あれから『さよなら』は歌っていない
小田和正さんと鈴木康博さんによる、高原の水レベルに澄み切ったボーカル、讃美歌のようなコーラスが美しいオフコースの歌は、カラオケで挑戦したくなる。自分も歌うことで、心を洗える気がしてくるのだ。
私もチャレンジしたことがある。『さよなら』は、小学生の頃合唱で歌った記憶があったので、昔取った杵柄的テンションで、忘年会カラオケで入れた。ところが歌い始めのキーが想定外に低く、慌ててキーを上げて歌い続けたが、これが地獄の入り口であった。
サビの「さよなら」で急に高くなり、脳天から出さねばいけないような状態になってしまったのだ。再びキーを戻すのもバツが悪く、もう目を釣りあげ顎を出し「サヨナラッサヨナラッサヨナラーッアアー!」と歌いあげた。なんとかクリアできたと思ったら、またすぐ「愛したのはッ↑ 確かにッ↑」という尻上がりの高音がきて、泣きたくなってしまった。
よほど必死な顔で歌っていたのだろう。「いやー、鬼気迫る歌声だったよ!」と言われたことを覚えている。あれから『さよなら』は歌っていない。
もし続いていたら、結成60周年
さて、これまでしみじみと書いていて、ふとあることに気が付いた。『秋の気配』は1977年リリース。前述したが、小学校の頃、卒業生を送る会で、クラスみんなで『さよなら』を歌った覚えもある。さらに、1980年、わが初恋の人西城秀樹が、オフコースの7枚目のシングル『眠れぬ夜』をカバーし、大ヒットさせていたが、オリジナルの発売は1975年である。
つまり、私がチビッ子の頃から、とてもさりげなくオフコースの音楽はあったのだ。いつ聴いても古さを感じないので気にもしなかったが、オフコースってデビューはいつ?
調べてみてビックリまさかの1970年(崩れ落ち)! 私が1才の時とは。結成に至っては1964年である。1989年で解散しているが、もし続いていたら、結成60周年だったのか。
そして現在もソロでバリバリ活躍されているボーカルの小田和正さんは77歳。奇跡の喜寿! 背面ブリッジする勢いでのけぞってしまった。
先日、9月18日に配信された小田さんの新曲『すべて去りがたき日々』を聴き、よどみないハイトーンボイスに驚いたばかりである。神に選ばれし声。同時に、すさまじい自己管理をされてきたことも想像する。
毎日コラーゲンでうがいをしているのかもしれない。素晴らしい……!