《乾燥&においを解消!》“備蓄米”のおいしい炊き方 ポイントは洗米、浸水、しゃり切り「30分~1時間浸水させ、少し多めの水量で」おすすめのご飯レシピも紹介

米価格が高止まりを続けるなか、政府は小泉進次郎農林水産相主導で、5㎏2000円程度の備蓄米を市場に放出。6月2日にイオンで発売されたときは1200人を超える長蛇の列ができた店舗も。イトーヨーカドーのネットスーパーでは10分で完売した。備蓄米の争奪戦が繰り広げられる一方で、味や品質に不安を持つ消費者も。でも安心して! 炊き方や調理法次第でおいしくなるのだ。そこで、古米がおいしくなる炊き方や食べ方を紹介する。
洗米、浸水、しゃり切りがポイントに!
「米は生鮮食品なので古くなるほど味は落ちます。その原因が酸化と乾燥。米は劣化を防ぐため、玄米の状態で保管されますが、外皮の糠には油分が多くこれが酸化するとにおいの原因に。水分も古いほど蒸発しますから、パサついた炊きあがりになります」
と、日本健康食育協会代表理事の柏原ゆきよさん(「」内、以下同)。5㎏2000円以下の備蓄米は、2021年収穫の古古古米。となると、かなり酸化と乾燥が進んでいる気がするが…。
「酸化によるにおいをとり、乾燥を解消する方法があります。それは、洗米と浸水、しゃり切り。通常より多めの水で1~2回多く洗米すれば、米の表面に付着したにおいをある程度洗い流せます。その後しっかり冷蔵庫で浸水。炊きあがったら全体を混ぜてしゃり切りし、蒸気をとばすとにおいは気にならなくなるはずです」
手頃な価格の米としては備蓄米以外に、ブレンド米や海外米もある。これらの米も、備蓄米と同様に炊けばおいしく食べられる。
「ブレンド米とは原料玄米を2種以上(海外米も含む)混ぜたもので、海外米は海外で生産された米。韓国、台湾、中国の米は、味も品質も向上していて、食べやすいと思います」
いずれの米も、味の濃いおかずに合わせたり、混ぜご飯にしたりすれば、よりおいしく食べられる。おすすめのご飯レシピを提案するので試してほしい。


【古米】は水分の多い具材や汁気のあるものと
古米は30分~1時間浸水させ、規定より少し多めの水量で炊くのがおすすめ。
「米2~4合に大さじ1の酒かみりんを入れるのも手」(柏原さん)。
ここから古米をおいしく食べられるレシピを紹介する。(※レシピの材料は2人分。電子レンジは600Wを使用)
「ツナオリーブご飯」レシピ
【1】炊飯器に米1合を入れ、規定より少し多めの水量で炊く。
【2】みょうが1個は2等分して薄く切る。種なし黒オリーブ5~6個は半分に切る。
【3】【1】に【2】、油を切った油漬けツナ1缶(70g)、おろしにんにく少量、オリーブオイル大さじ1、塩・粗びき黒こしょう各適量を入れて混ぜる。
「グレープフルーツとアボカドのちらし寿司」レシピ
【1】炊飯器に米1合を入れ、規定の水量で炊く。
【2】ホワイトとピンク、それぞれのグレープフルーツ各½個は薄皮をむいて果肉をとり出す。これとは別で果汁を大さじ2杯分搾る。
【3】アボカド1/2個(60g)とセロリ1/4本(10g)は薄切りにする。
【4】【1】に【2】の果汁、オリーブオイル大さじ1、塩少量を入れて混ぜ、粗熱をとる。
【5】器に【4】を盛り、【2】の果肉と【3】をのせ、いくら・かいわれ大根各適量を散らす。粗びき黒こしょう少量を振る。

「ゴーヤーチャンプル風あんかけ丼」レシピ
【1】ゴーヤー1/2本(100g)は縦半分に切り、種とわたを除いて薄く切る。塩少量でもみ、水で洗って水気をしぼる。木綿豆腐1/4丁(80g)は水切りして粗く崩す。
【2】フライパンにサラダ油大さじ1を中火で熱し、豚バラ肉100gを入れて2分炒め、【1】を加えて炒め合わせる。
【3】【2】に、だし汁1/2カップ、しょうゆ・みりん各大さじ1を入れて煮立たせる。水溶き片栗粉(片栗粉小さじ1:水小さじ2)を加えてとろみをつけ、溶き卵1個分を流し入れて半熟に仕上げる。
【4】器にご飯1杯分を盛り、【3】の半量と、かつおぶし適量をかける。もう1人分も同様に作る。

