健康・医療

「自宅で最期を迎える」ための準備と費用 重要なのは自分に合ったかかりつけ医を見つけ緩和ケアの体制を整えること 自己負担はヘルパーのケアを受けても1か月で5万〜8万円

自分に合ったかかりつけ医を見つけ、体制を整えておくことが重要だ(写真/PIXTA)
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「自宅で最期を迎えたい」と願う人は少なくない。しかし、医療が発達し長寿社会の現代だからこそ「自宅で死ぬ」ことは簡単ではない。在宅医療の専門家が自宅で最期を迎えるための家族会議の開き方とコツを伝授する。【前後編の後編。前編から読む

在宅での緩和ケア体制を整えておく

 注意すべきは、家族間で意見が一致しないケースもあることだ。医療法人社団焔理事長の安井佑さんが言う。

「本人が自宅で死にたいと思っても、子供など家族が“心配だから”と、病院や施設に入ることを望むパターンは少なくありません。また“自宅で看取る自信がない”と家族が不安に思うこともあるでしょう。意思を伝えるだけでなく、どうすれば家族に負担がなく心配をかけずに自宅で最期を迎えられるかを考える必要があります」

 そのためになにより重要なのが、在宅医療のかかりつけ医を見つけ、体制を整えておくことだ。在宅医療のニーズは高まっており、在宅医療を受ける患者数は年々増加している。医療法人社団悠翔会理事長の佐々木淳さんが言う。

「日本は世界でもまれに見る在宅医療先進国です。患者さんの自宅を定期的に訪問し健康管理をするだけでなく、往診や投薬、治療、リハビリなど広範囲をカバーしており、休日や夜間にも対応しています。需要の高まりとともに在宅医療を行う医師やクリニックも増えており、医療保険と介護保険でしっかりカバーされた手厚い医療を受けることができます」(佐々木さん・以下同)

在宅医療の患者数は右肩上がり
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 さらに佐々木さんは、病院と在宅で受けられる医療は変わらないと続ける。

「人工呼吸、24時間の点滴やカテーテルの管理、輸血や抗生物質、血栓溶剤での治療、モルヒネで抑える緩和ケアなど、これらの標準治療はすべて保険でカバーされています。CTやMRIの検査は病院でしかできませんが、必要な場合は通院すれば問題ありません」

 病院や施設にとどまると食事や外出が制限されてしまうが、自宅に戻った場合に「やってはいけないこと」はないと安井さんは言う。多少のリスクがあったとしても、周囲の協力を得て、やりたいことを叶えられるがゆえに、本人も家族も思い残すことなく亡くなるケースもあるという。

「誤嚥性肺炎を繰り返していた母親を、娘さんが老人ホームから自宅に引き取ったという例がありました。行きたい場所を聞くと『浅草』とだけ答えた母親を、介護タクシーと医療者の同行で連れ出したといいます。浅草に着いたときには涙を流して喜んだそうで、食欲が落ちていたのにお好み焼きをたくさん召し上がった。

 その後も免許を取ったお孫さんがレンタカーで外出を手伝ってくれるなど、楽しくお出かけを繰り返すうちに笑顔が増えたようです。自宅に引き取ってから約1か月後、自宅で亡くなりました。『どんな最期を迎えたいか』という価値観が家族に伝わっていて、尊重してもらえたからこそ実現した幸せな例だと思います」

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