「はい、真下が銀座で、左前方が東京駅ですね」「高度は?」「450mです」「キャーッ、東京スカイツリーの真横だよ。手を出したら触れそう」
曇天の間から陽射しがさす日の10分間遊覧はあっと言う間。「間もなく着陸します」と言われた時は私たち、「ここでキャッシュ払うんで、延長お願いしま~す」と言ってたよ。
降り際にまた、操縦士さんが、懐かしのテレビドラマ、『アテンションプリーズ』から聞き覚えのあるパイロット英語を話し出したんで、それが終わるのを待って、「何を話しているんですか?」と聞くと、「時刻とか高度とか、あと何分で降りたいけどいいかとか。まあ決まったことですよ。だから、英会話はできないんです」だって。
それにしても何、心のエナジードリンクっていうの? 久しぶりに「キャーッ」なんて、高い声(のつもり)を出して空から見た午後の東京の光景は、まあ、小さいことはどうでもいっかと心の底から思えてね。ヘリから降りて数日たってもまだカラダに残る浮遊感。