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NHK朝ドラ『ブギウギ』にウキウキワクワク!笠置シヅ子、ディック・ミネ、藤山一郎ほか「戦前のモダンな名曲」5選

特設サイト「笠置シヅ子とブギウギの時代」が公開中(日本コロムビア公式サイトより)
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日本のエンタメ史上、「女王」「歌姫」の称号をもつヒット歌手は数多く存在しています。なかでも、焼け野原だらけの戦後日本を明るく照らした「ブギの女王」笠置シヅ子は戦後エンタメの初代女王とも言える存在。昭和歌謡についての著作があるライターの田中稲さんが、10月から始まるNHK朝ドラ『ブギウギ』が描く昭和初期の流行歌について、そのほとばしる魅力を綴ります。

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ついに始まる、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』!  主人公のモデルは笠置シヅ子さん(1914-1985)。戦前からレビュー(歌と踊りが主体のショー)の世界で活躍し、戦後も、歌手として占領下におかれ疲弊していた日本に、明るい歌声で希望を運んだ大スターである。

その日本人離れしたアグレッシブなパフォーマンスゆえ、戦時中は「敵性音楽」として活動を制限されていた時期もあるなど、波乱万丈。それを乗り越え、戦後は「ブギの女王」として名を知らしめた。『東京ブギウギ』『買い物ブギ—』など、多くの方がカバーしているので、「曲は知っている」という方も多いだろう。

占領下の日本に、明るい歌声を響かせた笠置シヅ子(写真は1947年、共同通信社)
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当時のフィルム映像などを見ると、とても華奢な体型から出てくるパワーはモンスター級! 名作曲家、服部良一とのコンビにより生まれた楽曲は、「踊る、歌う」というより、身体から情熱が「溢れ出る、ほとばしる」感じだ。マシンガンのように大阪弁が飛び出す楽曲も多く、そのお腹にくる生命力は、昭和歌謡曲の中でも異彩を放っている。

NHKが公開している朝ドラの予告動画を観たのだが、ヒロインを演じる趣里さんが感動するくらい笠置シヅ子のイメージにぴったりで、これはもう、リアルタイムで観るしかない!

大正から昭和初期にかけてのエンタメが面白い

笠置シヅ子さんが生まれたのは大正3(1914)年。大阪で育つが、ドラマ『ブギウギ』も、しばらくは戦前の大阪が舞台となる。

ヒロイン・鈴子の幼少期から青春期は、第一次世界大戦が大正7年(1918年)に終結し、そこから第二次世界大戦勃発までの、つかの間の好況期と重なる。この時期のエンタメは本当に面白い。明治期に入って来た海外の文化や慣習が大衆層にまで行き渡り、和洋折衷、古い文化と新たな文化のミックスが見事花開いているのだ。

嗚呼、なんとモダン! その中で、今回はドラマの前半の時期と重なる、昭和初期の流行歌をほんの数曲ではあるが、ご紹介したい。いずれも当時の音源などがYouTubeで視聴可能だ。

戦後のディック・ミネは『夜霧のブルース』、『長崎エレジー』などが大ヒット(写真は1946年、共同通信)
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まずはディック・ミネさん(1908-1991)の『ダイナ』(1934=昭和9年)。歌唱部分より演奏時間が長い! 音楽とは歌唱力だけでなくバンドマンの腕もまるっと込みで味わってナンボだと、思い出させてくれる一曲だ。ボーッと穏やかで心地よい演奏を聴いていると、ひょっこり「♪ダ〜イナ……」という甘いディック・ミネさんの声がさりげなく入ってくる。その瞬間の耳の至福、ぜひ体験していただきたい。サブスクで聴けます!

前奏が長いといえば、『丘を越えて』(1931=昭和6年)も外せない。歌い手は、その素晴らしい音程とリズムの正確さ、歌う姿勢から「楷書の歌手」と異名を取る藤山一郎さん(1911-1993)である。泣けるほど清々しく、丘から見る美しい景色が見えるようだ。

ただ、カラオケで歌う際には注意が必要だ。私はこれを大先輩たちとのカラオケ二次会で歌ったことがある。イソイソとマイクを持って起立したはいいが、1分近い前奏の間、ゆるい笑顔で体を揺らし続けるしかなく、非常に気まずい思いをしたことがある。ということで、これから歌おうという方は、前奏が始まってもすぐに歌のスタンバイしない方がいい。

「歌謡曲を通じて国民に希望と励ましを与えた功労」などを理由に、1992年に国民栄誉賞を受賞した藤山一郎(写真は1985年、共同通信)
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3曲目は中野忠晴さん(1909-1970)の『小さな喫茶店』(1934=昭和9年)。私は初めて聴いたとき、萌え死ぬかと思った。喫茶店で向かい合って座っているけど、頼んだお茶とお菓子に手を付けるタイミングさえわからず、下を向いたままの初々しい二人。ラジオから流れる甘い歌が響くだけ——。そんな究極の純愛シーンがコンチネンタル・タンゴに乗せて運ばれてくるのだからたまらない! 聴きながら呼吸を忘れる危険があるので注意しよう。

4曲目は、笠置シヅ子さんの永遠のライバルといわれた淡谷のり子さん(1907-1999)の『別れのブルース』(1937=昭和12年)。「10年に1人」と言われた天才ソプラノ歌手の淡谷さん。この歌の低音部分に、深い哀愁を入れて歌うため、吸ったこともない煙草を一晩中プカスカ吸い、喉を枯らしたという凄まじいエピソードが残る。ドラマでは菊地凛子さんが淡谷さんを演じる(役名は茨田りつ子)。楽しみだ。

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