健康・医療

名医が毎朝やっている生活習慣・運動習慣「毎朝同じ時間に起きて体内時計をリセット」「朝日を浴びながらラジオ体操」

名医が毎朝やっている生活習慣・運動習慣「毎朝同じ時間に起きて体内時計をリセット」
名医が毎朝やっている生活習慣・運動習慣とは?布団から出たらカーテンを開けて、軽くストレッチをして体を目覚めさせよう(写真/PIXTA)
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厚労省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、慢性的な睡眠不足は心血管疾患や糖尿病、うつ病、認知症などのリスクを高めるという。さらに、加齢とともに充分な睡眠をとっても疲れがとれなくなる傾向に。良質な眠りのために専門家が重視しているのは目覚めの習慣だ。名医たちが実践する“生活習慣”と“運動習慣”に関する“最強の朝活”を紹介する。

ヨガをする女性
朝起きて30分後に軽い運動をすると体が目覚める(写真/PIXTA)
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【生活習慣】毎朝同じ時間に起きて体内時計をリセット

「質の高い睡眠を得るには、体内時計を正確に働かせることが重要です。そのため毎朝6時に起きて、午前0時前には眠るようにしています」

そう話すのは、久留米大学学長の内村直尚さん。

久留米大学学長の内村直尚さん
久留米大学学長の内村直尚さん
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「体内時計は脳内の視床下部にある視交叉上核という非常に小さい領域にあり、睡眠と覚醒のリズムをコントロールしています。体内時計は加齢とともに乱れやすくなり、不規則な生活をしているとさらに働きが乱れます。それをリセットするには、毎日同じ時間に起きて眠ることが重要です。

人間は起きてから14~16時間後に睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が始まり、眠気が生じるようにできています。毎日同じ時間に起きることで、眠くなる時間も一定になるのです」(内村さん)

「朝は交感神経を刺激するために41℃程度の熱めのシャワーを浴びます」(内村さん)
「朝は交感神経を刺激するために41℃程度の熱めのシャワーを浴びます」(内村さん)(写真/PIXTA)
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また、医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶さんは「休日も同じ時間に起きる工夫が必要」と説明する。

医学博士・健康科学アドバイザーの福田千晶さん
医学博士・健康科学アドバイザーの福田千晶さん
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「目覚まし時計があれば『起きられる』という安心感があるので、私は出張や旅行の際も使い慣れた目覚まし時計を持参するようにしています」(福田さん・以下同)

「朝日を浴びることも、欠かさない」と福田さんは続ける。

「私は8時間の睡眠を確保していますが、毎朝6時に起きています。これは太陽光を浴びると脳内にあるメラトニンの分泌を促すためです。朝日を浴びると、ちょうど22時頃には眠くなります」

「朝起きて、トイレに行った後すぐに体組成計に乗る」と言うのは、美容皮膚科医の柴亜伊子さんだ。

美容皮膚科医の柴亜伊子さん
美容皮膚科医の柴亜伊子さん
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「朝に体組成計に乗ることで、自分の変化がわかります。体重が1〜2kg増加したときは、生理前などのむくみがほとんど。体脂肪や内臓脂肪が増えていたら、『前日に糖質を摂りすぎたかも』などと食生活を振り返り、『食べすぎた分、今日は減らそう』などと調整しています」(柴さん・以下同)

その後、柴さんは、必ずシャワーを浴びると言う。

「熱めのシャワーを浴びることで交感神経が刺激され、体が活動的になります」

一方、内科医の近藤千種さんは「洗顔時に冷水を顔に当てている」と言う。

内科医の近藤千種さん
内科医の近藤千種さん
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「冷水で交感神経が刺激され、血管がキュッと収縮してむくみも改善。脳もシャキッとするんです」(近藤さん)

また、内科医の左藤桂子さんは「起床後に眠気がとれない場合は、二度寝をしてもOK」と言う。

内科医の左藤桂子さん
内科医の左藤桂子さん
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「とはいえ、朝目覚めたら朝日を浴びる。二度寝をするなら午前中に起きる。この2つを守っていれば、体が楽になりますよ」(左藤さん)

