
パパッと手軽に作れて、家計にも優しい“焼きそば”は、みんな大好きな庶民の味。とはいえ、便利だからと付属のソースを使ってばかりいると、味がマンネリ化しがち…。そこで、おうち焼きそばをよりおいしく進化させるべく、焼きそば専門店をはじめ、プロが作り方のコツを伝授。いつもの焼きそばがひと味変わる!
【ソース焼きそば】これぞ庶民の味方!浅草で愛される懐かしの味
昭和ノスタルジーを感じる『福ちゃん』は、東京・浅草にある、現存する日本最古の地下商店街に佇む。両親から継いだ昭和の味は、2代目の福塚弘さんがアップデートを重ね、愛され続けている。桜えびやラーメンスープの旨みを利かせた『鉄板焼きそば』は驚きの400円!

ビールのつまみにもなる濃厚なソース味は、まさにみんなが思い描く定番の味わいだ。
【ソース焼きそば】UP DATE

最初にラードを熱し、桜えびを炒めて、油全体に香りをつける。桜えび風味の油で炒めることで、さらにコクが出て、旨みが増す。

店では鶏がら、豚がら、魚介類で仕込んだラーメンスープをかけて麺をほぐす。家庭では鶏がらスープに和風だしを加えて再現を。

ウスターソースと中濃ソース、半量ずつが『福ちゃん』の黄金比。スパイシーかつ、程よい甘みのある濃厚なソースの秘密はコレ!
《作り方》(2人分)
【1】熱したフライパンにラード大さじ2を溶かし、桜えび大さじ1を入れ、中火で炒める。
【2】細切りにしたキャベツ1/4個を加え、こしょう少量を振って軽く炒める。
【3】中華蒸し麺2玉をのせ、鶏がらスープ1/2カップ(あれば顆粒和風だし少量を加える)を全体にかけ、麺をほぐしながら軽く炒める。
【4】揚げ玉大さじ2を加え、ウスターソース・中濃ソース各大さじ2を混ぜてかけ、味がなじむまで炒める。
【5】器に盛り、半熟の目玉焼き2個をのせ、紅しょうが適量を添える。
《この麺がおすすめ!》

店では茶色がかった深蒸しの中華麺を使用。市販品も深蒸し麺を使うと似た味に。
◆浅草焼きそば 福ちゃん

住所:東京都台東区浅草1-1-12 浅草地下街

【塩焼きそば】塩で味わう“もっちり麺”が専門店の真髄
行列必至の焼きそば専門店『みかさ』は、北海道産小麦を100%使用した、店で製麺するもちもちの太麺が人気。同店の中島潤さんは家庭で作るコツをこう話す。
「家庭では、ラーメン用の太めの中華麺を手で強く押してちぢれさせてからゆでてみてください。秘伝の塩だれは、鶏がらスープにこしょうを利かせて再現しました」

