フィリピン時代からの幼なじみとは情報交換
ベルギーにも幼稚園時代からの幼なじみが住んでいます。彼女はフィリピン人で、誕生日も私と1日違い。お互いに64歳で異国に住んでいるので、共通のことがたくさんある。彼女は仕事をリタイアして、現在はご主人と各地を旅行しています。
彼女とは信頼関係ができているから、久しぶりに連絡を取っても違和感がありません。年に数回ほど、どちらからともなくWhatsApp(アメリカのメッセージングやビデオ通話ができる無料アプリ)で「最近、話してないね」「元気?」と連絡を取り合って、オンラインで1~2時間ほどおしゃべりをします。
先日、彼女が「ベルギーで死ぬつもりはないから、ぼちぼちフィリピンに家を買おうかな」と言ったので、私は「それもいいよね。もし、近くによさそうな家があったら教えて」と伝えました。
近くにいる親友は困ったときに頼りになるし、信頼関係が出来上がっている親友は距離が離れていても、たまに連絡を取り合うだけで情報を更新できるので大切です。
私のスタンスは「去る者は追わず、来る者は拒まず」。誘われたら、ほぼ参加するけれど、自分から誘うのが苦手。でも、新型コロナの蔓延で外出する機会が減ったときに「これはまずい。人間関係が築けない」と感じて、自分から積極的に声をかけるようになりました。
過去の話もいいけれど、それだけではキツイ
同世代と言えば、元外交官夫人の仲間もいます。彼女たちは専業主婦だから、会うと過去の話になる。先日も彼女たちに会いましたが、共通の話題は子どもや家族のことですべて過去。何度も同じ話を繰り返すので、途中から話についていけなくなりました。過去の話もいいけれど、それだけでは自分が前進できないからキツイ。
私が興味があるのは、自分が65歳になったときの過ごし方。だから働いていない彼女たちに「普段は何しているの?」と聞いたら、「週に2回ピラティスをして、2週間に1回麻雀をして…」と言います。「それ以外は何をしているの?」と聞いても、よくわからない。その時点で私は「そんな生活は無理だ」と感じました。
職場で親友をつくろうとも思わない
職場で親友をつくろうとも思いません。一緒に仕事をする仲間なので、お互いに信用できるでしょう? それで十分。職場に親友までは求めません。プライベートな相談をされることはあっても、自分から相談することはありませんね。
本音を言うと、最も話が合うのは娘です。いろんな人と話をするけれど、なんでも話せて理解し合えるのはやっぱり娘。たとえ親友でも、夫と離婚する前に、離婚について相談したりはしませんでした。
◆薄井シンシアさん
1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う高校のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラに入社し、オリンピックホスピタリティー担当に就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。2022年11月、外資系IT企業に入社し、イベントマネジャーとして活躍中。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。@UsuiCynthia
撮影/小山志麻 構成/藤森かもめ
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