【運動習慣】体を動かすと、目覚めがよくなる

「朝起きて、30分後に軽い運動をすると体が目覚める」と言うのは内村さん。

「理想はラジオ体操です。毎朝6時30分からNHKでラジオ体操が放送されているので、6時に起きれば、ちょうど30分後に放送が始まり、体を目覚めさせるのにぴったりです」(内村さん・以下同)

「軽快な音楽に合わせた運動は、体を目覚めさせる効果が期待できます」(内村さん)
「軽快な音楽に合わせた運動は、体を目覚めさせる効果が期待できます」(内村さん)(写真/PIXTA)
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ラジオ体操を公園などの野外で行うのも効果的だ。

「朝日を浴びながら体を動かすことで、活動的に日中が過ごせ、夜によく眠れるようになります。できれば家族や友人などと一緒に行うことで継続しやすくなり、コミュニケーションも深まるため気持ちも安定し、眠りの質も高められます」

天候が悪いときは、「室内で運動を行うといい」と言うのは、睡眠専門医の坪田聡さんだ。

睡眠専門医の坪田聡さん
睡眠専門医の坪田聡さん
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「体を動かすと体温が上がり、目が覚めるので、起床後に部屋でストレッチを10分ほどします。

仕事中は座っていることが多いので、なるべく朝のうちに歩数を稼ごうと思い、ジョギングもしています。以前は外を走っていましたが、いまはひざに負担をかけないように家の中で15分程度軽く走るようにしています。運動習慣がない人は、簡単なストレッチや足踏みでもいいでしょう」(坪田さん)

「ジョギングやストレッチのほか、その場で足踏みするのもおすすめ」(坪田さん)
「ジョギングやストレッチのほか、その場で足踏みするのもおすすめ」(坪田さん)(写真/PIXTA)
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買い物や散歩などで歩く際は、「歩く速度を上げると夜よく眠れる」と内村さんは言う。

「『健康づくりのための睡眠ガイド2023』には、『早歩きはよい睡眠につながる』と書かれています。ふだん自分が歩いている1.5倍くらいの速さで歩くと、血行もよくなり、体温が上がるのでスッキリと目覚めます。

体力的に早歩きをするのが難しい場合は、1分間の早歩きを1日3〜5回に分けて行えば、立派な運動になります」(内村さん)

一方、柴さんは朝から掃除をして体を動かしている。

「特に朝からトイレを掃除すると、心身ともにスッキリしますよ」(柴さん)

「朝の掃除で体を動かせばスッキリして、気分よく一日をスタートできる効果が」(柴さん)
「朝の掃除で体を動かせばスッキリして、気分よく一日をスタートできる効果が」(柴さん)(写真/PIXTA)
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最強の朝活!名医たちのお目覚めルーティンまとめ

久留米大学学長睡眠専門医・内村直尚さん

・同じ時間に起きる
・朝日を浴びながら15〜20分散歩をする
・ラジオ体操をする
・朝食をとる
・朝、シャワーを浴びる

医学博士・健康科学・アドバイザー・福田千晶さん

・カーテンを開けて朝日を浴びる
・同じ時間に起きる
・出張や旅行の際もいつもの目覚まし時計を持参する
・適度な運動をする

美容皮膚科医・柴亜伊子さん

・朝、シャワーを浴びる
・全裸で体組成計に乗り、自分の体の状態を把握する
・コップ1杯の白湯を飲む
・朝用の漢方を飲む

内科医・近藤千種さん

・カーテンを開けて朝日を浴びる
・洗顔時に冷水を顔に当てる
・白湯を飲む
・何もしない時間を5分つくる

内科医・左藤桂子さん

・プロテインを飲む
・カーテンを開けて朝日を浴びる
・食事の前に軽く歯磨きをする
・午前中に眠たくなったら二度寝する

睡眠専門医・坪田聡さん

・同じ時間に起きる
・朝日を浴びる
・家の中でスロージョギングをする
・朝食に目玉焼きを食べる

取材・文/廉屋友美乃

※女性セブン2025年11月27日号