デメリットの開示が不十分
C:日本におけるがん検診の問題点は、医師がメリットばかりを強調し、デメリットに関する情報が充分に提供されていないことにあります。根底には、どれぐらい利益と害があるのか、医療従事者の多くもわかっていないことがある。結果として害に関する情報提示が不充分で、利用者の判断材料がそろっているとは言い難いのです。
女性の死亡数1位である大腸がんも、検査自体がNGというわけではありませんが、デメリットはあります。大腸内視鏡検査(いわゆる大腸カメラ)は、アメリカの予防医学専門委員会では選択肢のひとつとして推奨されていますが、日本の推奨グレードはCです。これはつまり、利益よりも不利益が大きい、または利益はあるものの証拠の信頼性は低いということです。まれなケースではあるものの腸管を傷つけるといった合併症も考えられます。
A:最近では、遺伝子検査が注目され、乳がんや卵巣がんといった、女性のがんのリスク発見につながるとうたわれますが、安易な気持ちで検査を受けて実際に異常が判明した後にどうするかまで考えている人は少ない。遺伝的な要素がからむので、娘がいる場合に伝えるのかどうかを含めて、判断は慎重にすべきです。

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(後編へ続く)
※女性セブン2025年5月22日号