とにかく弟の負担は最小限にしたい
そうしたら先日、「おれが死んだらどうなるんだろ」と、妻に先立たれた58才の弟がボソリと呟いたのよ。「まぁ、順当にいったら姉ちゃんが先だろ。それはおれが見送るとして、おれはどうなるんだ」と。それで私は大決断したね。
とにかく弟の負担は最小限にしたい。そのためには保険の証書や家の鍵を預ける。ま、そんなことは一瞬で終わるけれど、大問題は不要品の片付けだ。不要品てか、ハッキリ言えばガラクタだよね。
ひとり暮らしのいいところは、自分がヨシと思えばなんでもヨシ。家がきちんと片付いている人はみんな一様に、「モノの置き場所を決めると散らからないよ」と言うけれど、あのさぁ。その能力が生まれながらに欠落している人がいるんだって。
使ったら使いっぱなしだから、次に使うときはモノ捜しから始まる。そのたびにイライラしたり悲しい思いをしたりして大反省。私の人生、モノ捜しにどれだけの時間を使ってきたことかしら……。あ、いかん、いかん。猿でもできる反省がまったく役に立たないと、身に染みてわかっているではないの。そんなことより、いらないものを捨てればいい。
しかし不思議だ。私はかなり大胆なことをしでかす性格なのに、モノを捨てるときはなんであんなに慎重なのか。でももう後がない。足腰がいつまでもつかも微妙だよね。最近、足の付け根が痛いし、うまく立ち上がれないときがあるの。
でもね。年の功っていうの? 最近、ちょっとだけわかったのよ。片付けは、のろのろやればいいんだって。パッパと捨てるのではなく、とろとろと手を動かす方が、結果、先に進む。
70才まであと9か月だ。70才になったらこの世の荷物を片付けて、スッキリ身軽になって、晴れやかな気持ちで生きたいもの。
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
※女性セブン2026年7月23日号