健康・医療

腸内環境は「便」でチェック!老化や病気を予防する正しい“腸活”の心得

今や、日本だけではなく世界中でブームだという“腸活”。

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女性の関心は高く、5月に開催された「WOMAN EXPO TOKYO 2018」でも、腸活をテーマにしたセッションは大盛況。そのイベントで行われた、日本橋レディースクリニック院長・野澤真木子さんによる「話題の腸活と腸内フローラについて」のセミナーから正しい腸活の心得をお届け!

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近年、腸活や腸内細菌がよく話題になるが、それは「腸内の細菌が作り出す代謝産物が、私たち人間にさまざまな影響を持ち、健康や全身性の疾患の発症に深くかかわっていることが分かってきたからなんです」と野澤さん。そんな話題の腸内細菌とは、一体どのようなもの?

腸内細菌(腸内フローラ)とは?

腸内細菌とは、腸内に生息する菌の集団で、その数は1000種類以上、100兆個以上だと推定。人それぞれに違う菌を持ち、1人あたり約1.5kgともいわれるのだとか。また、腸の壁には1億個の神経細胞があり、神経やホルモンを介して、脳と腸はお互いに影響を及ぼす。その関係は「脳腸相関」といわれ、腸内細菌が「もう一つの臓器、第2の脳」と呼ばれるゆえんだ。

腸内細菌は、以下の3つに分けられる。

【1】善玉菌(約20%)…抵抗力の調整、免疫力の維持、ホルモンの合成などの働きをする
【2】悪玉菌(約10%)…発がん物質を生成、老化を促進。一方で、外敵菌から守る役割もする(※そのため「ゼロにする必要はない」と野澤さん)
【3】日和見菌(約70%)…状況により、善玉にも悪玉にもなる“浮動票”のような菌

「これらの菌は、どちらかが多ければいいのではなく、バランスが大切。バランスが崩れてしまうと、病気を発症する可能性があります。腸内細菌が関与する疾患としては、大腸がん、糖尿病・肥満、自閉症・うつ病、動脈硬化などがあります」(野澤さん、以下「」同)

意外にも、善玉菌だけを増やせばいいのではなく、悪玉、日和見も含めた「菌の多様性」がポイントなのだとか。

腸内細菌は睡眠にも影響が!?

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そんな腸内細菌を整える食材として、まず頭に浮かぶのがヨーグルト。1908年にノーベル賞を受賞したメチニコフ博士は、ヨーグルトをよく食べるブルガリア地方に長寿者が多いことから、健康の秘訣はヨーグルトの摂取、つまり「腸内を腐敗させないことが老化の抑制につながる」との学説を唱えた。

「最近では、加齢性の変化や老化も、腸内細菌の多様性の低下が生じることで起こると広くいわれるようになっています」

また、腸内環境は睡眠にも影響を与えるとされ、(腸内環境の乱れから起こる)便秘群では、優位に不眠者が多く、途中覚醒時間が長いことも報告されているそう。

では、「正常な腸内細菌」とはどのようなものなのか?

「そこに正解はないんですよ。年齢、住む場所(国や地域)によって、菌の種類もさまざまですから。それでも唯一言えることは、『その人にとって理想的な腸内環境は、病気になりにくい環境』であり、『腸内細菌を整えること=病気の発症リスクを高めないようにコントロールすること』。これは覚えていてほしいと思います」

たった5日間の食事で腸内環境は変化

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そんな腸内細菌に影響を与える因子は、食事(特に食物繊維)などの環境要因、生活環境(睡眠・運動・ストレスなど)、飲酒、薬(抗生物質)など(※主に成人の場合)だそう。ただし、腸内環境は変動的で、たった「5日間の食事」で、腸内細菌が変化するともいわれている。

「日常の食事が重要です。腸内細菌が大好きな、以下のような食材を、日々の生活の中で摂取することを心がけてください。また、ストレスの回避やこまめに運動をすることも有効です」。

●腸内環境を整える食材
【1】食物繊維…切り干し大根、押し麦、海藻、ライムギ、おから、アーモンド
【2】オリゴ糖が豊富な食材…玉ねぎ、味噌、きなこ、ごぼう、大豆など
【3】発酵食品…漬物、ヨーグルト、納豆など

水溶性の食物繊維で腸の動きを促進!

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中でも、健康増進効果が高いとされ、「第6の栄養素」とまでいわれるのが「食物繊維」。

食物繊維は、水溶性と不溶性に分けられ、特に水溶性には、善玉菌のエサとなる物質が多いため、善玉菌が増えることで、腸の動きを促進。善玉菌が住みつきやすい環境に整えることができる。また、保水力が高いので、便のかさを増す効果もあるという。

「それほど大切な栄養素ですが、米や雑穀の摂取量の低下に伴い、食物繊維の摂取量も減っています。特に若い方の低下が顕著ですので、積極的に摂っていただきたいと思います」

そんな水溶性の食物繊維を多く含む食材は、ひじき、こんぶ、わかめ、海藻類、大麦、抹茶、青汁だそう。

自分でできる腸内環境のチェック法って?

ちなみに、自分でできる腸内環境のチェック方法が、「便を見る」こと。

「理想的な便は、『表面がなめらかで、柔らかいソーセージ状(親指程度の太さ)』で、『腹痛を伴わずいきまずに出て、色は黄色~黄褐色、練り歯磨き程度の柔らかさ』。

毎日出るのが理想ですが、腹痛などを伴わなければ、2~3日出ていなくても理想形の便が出ていれば治療の必要はありません。ただし、便秘の影には、大腸の病気が隠れていることがあるので、簡単には考えないことも重要です」

日々のちょっとした心がけで、短期間でも改善されることがある腸内環境。腸を健康にすることが、美容だけではなく、老化の防止、大腸がんなどの疾病の予防にもつながるそうなので、早速、今日から“腸活”を始めて!

取材・文/鈴木知子

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