正月は家庭で食べる料理もふだんとは違いちょっと豪華になってくるもの。これが正月太りを決定づけるという。「元日のおせち料理より2日目以降のごちそうがデブの素です。何を食べるかで正月明けのボディラインに差がつきます」とは、管理栄養士の菊池真由子さん。体重増を最小限にする正月の食べ方を菊池さんに聞いた。
太るのは元日以降の食事
「例えばすき焼き。正月だからと霜降りの上質なお肉を選びがちですが、脂肪やカロリーが一気に跳ね上がってしまいます。低カロリーの野菜をたっぷりとっていても、高脂質低たんぱくの肉を選んでしまっては台なしです。ダイエット中なら安価でたんぱく質の多い赤身の肉を選びましょう。他にも、寿司、カレー、フライドチキン…糖質や脂肪の多い太りやすい料理に要注意です」(菊池さん・以下同)
ちなみに、カレーのデメリットはご飯の量。通常のお茶碗1杯は女性140g、男性160g程度だが、ルーに合わせると軽めによそっても200gはいく。結局、ルーと合わせて300g程度になるので糖質もカロリーも摂りすぎになってしまう。
「お寿司は魚介を選べば脂質も少なく太りにくいですが、どうしてもご飯を食べすぎてしまいがち。しかも、すき焼きやカレーと違って野菜をとりづらいので栄養バランスがよくない。栄養バランスが悪いと摂取する栄養素にも偏りが生じます。体内で食べた物が効率よく代謝されるためには豊富な栄養素が必要ですが、栄養素が偏るとスムーズな代謝ができず体に溜まってしまいます。これが太る原因。お寿司を食べるときは必ず野菜料理を追加する。または、手軽な野菜ジュースでビタミンやミネラルを補給しましょう」
一方、積極的に食べていいのは鍋料理やパスタだという。
「野菜不足を補う野菜たっぷりの野菜鍋や、糖質や脂肪を分解するたんぱく質の多い魚介の寄せ鍋は痩せやすい体に整えてくれます。
一方、パスタは、パンや白米と比べて血糖値が上昇するスピード(GI値)が低いため血糖値が上がりにくい。また、食物繊維多く老廃物がスムーズに促されて太りにくい体に。ポイントは具だくさんにすること。おすすめは高たんぱくなボンゴレやシーフードで、高カロリーのカルボナーラやたんぱく質の少ないペペロンチーノはNGです」
正月になりがちな便秘、その対策は?
以上のような料理ばかり食べていると、正月は野菜不足に陥りがち。そのために起こってしまう不調も…。
「実は、この時期にひどい便秘になる人が多いんです。原因は、過食傾向にあるのに動かないこと、そして野菜不足です。体を動かさないと腸も働きませんから便もスムーズに出ない。腸に便が溜まった状態が続けば、腸内環境が悪化してますます便秘が悪化します。
野菜不足の解消には意識して野菜をとるしかないのですが、なかなか難しい場合もあります。その場合は前述した野菜ジュースがおすすめ。中でも、パッケージに“食物繊維が多い”と書かれた特保のものがいいですね。また、1日1回食物繊維が豊富なわかめスープや味噌汁を飲むのも手。インスタントでも構いませんが、選ぶならわかめの量が多めのものベター」
太らないための餅の食べ方は?
正月の定番と言えば餅。ここぞとばかりに毎日餅を食べる人も少なくない。
「米を圧縮したようなものが餅。糖質の塊ですね。1日3食とは別に食べるケースが少なくないでしょうから、1日1個以上食べるのは当然アウト。1個でも満足感を得られるのがお雑煮です。食べ方は、あらかじめ半分に切った餅を焼いてお椀に入れ汁を注ぐ。焼いた餅は膨らんでお椀一杯になりますから、見た目も満足感もアップ。余分な2個目を食べなくてすみます」
しかも、汁を飲めば腹持ちがよくなり、だしのうま味は食欲を落ち着かせてくれる。
「正月は和菓子やケーキ、お菓子類を食べる機会も多いので、あんころ餅や安倍川餅はおすすめできません。あんこやきなこ砂糖をかければ、砂糖の“重ね食べ”で糖分過剰になってしまいます。正月太りを加速させないためにも控えて。雑煮以外で食べるなら、しょうゆをつけてのりで巻いた磯部巻きに」
デブ防止には正月に食べ切ろうとしない
いずれにしても知らないうちに毎日食べすぎてしまうのが正月。
「お腹が空いてないのに、目の前に食べものがあるから食べてしまうことが常態化してしまいます。正月用に買ったりもらったりしたものでも、消費・賞味期限の長いものは正月のうちに消費する必要はありません。とり置いて先の楽しみにするのも食べすぎ防止法の1つです」
正月明け、仕事始めに鏡に映った自分に「ギョッ!」としないためにも、節度のある食事量を心がけたっぷりの野菜をとるようにしましょう。
教えてくれたのは:管理栄養士・菊池真由子さん
管理栄養士。健康運動指導士。NR・サプリメントアドバイザー。日本オンラインカウンセリング協会認定上級オンラインカウンセラー。大阪大学健康体育部(現・保健センター)、阪神タイガース、国立循環器病センター集団検診部(現・予防検診部)を経て、厚生労働省認定健康増進施設などで栄養アドバイザーを務める。ダイエットや生活習慣病の予防対策など、のべ1万人の栄養指導に携わる。その活動の集大成として刊行した、『食べても食べても太らない法』(三笠書房)が10万部超え、『図解 食べても食べても太らない法』(三笠書房)が17万部超えのベストセラーに。また、『食べれば食べるほど若くなる法』(三笠書房)が7万部を超え、8月に最新作『図解 食べれば食べるほど若くなる法』(三笠書房)が発刊。
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