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家計再生のプロが初心者に「投資信託」をすすめる理由 選び方のキホンを解説

初心者マークとグラフを印刷した紙とキーボード
投資初心者に投資信託がおすすめの理由を解説(Ph/photoAC)
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投資を始めてみようと思ったものの、どこの証券口座を選べばいいかわからない、商品が多すぎて何を買えばいいかわからない…。『はじめての人のための3000円投資生活 新NISA対応版』(アスコム)を上梓した家計再生コンサルタントの横山光昭さんは、初心者が投資を始めるならは、ネット証券で投資信託を買うことをすすめます。その理由を教えてもらいました。

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初心者におすすめ?投資信託とは

投資と聞くと株をイメージする人も多いと思いますが、横山さんが投資初心者にすすめるのは「投資信託」。成長が期待できる会社の株式を買うと、将来お金が増える可能性はありますが、投資初心者が世界中の会社について調べ、投資の判断をするのは非常に大変だからだそうです。

「投資信託は、投資の専門家が、たくさんの人から集めたお金で世界中の株式を買い、利益が上がるように組み合わせたものです。自分で一生懸命考えて、個別株式を買い集めなくても、投資信託を一つ買うだけで、さまざまな会社の株式を持つことができるのです」(横山さん・以下同)

投資信託は100円からでも購入可能

プロが選んだ株式のセットを買うことができる投資信託。さまざまな会社の株式がまとまったものとなると、価格も高そうな印象がありますが、「投資信託はとても安く買うことができます」と横山さん。

100円玉
投資信託には100円から買えるものも(Ph/photoAC)
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「将来的にお金を増やせそうな株式を買うには、安くても10万円前後のまとまったお金が必要ですが、投資信託の中には、100円から買うことができるものもあります。このように、投資信託には『少ないお金で、専門家が選んださまざまな会社の株式などを持つことができる(投資できる)』という大きな長所があります」

新NISAなら良質な投資信託を選びやすい

投資のプロが選んだ株式を持つことができ、かつ元手も小さくて済むのが投資信託の大きなメリットなのですね。さらに、投資信託を買うなら2024年1月から始まる新NISAを使うことを横山さんはすすめます。新NISAで買うことのできる投資信託は、金融庁の基準を満たしたものだけのため、初心者でも良質なものを選びやすいからだそうです。

「基本的には、比較的手数料が低く、しっかり分散投資されているものが選ばれていると考えられるため、新NISAで買える投資信託なら安全性が高いといえるでしょう」

パソコンを操作している
新NISAで買える投資信託はしっかり選ばれているものが多いという(Ph/photoAC)
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投資初心者にネット証券がおすすめの理由

投資を始めるためには、証券会社を決め、口座を作る必要があります。

ネット証券なら手数料が安い

証券会社には、全国に店舗がある店舗型証券と、店舗を持たずネットだけで金融商品を売るネット証券がありますが、横山さんのおすすめはネット証券。

「ネット証券は歴史が新しく、自力で手続きをしたり、商品を選んだりする必要がありますが、品揃えが豊富で手数料が安く、営業担当者から余計な商品をすすめられることもありません。

特に、初めて投資をする方には、私はネット証券をおすすめします。日本にはさまざまなネット証券があり、会社によって、取引できる商品や手数料などに違いがありますが、3000円投資生活を始める方は、楽天証券、SBI証券、マネックス証券などで口座を開くことをおすすめします」

証券会社の入り口
品揃えが豊富で手数料が安いことがメリットのネット証券(Ph/photoAC)
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ネット証券の口座開設はネットで完結

NISA口座を開設するにあたり、選んだ証券会社に総合(課税)口座を持っている場合は、NISA口座を追加で開設し、総合口座を持っていない場合は総合口座とNISA口座をまとめて開設します。

総合口座から開設する際は、スマートフォンで運転免許証などを撮影してアップし、氏名や住所などの本人情報を入力。基本情報の登録が済んだらNISA口座を同時に申し込み、あとは審査完了を待つだけ。すでに総合口座を持っている場合は、証券会社にログインしてNISA口座を申し込み、本人確認書類をネットまたは郵送で提出するだけです。

「総合口座を開設する際、必ず『口座種別』(納税方法)を選択することになります。具体的には、『特定口座 源泉徴収あり』『特定口座 源泉徴収なし』『一般口座』のいずれかを選ぶことになりますが、新NISAでの投資がメインで、課税口座をほとんど利用しないのであれば、『特定口座 源泉徴収なし』を選んでおくと良いでしょう」

投資信託の選び方

口座開設が完了したら、次はいよいよ商品選び。投資信託のなかでも、横山さんは「インデックスファンド」と呼ばれるものをすすめています。

将来性に期待できるインデックスファンド

インデックスファンドとは、複数の株価を平均した指標である株価指数に連動するように設定された投資信託のこと。対象とする株価や計算方法により、指数にも「日経平均」「NYダウ」「S&P500」など、さまざまな種類があります。

証券取引所の画面
インデックスファンドにはさまざまな種類がある(Ph/photoAC)
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「インデックスファンドの基準価額の動きはゆるやかで、しかも日本の経済や先進国の経済、新興国の経済などに成長する余地や可能性がある限り、それらに関係する株価は上がり、インデックスファンドの基準価額も上がります。また、どの会社の株式をどのくらい買うかは、指数を基準に自動的に決まるため、商品を提供する側の手間があまりかからない分、手数料は比較的安いのです。

このように、インデックスファンドには、大儲けも大損もない代わり、長期視点でとらえると将来性に期待でき、手数料も安いという特徴があるのです」

初心者におすすめの投資信託は?

横山さんがおすすめするのは、世界中の株式に投資できる楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)などの「全世界株式インデックスファンド」、成長力の高い米株に投資できるSBI・V・全米株式インデックス・ファンド(SBI VTI)などの「全米株式インデックスファンド」、そしてこれからの成長が期待できるeMAXIS Slim 新興国株式インデックスなどの「新興国株式インデックスファンド」の3種類。基本的にはこれらのインデックスファンドを「6:3:1」の割合で保有するのがいいそうです。ほかに、自分で投資信託を選ぶときのポイントなどはあるのでしょうか。

%と書いた紙がのったバームクーヘンとフォーク
インデックスファンド購入のコツを解説(Ph/photoAC)
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「利回りや手数料だけでなく、『その投資信託が、どの国、どの地域のどのような会社の株式を買っているのか』をきちんと確認し、『トータルで、どの国に何パーセント投資をすることになるのか』を常に考えるようにしましょう。それが、ある特定の国や地域に偏りすぎず、バランスよく投資するためのコツです」

◆教えてくれたのは:家計再生コンサルタント・横山光昭さん

スーツを着た男性
家計再生コンサルタントの横山光昭さん
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よこやま・みつあき。株式会社マイエフピー代表取締役。司法書士事務所勤務後、家計の「負債重視型」コンサルタントとして借金・ローン問題に取り組み、リバウンドの少ない再生を実現。借金家計の改善とともに、マイナス家計がゆとりある家計に変化するよう、低所得者や借金に悩む方でも貯蓄に向かっていけるサポートに注力。著書に『年収200万円からの貯金生活宣言』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『はじめての人のための3000円投資生活 新NISA対応版』(アスコム)など。https://ameblo.jp/myfpyokoyama/

構成/新藤まつり

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