深呼吸で自律神経を整える
体内で熱を生産するために筋肉量を増やすには、大きな筋肉がある太ももを鍛えると効率がいいと高尾さんは話します。
「心臓の位置から遠い足の筋肉を鍛えることで、足先まで温かい血液を届けてくれます。末端である手足に血液を巡らせるには、運動をして筋肉を動かすことが不可欠です。猛暑に無理をして外に出る必要はありませんので、室内で無理のない範囲で筋トレを試してください。体を動かす習慣がまったくない方は、寝る前にストレッチをするだけでも体質が変わりますよ」
ヨガをするのも有効
健康のあらゆる場面に関わってくる自律神経を整えたいところですが、それは容易ではないそうです。
「自律神経活動を調整しているのは脳にある視床下部ですが、ここはホルモンや自律神経のほかに免疫機能も調整しています。私たちが自分でコントロールできない働きを担っている場所です。ですから、意図的にアプローチするのが難しい。
それを踏まえて、自律神経を整えるために有効なのは深呼吸です。深い呼吸は副交感神経活動を優位にします。するとキュッと細くなっていた血管が緩んで太くなるので、温かい血液が流れやすい状態を自分で作り出すことができます。
呼吸しやすい状態を作るという意味で、ヨガもおすすめです。背中を丸めれば息が吐きやすくなり、背中を反らせれば息を吸いやすくなります」
そのほか、過度なストレスは交感神経活動を優位にし、血管を収縮させてしまうため冷えを引き起こします。特に夕方以降はリラックスできるように心がけたいですね。
◆教えてくれたのは:医学博士・高尾美穂さん
愛知県出身。イーク表参道副院長。産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。ヨガ指導者としても女性の健康を支えている。著書に『更年期に効く 美女ヂカラ』(リベラル社)、『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)など多数。https://www.mihotakao.jp/
取材・文/小山内麗香