「オリーブとすだちのご飯」レシピ
【1】炊飯器に米1合、規定より少し多めの量の水、コンソメスープの素(顆粒)小さじ1を入れる。種なしのグリーンオリーブと黒オリーブ各6粒を加えて炊く。
【2】【1】が炊きあがったら、薄い半月切りにしたすだち2個分をのせ、5分蒸らす。
「鮭と焼きおにぎりのだし漬け」レシピ
【1】ご飯2杯分にしょうゆ大さじ1を混ぜ、三角形のおにぎりを2個作る。
【2】【1】をオーブントースター(またはグリル)で焼き色がつくまで焼く。
【3】器に【2】のうちの1個を入れ、熱いだし汁¾カップを注ぐ。粗くほぐした焼き鮭1/2切れ(50g)と塩昆布適量をのせ、青ねぎの小口切り適量を散らす。もう1人分も同様に作る。

「和風ビビンバ」レシピ
【1】しょうゆ大さじ1、コチュジャン小さじ1/2、砂糖小さじ1/2、ごま油小さじ1を混ぜたたれに、牛肉の切り落とし100gを入れて20分ほど漬け込む。
【2】長いも2cm分(70g)は皮をむいてせん切りに、塩もみしたおくら2本は小口切りにする。新玉ねぎの薄切り1/4個(50g)はかつおぶし大さじ2(2g)をまぶす。4等分に切ったミニトマト4個分は塩少量、ごま油小さじ1/2と混ぜてナムルを作る。
【3】フライパンにごま油小さじ1/2を中火で熱し、【1】を入れて3分ほど炒める。
【4】器に温かいご飯1杯分を盛り、【2】と【3】の半量をのせる。もう1人分も同様に作る。

「しらすレモンご飯」レシピ
【1】温かいご飯2杯分に、しらす50g、三つ葉の粗みじん切り1/4束(15g)、薄い輪切りにしたレモン1/4個分をさらに4等分に切ってのせる。
【2】【1】にレモン汁小さじ2、オリーブオイル大さじ1を回しかけ、粗びき黒こしょう少量を振り、混ぜる。
「枝豆&とうもろこしの塩麹ご飯」レシピ
【1】炊飯器に米1合、規定の量の水、塩麹大さじ1と1/2を入れる。
【2】さやから外した枝豆60g、とうもろこしの実½本分(90g)を【1】に加え、通常通りに炊く。
「トマトと豆腐の冷や汁ぶっかけ飯」レシピ
【1】ボウルに酢大さじ1と1/2、しょうゆ大さじ1、砂糖小さじ1、ラー油小さじ1/2、塩少量、鶏がらスープ1と1/2カップを入れて混ぜ合わせ、冷蔵庫で30分冷やす。
【2】トマト1個(100g)、木綿豆腐½丁(150g)はそれぞれ1.5cm角に切る。きゅうり1/2本(80g)は薄切りにする。みょうが1/2個は小口切りにする。
【3】器にご飯1杯分を盛り、【2】の半量をのせ、【1】の半量を注ぎ、ごま大さじ1/2を散らす。好みでパクチーまたは青ねぎ各適量を散らす。もう1人分も同様に作る。

【豆知識】米の「マイった!」を解決!米びつでの保存や買いだめは慎重に
「外皮が削られた精米は、玄米よりも鮮度が落ちやすいので購入後はすぐに密閉容器に移して冷蔵庫で保存を。特に夏場は米びつなどで常温保存していると、虫がわいたり、においが発生したりします。鮮度を保つためにも1か月で食べ切り、買いだめしないこと」(柏原さん)
◆日本健康食育協会代表理事・柏原ゆきよさん
管理栄養士。YouTubeでお米チャンネル『人生が変わる食べ方』を配信中。若玄米×雑穀のパックご飯『スラメシ』を開発。著書に累計15万部の『お腹からやせる食べ方』(三笠書房)など。
◆料理研究家・尾田衣子さん
料理教室『アシェット・ド・キヌ』主宰。多国籍な家庭料理が得意。監修に『一般社団法人おにぎり協会公認 おにぎりの本』(辰巳出版)など。本企画のレシピをすべて考案。
取材・文/佐々木めぐみ
※女性セブン2025年6月26日号