春の訪れを感じる味覚といえば、たけのこを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。旬のたけのこを楽しめる期間は短いだけに、おいしいものを選びたいもの。そこで、野菜ソムリエプロの福島玲子さんに、スーパーなどでよりよいたけのこを選ぶ方法と、正しい保存の仕方を教えていただきました。
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新鮮でおいしいたけのこのチェックポイント
たけのこといえば、土からひょっこりと顔を出しているイメージがありますが、日を浴びると栄養が成長に使われるため、うまみが減ってしまいます。そこで、あまり日光を浴びずに育ち、新鮮でおいしいものを選ぶポイントをお話しします。
穂先と根元から良品を見極める
たけのこを選ぶときは、まず穂先をチェックしましょう。黄色や黄緑色のものは、えぐみが少ない良品です。
穂先が濃い緑色のたけのこはNGです。穂先が土から出て日に当たっているため、えぐみが強く、筋が固くなって風味が落ちているので、避けましょう。
根元もチェックポイントです。たけのこの根にあるブツブツとした赤い斑点は成長するほど目立ってくるので、少ないものがいいでしょう。また、斑点の色が濃く、黒っぽくなっていると、収穫してから時間が経っており、身が固くてアクが強い傾向にあります。
皮、切り口、形、重みも確認すると◎
また、皮が黒くなっていると収穫から時間が経っていてアクが強い可能性があります。しっとりとしていて、ツヤツヤとして乾いていないもの、そして薄い色合いのものを選びましょう。
切り口は、白くてみずみずしいのが新鮮な証拠。ずんぐりとして、見た目より重みを感じるものが水分を多く含んでいるのでいいでしょう。
正しい冷蔵&冷凍方法、たけのこの保存の基本は下処理
たけのこは鮮度が落ちやすく、時間が経つごとにえぐみが増す野菜です。なるべく早く下処理をして、保存しましょう。
購入後すぐに茹でれば5日程度保存可能
たけのこは皮付きのまま茹でることでやわらかく仕上がるので、泥のついた外側の2~3枚の皮を剥いて、皮付きのまま茹でるのがよいです。
まずは、先端を大きく斜めにカットして、皮の部分に縦に切り込みを入れます。切れ目を入れるのは、火が早く通り、あとで皮を剥きやすくなるからです。
準備ができたら、ひとつかみの米ぬかと唐辛子1本を一緒に大きな鍋に入れて、水から茹でましょう。沸騰したら弱火にして、40~50分程度茹で、根元に竹串が通るほど柔らかくなったら火を止めます。
お湯が冷めたら、たけのこ全体が茹で汁に浸るように容器に入れて冷蔵庫で保存しましょう。アクを出すため、流水で冷ましたりせず、常温において熱を冷まします。毎日水を変えれば、5日程度保存できます。
下茹での際に米ぬかがないときは、重曹や米のとぎ汁で代用してもOKです。重曹は水1リットルに対して小さじ1を目安に、米のとぎ汁はたけのこが全体的にひたる程度の量を目安に用意してください。
たけのこは冷凍保存なら1か月OK
たけのこは冷凍保存も可能です。茹でたあとに食べやすい大きさにカットしてから水気を拭き取り、砂糖をまぶします。砂糖は水分の流出を防ぐ保水効果があるので、シャキシャキした食感を保つことができます。たけのこ300gに対し、砂糖大さじ1が目安です。
砂糖をまぶしたたけのこは冷凍用保存袋に入れて、空気を抜いてから冷凍庫へ。1か月ほど保存できますが、長くおくほど風味が落ちるので、なるべく早めに食べましょう。
◆教えてくれたのは:野菜ソムリエプロ・福島玲子さん
ふくしま・れいこ。野菜ソムリエプロのほか、アスリートフードマイスター2級、ジュニア食育マイスター、食の検定1級、ベジフルカッティングスペシャリスト、エコクッキングナビゲーターなど多数の資格を持ち、日本野菜ソムリエ協会創立 20 周年記念事業『野菜ソムリエ名鑑 vol.1』に掲載されている。現在は、“野菜や果物から健康に”との考えを大切に講演・セミナー講師、イベント・セミナー運営サポート、コラム、料理教室、レシピ開発や監修・ジュニアアスリートの栄養指導・など、多岐にわたって活動中。https://ryufrei.com/
構成/イワイユウ