熟睡できていない気がしても、それは仕方ないことだとあきらめていませんか?
疲れているのになかなか寝付けない、夜中に途中で目が覚めてしまう、寝ても疲れが取れないなどの症状はすべて不眠の症状になります。このような不眠症状は、不眠タイプに応じた漢方薬を用いることで、解消できる可能性があります。
そう話す薬剤師の道川佳苗さんに、自分に合う漢方薬を知るためのセルフチェック方法を教えてもらいました。
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寝付けない、途中で起きてしまうなど不眠の種類
寝付きが悪くなかなか眠れない「入眠障害」、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」、朝早く目が覚めてそれから寝付けない「早朝覚醒」、眠りが浅く熟睡感がない「熟眠障害」など、不眠にはさまざまな種類があります。
◆疲れすぎて眠れないケースも
一般的に、高齢になれば生理的な現象により、若いときよりも睡眠時間は短くなりますが、不眠の原因には「眠りの質」も関係しています。
また、不眠の原因としては年齢以外にも、心理的な問題や疲れすぎて眠れないといったことも挙げられます。
漢方では不眠症状の改善だけでなく不眠以外の不調も含めて、体質改善をしていきます。
自分の不眠タイプをチェック、3種類のどれ?
不眠改善のために、まずは自分の不眠タイプを知ることから始めましょう。漢方の考えでは、不眠のタイプは大きく分けて「肝の失調タイプ」「気虚・血虚タイプ」「心の失調タイプ」に分けられます。
以下のチェックリストで、不眠のタイプ(体質)を診断してみましょう。
◆肝の失調タイプ
以下のチェック項目に多く当てはまる人は、「肝の失調タイプ」の可能性があります。
・イライラすることが多い
・怒りっぽい
・まぶたが痙攣する
・神経過敏である
漢方で「肝」とは、自律神経を司るところです。ストレスが多くかかることで、肝の高ぶりが起こり上記のような不調が現れます。肝の失調により、イライラしていると寝付きが悪くなり、熟睡できないなどの不眠症状が起こりやすくなります。
◆気虚・血虚タイプ
以下のチェック項目に多く当てはまる人は、「気虚・血虚タイプ」の可能性があります。
・疲れやすい
・胃腸が弱く、食欲がない
・不安になることが多い
・動悸がしてため息が出る
漢方では全身を巡るエネルギーを「気」、全身に栄養や潤いを運ぶものを「血」と呼んでいます。これらの気血が不足した状態を「気虚」「血虚」といい、上記のような不調が現れます。
気虚や血虚の状態だと、不安で寝付けない、熟睡できずに嫌な夢をよく見るなどの不眠症状が起こりやすくなります。
◆心(しん)の失調タイプ
以下のチェック項目に多く当てはまる人は、「心(しん)の失調タイプ」の可能性があります。
・不安になることが多い
・驚きやすい
・物忘れが気になる
・夢を多く見る
漢方で「心(しん)」とは、意識・感情・思考などの精神的な活動を管理しているところのことをいいます。心の働きが低下すると神経が高ぶり、上記のような不調が現れます。心の失調により、眠りが浅く、夢を多く見て熟睡できないなどの不眠症状が起こりやすくなります。