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66歳オバ記者が振り返る“私の失われた20年”、「健康と時間」以外で失った大きなもの

オバ記者
何であんなにハマったのか…。昔を振り返るオバ記者
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ライター歴45年を迎えたオバ記者こと野原広子(66歳)。昨年、介護をしていた母の死、自身の大病などを経験。そして最近は心臓にも不安を抱えるようになった。そんなオバ記者が、今の体調に影響していると考える自身の失われた20があるという。健康や時間以外にも失ったものとは何だったのか——

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「頭の中の6割は麻雀牌」

人間は2種類。何かにとり憑かれる人と、そうでない人。ならば、私はバリバリのとり憑かれる人だ。依存症体質と言ってもいい。ほんと私、どうなっちゃうんだろうと、天井をニラミながら眠れなかった夜がどれだけあったか。今振り返ってもよく命があったなと思う。

私がハマったのは麻雀。30代はじめから50代はじめまでの約20年間、頭の中の6割は麻雀牌が占めていたもの。あと1割はパチンコと競馬。残りの3割で仕事をして恋愛もどきをした。まったく、こんな中年期を過ごして女の幸せなんかあるわけないしその前に、人としてポンコツだよね。

麻雀イメージ
目をつむっても牌が見えるほど麻雀にハマっていた30~50代(Ph/photoAC)
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そんな生活だから、貯金らしい貯金もないのは仕方がないことだけど、それよりも取り返しがつかないのは、心臓の不具合よ。麻雀中はタバコをスパスパ吸いながら、短くて7時間、翌日の予定がない日は17時間、麻雀台にしがみついていたんだから、これで健康だったらオカシイって。

オバ記者
昨年は卵巣がんの疑いで6時間もの手術を受けたオバ記者
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かかりつけのT医師は「一度悪くなった心臓は元に戻ることはないですね」とハッキリ言うの。「心臓が悪い人って長生きしないよね」と介護施設の看護師さんも言っていたっけ。ここのところ大人しくしているけれど、いつまた持病の心房細動の発作が起きて、心臓が電気ショックを受けたみたいにビリビリいうかと思うと気が気じゃない。

足を洗おうと思っても「ちょっとだけなら」「今回限り」…

いやいや、いくらおバカな私だって命を削ってもいいと思って麻雀をしていたわけではないのよ。てか、逆に週5日は今日こそは麻雀から足を洗おうと固く固く、決心して雀荘から帰宅していたんだから。ところが週2日は心の奥底から、「ちょっとだけなら」とか「今回限り」と、最初はささやくような声で、そのうち両手で耳をふさぎたくなるほど大きな声が聞こえてくるの。なぜ週に2日かというと、1日は体力がなくベッドの上に臥せっているから。もう1日は仕事に追われてそれどころではなかった日って、ほんと、終わっているよね。

オバ記者の母親
母ちゃんにも迷惑をかけた記憶が…
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止めたい。止めなくちゃ。止める。でも、やりたい。止めたくない。たぶんほとんどの依存症はこの“やじろべい”が絶えず動いていて止まらない状態で、まさに「地獄」よ。そんな私が今はまったく麻雀をしたいと思わないんだから、人間、変われば変わるもんだよね。

 競馬の話でいえば、大穴を引き当てて30万円プラスになったことがある。私がギャンブルで一番儲かったのはその時だ。そりゃ天にも昇る気持ちよね。でも冷静に考えたら人生を棒に振るほどの額じゃない。

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