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【社会問題となるカスハラ】「店員をお前と呼ぶ」「迷惑料を要求」「低評価を書くと威嚇」…実例から浮かび上がるアウト行為

【実例1】暴言

コンビニのレジで釣り銭を間違えた若い店員に、60代後半と思われる女性が、「お前、バカか。ミスしたんだから、ふつうもっと頭下げない?」と迫り、謝る店員に向け、さらに「私は客よ。その無愛想な顔は何なの? 使えないわね、まったく」と捨てぜりふを吐いて立ち去った。

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【実例1】暴言
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村嵜さん:お釣りを間違えた店員に対して、「釣り銭は間違わないように気をつけてもらわないと困る」と言う程度なら、事実の指摘なので正当なクレームです。しかし、「お前」や「バカ」など不適切な言葉を使ったこと、さらに、客であることを振りかざした“暴言”を言った時点で、カスハラとなります。

そもそも、欲しい商品をコンビニで購入できれば目的は果たせているのに、店員に愛想のよさまで求めると、「このくらいのサービスをして当たり前」という上から目線の持ち主だと見なされます。

津田さん:正当な理由なく、店員に「バカ、タコ、ブス、使えない」などの言葉を使うのは、侮辱罪に該当する可能性があります。これらの行為を執拗に繰り返すと、威力業務妨害罪(刑法234条)に該当する可能性も出てきます。

【実例2】威嚇・脅迫

飲食店のレジでシステム障害が発生。電子マネーでの支払いができないことがわかると、男性客が店員に「迷惑料を払え」と迫ってきた。それを丁寧に店員が断ると、いきなりスマホで店員の顔や店内を撮り始め、「SNSやネットの口コミサイトにアップして、低評価を書き込むぞ」と威嚇し始めた。

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【実例2】威嚇・脅迫
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津田さん:ここでのポイントは、店側からは申し出がないのに、客側が金品を要求したこと。カスハラになります。

村嵜さん:システム障害は店に責任があるとは限らず、「迷惑料を払え」と命令口調で店員に言うのは立派なカスハラです。

SNSや口コミサイトへの低評価の書き込み行為についてですが、無断で撮影し、SNSなどにあげた写真や動画で個人が特定できると、肖像権侵害にあたります。撮影時に虚偽・差別表現・脅迫・誹謗中傷があれば、訴えられることもあります。

津田さん:「低評価を書く」と威嚇するだけでも、脅迫に当たる可能性があります。名誉毀損は、不特定多数から共感を得ようとする行為が“表現の自由”の範ちゅうを超えるか否か、自分や仲間内だけで情報を留めておくか、不特定多数を巻き込んで攻撃するか、その違いが境界線になります。

◆教えてくれたのは:

津田卓也さん/クレーム研修専門家。セミナー&研修会社キューブルーツ代表。近著に『カスハラ、悪意クレームなど ハードクレームから従業員・組織を守る本』(あさ出版)。

村嵜要さん/ハラスメント専門家。日本ハラスメント協会代表理事。さまざまなハラスメントについての研修のほか、テレビや新聞などでも解説。

取材・文/北武司 イラスト/たまだまさお

※女性セブン2024年8月1日号

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