(当時は皇太子)と雅子さま。スタンドカラーのオフホワイトのロングコートを主役にブーツはブラウンをセレクト。



「ワントーンでまとめた優しい雰囲気のコーディネートですね。ブーツやバッグ、グローブなどの小物は黒ではなく、ダークブラウンで統一することで、オフホワイトのコートの優しい雰囲気を保ったまま相性よくまとまっています。ブーツは細身のヒールや、ポインテッドトゥを合わせることで、上品できちんと感のあるスタイルに。スタンドカラーのコートの大きめの丸みのあるボタンは、全体のコーディネートのアクセントにもなり、また、女性らしさも醸し出しています。
オフホワイトやベージュカラーの洋服を取り入れ、優しくやわらかい印象に仕上げたいときには、ブーツやバッグなどの小物は、黒でコントラストを強くつけすぎず、ブラウン系を合わせるのが吉。ベージュではなく、ダークブラウンであれば引き締め効果もあり、オフホワイトやベージュとの色とも相性良好です。オフホワイトやベージュのワントーンコーディネートに合わせる、ブーツをホワイト系にしてしまうと、膨張してしまうので注意が必要です」
ダウンコートとパンツと靴が母娘のそっくりなおそろいコーデ
2010年3月、長野のスキーリゾートには、雅子さまと愛子さまがおそろいのコーディネートでお出ましに。


「淡いカラーのミドル丈のダウンコートに、ダークカラーのきれいめパンツを合わせることで、すっきりとした着こなしになっています。コート以外を、ダークトーンにすることで、明るいカラーのコートが際立ちます。シンプルではありますが、ブーツをパンツのカラーにそろえることで、脚長効果もあり、雅子さまは丸みのある小ぶりなバッグで女性らしさをプラスするなど、とてもまとまりのよいコーディネートです。
シンプルなベーシックカラーをリンクさせると目立ちすぎず品よくリンクコーデが楽しめます。例えば、白ニット×黒パンツ×黒ブーツ、一見、シンプルすぎるコーディネートも、パンツとブーツのカラーをそろえたり、上半身の明るいカラーで、顔周りを明るく華やかにしたりと、おしゃれ上級者の着こなしに。パールや華奢なアクセサリーだと女性らしく、少し大きめのアクセサリーや、メンズライクな時計をプラスすると、クールに決まります」
→皇后雅子さまのおしゃれ際立つ若かりしお誕生日ショットはコチラ
淡いトーンのワントーンコーデを引き締めるブラウンのブーツ
2023年1月に行われた、天皇陛下はじめ皇族方の護衛を担う皇宮警察本部の年頭視閲式に出席された際はオフホワイトのコートにブラウンのブーツをお召しでした。



「全体が淡いトーンなので、ブラウンのブーツがさり気なく、コーディネートを引き締めています。淡いカラーのワントーンコーディネートですが、コートのベルトや締め色のブーツのおかげでメリハリが出ています。
淡いトーンのワントーンコーディネートは、足元だけブーツで引き締めると、ぼやけすぎずにバランスよく仕上がります。その他の小物は、洋服のカラーに合わせ、小物もワントーンコーディネートにするとなじみよくまとまります。カラーはそろっていても、ファーやベルベット、パテントなど、異素材を盛り込むと、より上級者の着こなしになります」
◆ファッション解説:スタイリスト・横山麻里さん
ほどよくフェミニンで上品なカジュアルスタイリングが参考になると、同世代の女性たちからの支持多数。大人女性のファッション誌を中心にカタログや広告で活躍中。
●皇后雅子さまの冬のおしゃれ、愛らしく上品な「カチューシャ」ファッションをプレイバック