
「市販品を買うより手作りした方が安くすむ」と考える人は多いが、あらゆる食品が値上がりし続けているいま、一概にそうとも言えなくなっている。手間暇かけて手作りしたのに、高くつくのは避けたいところ。何を買い、何を手作りすべきなのかを探るため、料理家の河野真希さんに、ジャムや果実酒、ジュース、菓子、梅干しなどを手作りした場合にかかる費用を算出してもらった。市販品とどちらが費用を抑えられるのか。
手作りと市販品を組み合わせて活用を
食費を抑えるには、何でも手作りした方が安いと思っている人は多い。しかし、逆に市販品よりも高くついてしまう場合もある。
「食べる頻度の高いものは手作りの方が安いケースもありますが、保存食や嗜好品は、コスト面でのメリットは少ないといえます。ただ、好みの味にできる、保存料が使われず安心などの利点があります」
とは、河野さんだ。手作りした場合にかかる費用を算出してもらったところ、梅干しと菓子は手作りの方が安かった。
「手作りの際は、材料へのこだわりがポイントに。いい素材を使えば材料費は高くなりますから。また、梅干しなどを大量に作った場合は、保管スペースが必要。各々の生活スタイルや食事量を踏まえながら、手作りと市販品をうまく組み合わせるとよいと思います」(河野さん・以下同)
買った方が安いのは「ジャム」「果実酒&ジュース」
【ジャム】安価な冷凍フルーツを使っても買った方が安い
「手作りするメリットは甘さを控えめにできるなど、好みの味に調整できるところ。とはいえ、価格は市販品に軍配が。ジャム用の特売品や冷凍フルーツを使えば価格は抑えられますが、それでも大量生産する市販品の方が安くすみます」

【いちごジャム】手作り:570円/市販品:413円
※市販品の価格は編集部調べ(以下同)
【果実酒&ジュース】ベースに使う酒で味わいも価格も変わる
「梅酒は基本、大量生産の市販品の方が安価。ただし手作りの場合、ベースのお酒の種類によって味をアレンジでき、価格も下げられる可能性があります。一方、果汁100%ジュースは果物の価格が高いため、市販品を買った方が安くすみます」

【梅酒】手作り:3500円 /市販品:1589円
【オレンジジュース】手作り:260円/市販品:105円
作った方が安いのは「菓子」「梅干し」
【菓子】価格は抑えられるが難易度が高い
「値段だけでみると、手作りの方が安いですが、菓子を作るには道具や技術が必要となります。特にケーキは、市販品レベルのものを作るのは難しいため、500~600円で売っているスポンジ生地を使うなど、手作りと市販品をミックスさせるのもおすすめです」

【いちごのショートケーキ】手作り:1182円/市販品:4482円
【梅干し】酸っぱい梅干しが好きなら手作りを!
「市販の梅干しは、はちみつやだしなどが使われた酸味のマイルドな商品が多いため、塩分量が多くて酸っぱい昔ながらの梅干しが好きな人は、手作りがおすすめ。1㎏仕込めば、値段的にも損はしないでしょう」。ただし干したり保管したりするスペースが必要。

【梅干し】手作り:1426円/市販品:2980円
◆教えてくれたのは:料理家・河野真希さん
家事アドバイザー、一人暮らしアドバイザー。気持ちのいい暮らしをつくる&はじめるためのヒントを発信している。監修書籍に『ぜんぶわかる! ひとり暮らしの教科書』(宝島社)など。
取材・文/鳥居優美
※女性セブン2025年3月13日号