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サウナ愛好家・岩田リョウコさん、以前は苦手だったサウナに週3で通うようになったワケ

岩田リョウコさん
サウナ愛好家の岩田リョウコさんにサウナを好きになったきっかけを教えてもらった
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サウナ・スパ健康アドバイザーの資格をもち、サウナ啓蒙活動に貢献したとして『Saunner of the Year』に選出された、文筆家・イラストレーターでサウナ愛好家の岩田リョウコさん。今年1月に出版した『ちょっとサウナ行ってきます こうあるべきを脱ぎ捨てて、明日がもっと軽くなる』(いろは出版)は、サウナ初心者から玄人まで楽しめる、サウナ文化の教科書的な一冊です。著者の岩田さんに、サウナとの出会いから珍エピソードまでを語っていただきました。

苦手だったサウナを好きになったきっかけ

岩田さんの経歴はユニークだ。大学を卒業後、英語が母国語ではない人々向けの英語教授法の資格「TESOL」(Teaching English to Speakers of Other Language)を取得するために、米イリノイ州の大学に留学。コロラド州の大学院に進学して日本語教育を専攻し、2年間の修士課程を終え、在シアトル日本国総領事館で日本語教育の専門調査員となった。

「領事館の任期を満了し、ITを活用した日本語教材作成に必要なプログラミングの勉強をするためにコミュニティ・カレッジに入りました。せっかくシアトルにいるので、コーヒーを主題にした『I Love Coffee』というサイトを勉強も兼ねて開設しました」(岩田さん)

文筆家・イラストレーター・岩田リョウコさん
テントサウナを楽しむ岩田さん
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「サウナの前に水風呂に」と言われ…

そのサイトが人気になり、米国の出版社から『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』として書籍化。日本版を出版する話も進み、2017年に出版プロモーションのために一時帰国した。そのときに、友人にサウナに誘われた。

「実は私、サウナや岩盤浴に入るとすぐ頭が痛くなるので苦手だったんです。だから無理だと思ったのですが、“絶対に好きになるから!”と強引に連れて行かれました。じっくり入れないことを伝えると、“じゃあサウナの前に水風呂に入ろう”と言われて、“うそでしょ!”と思ったんですけど(笑い)。

文筆家・イラストレーター・岩田リョウコさん
友達の強引な誘いで行ったサウナで“ととのう”を初体験
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言われたとおりにしてみたら、サウナに長く入れたんです。そうしたら体の芯まで温まって、その後に改めて水風呂に入り、いわゆる“ととのう”を体験しました。これが初めてのサウナとの出会いです。背中を思い切り押してもらっていなかったら、こんなに気持ちのいいサウナを知らずに生きていたのかもしれない」

スーツでサウナ!? 海外のサウナには驚きがいっぱい!

一気にサウナの沼に落ちた岩田さんは、それから週に3回ほどサウナに通うようになった。海外のサウナも巡り、驚くような体験をしている。

文筆家・イラストレーター・岩田リョウコさん
“ととのう”を初体験したあとは、週3で通うほど沼にはまった
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「10年程前にシアトルのサウナに行ったことがあるのですが、ロシア人の人口が多い州のため、ロシア人だらけでした。ロシアではサウナをバーニャというのですが、彼らもサウナによく入ります。そこではみんな、裸なのに毛糸の帽子をかぶっていたんです。

あとでわかったのですが、サウナハットでした。当時はサウナハットを知らなかったので、ロシア人って裸なのに帽子はかぶるの?ってびっくりしました(笑い)。

文筆家・イラストレーター・岩田リョウコさん
サウナハットを知らなかった10年前、帽子をかぶってサウナに入るロシア人にビックリ!
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熱い空気は上に行くので、頭がアツアツになります。だから熱から頭を守るために帽子をかぶるのですね。水タオルを巻くのと同じです。私が以前、頭が痛くなったのも、頭に血がのぼって片頭痛を起こしていたのでしょうね」

フィンランドでは「サウナ巡り」が噂に

あまたのサウナを巡ってきた岩田さんが一番驚いたのは、オーストラリアのホテルのサウナでのできごと。

「ジムのサウナで一人、水着でのんびりしていると、たくさんの書類を抱えたスーツ姿の女性が入ってきたんです。汗だくで座っている私の前に彼女は躊躇なく座り、書類を読み始めました。ちょっとひるみました(笑い)。

さらに驚くことに、5分以上経っても彼女は汗一つかかずに書類を読み続けています。私の方が先に入っていたとはいえ驚きました。彼女はそれから12分以上入っていて、私が降参して先にサウナ室から出ました(笑い)。こんな面白い体験ができるのも、サウナの醍醐味です」

フィンランドでサウナをはしごしていたときにも、ちょっとした驚きがあった。

文筆家・イラストレーター・岩田リョウコさん
テントサウナでは自然を満喫しながら体を癒やすことができる
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「その日は友人と1日に4軒ほどサウナを回っていて、4軒目に行ったとき、“この町で日本人たちがサウナに行きまくっていると聞いたけど、おまえたちか!”って声をかけられました。サウナ大国のフィンランドで噂になって、声をかけられるなんて(笑い)」

サウナは人を優しくする“効果”も

数をこなしていれば、もちろん失敗もある。

「アクセサリーを外し忘れて火傷したことは数知れず。初めて行く場所ではロッカーの仕組みがわからなくて、失敗することがあります。たとえば、荷物をすべて入れたままロッカーが閉まったことがありました。タオルもないので素っ裸です。どうしようとかと5分ほど悩み、他のお客さんに頼んで受付に行ってもらいました。

ほかには、ロッカー室とサウナ室の場所が違う階にあったとき、うっかり裸のままロッカー室を出そうになって、親切なかたに止めてもらいました。共用通路に出るので、館内着を着なくてはいけなかったんですね。“危ない人”になるところでした(笑い)」

ガス抜きをしてくれる場所

岩田さんは日常で苛立ったときにサウナに行くという。

文筆家・イラストレーター・岩田リョウコさん
岩田さんにとってサウナはリセットできる場所でもある
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「サウナは人を優しくします。生活していれば、イライラすることも嫌なことも、落ち込むことも悲しいこともあると思うんです。その気持ちが膨らむと爆発してしまう。サウナはガス抜きをしてくれる場所です。

たとえば、イラッとするメールが来たときに、その感情のまま返信をすると相手とイライラ対決になってしまう。そんなときは、一番近いサウナまで自転車を飛ばします。帰ってきてからメールを打つと、とても優しいメールになるんですよ」

◆教えてくれたのは:文筆家・イラストレーター・岩田リョウコさん

文筆家・イラストレーター・岩田リョウコさん
文筆家・イラストレーター・岩田リョウコさん
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兵庫県出身。アメリカ在住中に出版したコーヒー本『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』が全米ベストセラーに。世界5か国で翻訳出版されている。サウナ愛好家でサウナ・スパ健康アドバイザーの資格を持つ。『Saunner of the Year 2021』に選出。今年1月、サウナの基礎知識や「ととのう」などが解説されたサウナ文化の教科書的な著書『ちょっとサウナ行ってきます こうあるべきを脱ぎ捨てて、明日がもっと軽くなる』(いろは出版)を出版。https://twitter.com/ilovecoffeejp

取材・文/小山内麗香

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