【塩焼きそば】UP DATE

店では製麺後に手でギュッと強く押し、ちぢれを作る。家庭で作るときも市販の麺をゆでる前にこのひと手間を。

店では野菜を炒める際に魚粉を振って下味をつけている。家庭では、かつおぶしをよくもみ、細かくして代用できる。


定番のソース味もいいけれど、鶏がらベースのあっさりした塩だれで味変を。麺そのものの風味をダイレクトに味わえる。

卵を割ったら鉄板の上で溶きながら半熟に仕上げるのがみかさ流。トロトロ卵を麺に絡めながら食べると格別!
《作り方》(2人分)
【1】中華生麺2玉は手で強く押してちぢれを作り、表示時間通りにゆでる。
【2】水大さじ4、鶏がらスープの素(顆粒)大さじ2、塩・砂糖・粗びき黒こしょう・すりおろしにんにく各少量、ごま油適量を混ぜ、塩だれを作る。
【3】ウスターソース大さじ1、しょうゆ小さじ1、粗びき黒こしょう少量を混ぜる。
【4】熱したフライパンに半分に切った豚バラ薄切り肉200g、えび8尾、いか16個(冷凍)を入れ、中火で炒める。火が通ったら一度取り出す。
【5】もやし100g、ざく切りにしたキャベツ1/4個を豚肉の脂を使って炒め、かつおぶし1袋をもんで細かくしてから加え、2分ほど炒める。
【6】しっかり湯切りした【1】を加え、【2】を回しかけ、水分を飛ばしながらさっと炒める。ごま油適量を全体に回しかけ、軽く混ぜて器に盛る。
【7】【4】をフライパンに戻し、【3】をかけて軽く炒め、【6】に半量ずつのせる。半熟の卵焼き2個、白髪ねぎ・青のり各適量、くし形切りにしたレモン2切れをのせる。
《この麺がおすすめ!》

店の自家製麺に似ているのはラーメン用の極太麺。
◆神保町やきそば 威風みかさ本店

住所:東京都千代田区神田神保町2-24-3

【両面焼き焼きそば】焼くときは『触らない』でパリパリ麺に
『あぺたいと』の焼きそばは、所々に感じるパリパリ食感が命。代表の飯野雅司さんが大分県の“日田焼きそば”に着想を得て誕生した。
「家庭でも油を多めに使って、パリッと表面に焦げ目がつくまで焼いてみて!」

【両面焼き焼きそば】UP DATE

短めにゆでた麺は後から油を吸い、こんがり焼ける。麺をドーナツ状に広げ、中央に豚肉を入れて焼く。焦げ目がつくまで麺には触らない。

ウスターソースにしょうゆを加えることで、焼いたときに香ばしい香りをプラス。
《作り方》(2人分)
【1】中華乾麺2人前(中華生麺2玉でも可)を表示時間より1分短めにゆでる。
【2】ウスターソース大さじ1、しょうゆ小さじ1、鶏がらスープの素(顆粒)小さじ1/2を混ぜる。
【3】熱したフライパンに、湯切りした【1】をドーナツ状に広げ、中央に豚こま切れ肉100gを入れる。サラダ油大さじ2と2/3をかけ、麺に焦げ目がつくまで中火で2分ほど焼き、豚肉は箸で炒める。
【4】麺に焦げ目がついたら裏返して1分ほど焼き、もやし150g、5cm長さに切った小ねぎ1本を入れ、【2】を回しかける。一度火を止め、麺をほぐしながら全体を混ぜ合わせ、ほぐれたらソースが絡むまで中火で炒める。
【5】器に盛り、生卵2個をのせる。
《この麺がおすすめ!》

自家製麺はやや硬め。九州発の棒ラーメンで再現してみて。
◆両面焼きそば あぺたいと 赤羽店

住所:東京都北区赤羽1-41-6

【カレー味焼きそば】無限に広がる味変の世界
本格的な焼きそば専門店ながら、カレー味やナポリタン味など、多彩なメニューが揃う。代表の関口雄一さんはパスタ店での調理経験があり、焼きそばもパスタのように、麺にしっかりソースを吸わせながら炒めあげるのが、おいしさの秘訣。

【カレー焼きそば】UP DATE

ゆであがった麺はすぐに冷水で1分ほど洗って引き締め、コシのある食感に。


店ではウスターソースにカレーペーストを混ぜて刺激的な味に。家ではカレールウが◎。
《作り方》(2人分)
【1】中華生麺2玉は表示時間通りにゆで、冷水で1分ほど洗う。
【2】玉ねぎ1/4個は薄切り、にんじん1/3本は短冊切り、キャベツ2枚はざく切り、ピーマン1個は細切り、ソーセージ2本は斜め切りにする。
【3】ウスターソース・だし汁各大さじ2と2/3、カレールウ15gを混ぜ溶かす。
【4】フライパンにサラダ油大さじ1と1/3を熱し、水切りした【1】を入れ、中火で2分ほど焼く。片面に焦げ目がついたら一度取り出す。
【5】フライパンにサラダ油大さじ1を熱し、すりおろしにんにく・すりおろししょうが各小さじ2、【2】、揚げなす(冷凍)10個を入れ、中火で炒める。全体に油が回ったら【4】を入れ、【3】を全体に回しかけ、ウスターソース大さじ1と1/3を加え、水分が飛ぶまで炒める。
【6】器に盛り、福神漬け・青のり各適量をのせる。
《この麺がおすすめ!》

