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《独占》劇団四季『ライオンキング』チーター以上にチーターになりきる方法と人生を変えた小道具スタッフのリアル体験ルポ 

動画はもちろん、動物園でチーターの観察も

──チーターのしなやかさ、滑らかな動きにはどんなポイントが?

稲葉:たとえば歩くとき、ただ脚をパタパタ前へ出すだけでは軽さを感じてしまうんですが、肘からしなるように動かすことで重みを感じられるんです。伸びをするときは肘を少しだけ落としたり、反るときは一瞬沈む踏み込みを入れたりすることで、しなやかな動きに見えるんです。

ただ、前脚を支えている腕を意識しすぎると頭がゆるんだり、想像と実際の動きが一致しなかったりで、とにかく鏡の前でトライ&エラーの繰り返しでしたね。納得いく動きができるまで1年はかかりました。

──先輩の演技や本物のチーターの動きなど、研究はされたんですか?

稲葉:はい、先に出演されていたかたや海外公演など、ほかのチーター役のかたがたの演技もたくさん見ました。ですが、まねするだけでは自分ではなくなってしまうので、自分がやるにはどうすべきかというのは結構悩み、いろいろ研究しました。

たとえば動物園に行って観察もしましたし、ネイチャー系のドキュメンタリー番組を繰り返し見て研究しました。チーターではないですが、猫を飼っている友人から動画を送ってもらったりして、とにかく動物の動きを見て覚えるようにしました。

ポイントは、動物をただ模倣するだけではないということ。先輩から“チーターはセクシーでミステリアス”とアドバイスを受けて、最初は「ミステリアスってどんな感じなんだろう?」と思ったのですが、感情を表に出すのではなく、ミステリアスな表情の下で、さまざまな感情を乗せていく。そこからやっと新しい、自分のチーターに出会えた気がします。

──ではいちばん好きなチーターの動きはありますか?

稲葉:いっぱいありますよ(笑い)! それこそ最初出てきてすぐ“のび〜”ってするところに苦戦していたので、できるようになったときはうれしかったですね。

コツは、ぎゅーっと前脚を伸ばしつつも重心は前に寄り過ぎず、少しお尻を引いて後ろに意識を持っていくこと。基本の姿勢は前脚への意識がないと軽く見えてしまうので、その重心のかけ方を変えることでスムーズにできるようになりました。

あとは毛繕いするところも「うまくできた!」と思ったときは感激しましたし、キリン狩りのシーンも大好きです! 忍び足で進むときには生演奏のパーカションが合わせてくれるのですが、毎回、自分の足の動きに合わせて音が鳴るとゾクゾクしています。

のび〜とする動きが滑らか。このシーンのファンも少なくない(撮影/堀 勝志古)(C)Disney
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ペロペロして顔をなでなで。毛繕いのシーンはネコ科動物そのもの
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──『ライオンキング』を観た後は、動物の動きをまねしたくなります。私たちもチーターみたいに動くコツはありますか?

稲葉:本物のチーターもそうですが、チーターは歩くときに肩甲骨をすごく動かしているんです。ですから、歩くときに大きく肩と肩甲骨を回すように歩いてみてください。肩甲骨は固まりがちなので、肩こり解消にもなりますよ(笑い)。

さらに重心を少し落として、腰をひねる。何より表情をセクシーにすれば、しなやかなチーターが完成します。

肩を大きく動かしながらゆったりと歩く。目を細めて眼差しもセクシーに!
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忍び足で歩く後ろ姿もミステリアス
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