幸せホルモンを食事で増やす方法
幸せホルモンを増やすには、ホルモンの材料になる栄養素を食事から摂ることも大切です。セロトニンを増やすには「トリプトファン」、ドーパミンを増やすには「チロシン」を摂取しましょう。トリプトファンとチロシンは、乳製品(チーズ)や大豆製品(納豆、豆腐)、ピーナツ、バナナなどに多く含まれています。
さらに、トリプトファンとチロシンの吸収には、「ビタミンB6」も必要です。肉や魚の赤身、バナナ、赤パプリカなどに含まれているビタミンB6は、水に溶けやすく熱や光に弱い性質があるため、できるだけ新鮮な食材を生で食べることで効率よく摂取できます。
バナナは、トリプトファン、チロシン、ビタミンB6がすべて含まれており、そのまま生で食べられるため、これらの栄養素を手軽に摂るのに最適な食材です。また、好物を好きなだけ食べたり、辛味成分である「カプサイシン」を摂ったりすると脳は「おいしい」と感じ、エンドルフィンの分泌が促されます。
さらに、家族や友人と楽しく食事をすることは、オキシトシンの分泌にも役立ちます。
更年期の精神症状を和らげる漢方薬
更年期の精神症状の改善には、婦人科でも使われている漢方薬を活用するのも有効です。
精神を安定させる」「ホルモンバランスの乱れを整える」「ストレスを軽減する」「肉体的な疲れを軽減して、落ち込みや不安を軽減する」といった作用のある漢方薬を選び、ホルモンバランスの乱れを整えたり、ストレスや過度な心労などにアプローチしたりして、症状の根本改善を目指します。
おすすめの漢方薬
・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
体の熱を冷まし、イライラや神経の高ぶりを鎮める作用があります。精神不安、動悸や不眠などの症状に用いられます。
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
ホルモンバランスの乱れを整え、精神を安定させる漢方薬です。気分の落ち込みやイライラなどの精神的な症状、ホットフラッシュ(のぼせ)の治療に用いられます。
漢方薬を始める際の注意点
漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。
ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
◆教えてくれた人:薬剤師・山形ゆかりさん
やまがた・ゆかり。薬剤師、薬膳アドバイザー、フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ。牛角・吉野家ほか薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信する「Medical Health -メディヘル-youtubeチャンネル」(@medicalhealth–7900)で簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」(https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/)でも薬剤師としてサポートを行う。