直径約2mmの自家製麺の代わりに、つけ麺用の極太麺を。
◆焼きそばのまるしょう 本郷三丁目店

住所:東京都文京区本郷3-42-7

中華料理店に聞く【上海焼きそば】常連客の胃袋を満たす愛され焼きそば
2代目の小島一幸さんは「お客さんのリクエストで焼きそばを始めたところ、あっという間に種類が増えていきました」と笑う。いまや焼きそばだけで16種類も! 今回は町中華の王道“上海焼きそば”を教えてもらった。

【上海焼きそば】UP DATE

豚肉に卵や酒で下味をつけてから焼くことで、旨みをギュッと凝縮。

酒を煮詰めながら具材を炒めた後、麺を投入し、酒の旨みを吸わせる。
《作り方》(2人分)
【1】溶き卵1/2個、片栗粉大さじ1、酒小さじ1/2、塩ひとつまみを混ぜる。食べやすい大きさに切った豚肩ロース肉150gを入れて混ぜ、下味をつける。
【2】ピーマン1/2個・にんじん1/4本・キャベツ1/4個は細切りにする。
【3】フライパンにサラダ油大さじ1を熱し、中華蒸し麺2玉を中火で2分ほど焼いて取り出し、油を切る。
【4】【1】を入れて炒め、豚肉の色が変わったら、【2】、もやし200gを入れ、しょうゆ小さじ1/2、塩ひとつまみを加えて炒める。
【5】野菜に軽く火が通ったら、酒大さじ2、しょうゆ大さじ1、鶏がらスープの素(顆粒)小さじ1/2を加えて軽く炒め、【3】を入れる。こしょう少量を振り、汁気が飛ぶまで全体を炒め合わせる。
《この麺がおすすめ!》

店では生麺をゆで、蒸してから使う。家庭では中華蒸し麺でOK。

◆梅林

住所:東京都品川区東五反田1-24-1

ロメスパ専門店に聞く【ナポリタン】行列のロメスパ店が考案。人気パスタを焼きそばに
ゆでたパスタを炒めて作る“ロメスパ”は、日本独自の料理。村瀬敬明さんは「ナポリタンも焼きそばも炒めるので、実はよく似ています。麺を中華麺に替えるだけなので、失敗なくおいしく作れますよ」と、新感覚の一皿に挑戦!

【ナポリタン焼きそば】UP DATE

めんつゆを鍋肌に直接当て、焦がした風味を加えるのがポイント。

ケチャップの濃厚な味が中華麺によく絡み、意外なおいしさ発見!
《作り方》(2人分)
【1】玉ねぎ1/2個・エリンギ1/2本は薄切り、小松菜1株はざく切り、ベーコン40gは1cm幅に切る。
【2】ケチャップ80g、塩・砂糖各小さじ1を混ぜる。
【3】フライパンにサラダ油大さじ1を熱し、【1】を入れて強火で炒める。全体に油がなじんだら端に寄せ、空いたところにめんつゆ(ストレート)大さじ1を入れ、軽く焦がしたら中華蒸し麺2玉を入れる。【2】を加え、1分ほど炒める。
《この麺がおすすめ!》

パスタはゆでる必要があるが、中華蒸し麺ならすぐに調理できる。

◆ロメスパ専門店ボーノボーノ

住所:東京都千代田区大手町2-5-16

撮影/玉井幹郎、キッチンミノル、田中宏幸 取材・文/岸綾香
※女性セブン2025年10月30日号