「ペット」と聞くと、何を思い浮かべますか? 大体の人は、犬や猫を思い浮かべるのではないでしょうか。ほかにはハムスターやインコ、カメレオンなどの爬虫類を挙げる人もそれなりにいるかもしれません。ですが…「エミュー」と答える人は、まずいないでしょう。
エミューといえば動物園やどの施設で、柵越しに見ることがほとんど。飼うという発想にはなかなかいきつかないですよね。ですが、実際に飼っている人がいるのだとか。2023年6月には、飼い主とエミューの日常を記録したフォトブック『エミューちゃんと二人暮らし』(KADOKAWA)が発売されました。
エミューを飼うハードルは高め
そもそもエミューとは、オーストラリアの草原や砂地などに生息する鳥類。ダチョウの次に大きな体を持つ鳥とされていて、大きい個体だと体長は2m、体重は60kgほどになるそう。飛べない鳥の一種としても有名です。
また、日本国内で飼育に制限が設けられていないため、飼うことは可能。しかし、孵化してからしばらくは気温35度くらいの暖かい場所で育てなければいけないほど繊細だったり、雑食とはいえ人間の何倍もの量の餌を用意しなければいけなかったり、走り回れるくらいの広い土地が必要だったりと、飼うハードルは決して低くありません。
ですが、『エミューちゃんと二人暮らし』の著者で飼い主でもある砂漠さんは、山で一人暮らしを始めた頃にエミューの卵を譲り受け、もう2年ほど連れ添っているそうです。もっとも繊細とされる孵化直後も、育雛器(いくすうき)を使い大切に育ててきたのだとか。庭を駆け回る“エミューちゃん”を見守り、一緒に作物の手入れをして、さらに会社員として仕事もする日々。
ツイッターやYouTubeではその一端を垣間見ることができ、フォロワーからは「エミューちゃんのことを優先的に考えて暮らしているところが愛情深い」「エミューってこんなに人に懐くんだ」といった言葉が寄せられています。
相思相愛なふたりの温かな日常
本書には、砂漠さんとエミューちゃんの日常がたっぷりと収められています。
日課でもあるシャトルランを収めた写真は、どれも躍動感満点。エミューちゃんの脚力のすごさを感じられます。体力みなぎるお年頃だからか家の中でも元気いっぱいで、野菜を食い散らかしたり障子を破ったり、テレビの画面を割ってしまったりと奔放な様子。だけど、砂漠さんにとってはそんな日々が愛おしいのでしょうね。
古民家ならではの温かな暮らしぶりも写真集の醍醐味。エミューちゃんという存在感満点の登場人物とともに料理を作ったり、誕生日をお祝いしたり季節の飾りをかざったりする写真には、思わずほっこりします。
また、砂漠さんがエミューちゃんを抱きかかえながら布団にくるまっている写真は、じっと砂漠さんの顔を見つめるエミューちゃんの表情にグッと来ます。お互いに思い合っていることがわかるベストショットです。
実際は慌ただしいようだけど…写真を通して見るふたりの日常は、癒やされること間違いなしです。