健康・医療

《医師が選んだ「脳卒中」のリハビリで本当に頼れる病院》重要な目安となるのは、日本医療機能評価機構による「リハビリテーション(回復期)」の認定

質の高いリハビリを受けれる病院の選び方とは(写真/PIXTA)
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 初期段階での自覚症状はほぼなく、ある日突然、日常を一瞬で奪う「脳卒中」。血管が収縮し、血圧が上昇しやすい冬は発症率が高まるとされる。回復の明暗を分ける適切な早期治療と、質の高いリハビリテーションを受けるにはどのように病院を選べばいいのか、ジャーナリスト・鳥集徹氏と本誌・女性セブン取材班がレポート。後編記事では、頼れるリハビリ病院の選び方を紹介する。【前後編の後編】

リハビリ専門医が複数常勤している病院を選ぶ

 頼れるいい病院ほど、信頼できるリハビリ病院との連携ができている。熊本赤十字病院脳神経外科部長の戸高健臣医師が解説する。

「熊本県内の医療施設には脳卒中診療のネットワークがあり、急性期病院から回復期のリハビリ病院、そして地域のかかりつけ医まで情報を共有してつなげる仕組みが確立されています。当院の『地域連携室』のスタッフが転院の交渉もするので、滞りなくスムーズに回復期のリハビリを開始できます」

 しかし、全国どの病院でも、スムーズな連携ができているわけではない。また、同じリハビリ病院といっても質の差は大きい。西広島リハビリテーション病院院長の岡本隆嗣医師が話す。

西広島リハビリテーション病院院長の岡本隆嗣医師
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「日本リハビリテーション医学会が『リハビリテーション科専門医』を認定していますが、実は専門医のいないリハビリ病棟も多いのが実情です。

 急性期病院から転院してきたばかりの患者さんは、まだ容体が安定していないことがある。ですから、リハビリ専門医に加えて、全身管理が得意な内科医、術後の状態などを専門的に診ることができる脳神経外科医や神経内科医、整形外科医もいた方がいい」

 専門医でなければ、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリスタッフに適切な指示を出すことは難しい。病院によっては、担当医がスタッフに指示を出したきりで、後は丸投げということも少なくない。リハビリ専門医が複数常勤している病院を選ぶことが重要だといえる。

 初台リハビリテーション病院院長の菅原英和医師も、質の高い訓練を行うには、リハビリ専門医の存在が不可欠だと強調する。

初台リハビリテーション病院院長の菅原英和医師
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「当院では口から食べられなくなった患者さんに対して、『嚥下(えんげ)造影検査』を積極的に行っています。バリウムを混ぜた食事をしてもらい、X線で透視しながら、どの角度なら安全に“飲み込めるか”を調べる検査です。無理な姿勢のままでは、食べ物が気管に入ってしまい、誤嚥(ごえん)性肺炎のリスクが高まります。摂食訓練を開始する前に、正確な評価を行うことが非常に重要です。

 この検査は専門医や言語聴覚士など多職種と共同で行います。しかし、そもそも検査装置がない病院もある。適切な評価なしに摂食訓練を進めると、安全な経口摂取にたどり着けずに胃ろうとなるケースが増えてしまいます」

 急性期病院から転院してきたばかりの患者には、胃ろうだけでなく、鼻、気管、尿道などにチューブが入っていることも多い。菅原医師が続ける。

「チューブをつけたままだと邪魔になり、リハビリ訓練の効率が悪くなります。それにチューブが抜けないまま退院すると、一生つけたままになりかねない。それでは自立性が高まりません。そこで私たちはマニュアルを作り、“チューブを抜く努力”を続けてきました。

 たとえば経鼻栄養チューブの場合、栄養を摂る時間以外は抜き、嚥下訓練をしながら、徐々に口から食べられるようにします。1日3回、食事のたびに入れたり抜いたりするので人手も必要ですが、だからこそ他院よりチューブなしで退院できる人が多いのです」

 同院は「気管切開」「経管栄養」「膀胱(ぼうこう)カテーテル」の離脱率を「クリニカルインディケーター(臨床指標)」として公表している。こうしたデータを示しているかどうかも、頼れるリハビリ病院を見極めるポイントになるだろう。