あなたはスマートフォンを見ているとき、どんな姿勢をしているでしょうか。無意識に猫背の姿勢になっている人は多いのではないでしょうか。『スマホがあなたをブスにする 歯科医師が教える1日3分でキレイを保つ方法』(大和出版)の著書があり、鍼灸師で歯科医師でもある中城基雄さんは、「猫背の姿勢でスマホを1時間以上見続ける習慣は、さまざまな健康被害をもたらす」と警鐘を鳴らします。詳しく教えてもらいました。
猫背姿勢が口臭のもとになる理由
「私は歯科医師として口臭専門クリニックを開業していますが、口臭に悩んでこられる患者さんのほとんどは姿勢が猫背になっています」と、中城さん。
確かに、スマートフォンを使うときは、片手で持ってうつむき姿勢になる人が大半でしょう。自分ではわからなくても、他人を見れば明らかです。駅のホームや電車などでスマホを片手に操作している人には、うつむき姿勢の人が目立ちます。
「このうつむき姿勢が長時間続き、毎日の習慣になると、背中は自然と猫のように丸くなってしまいます。もちろんスマホだけでなく、パソコンを長時間見ているデスクワーカーにも言えることです。うつむいた猫背姿勢を続けていると、首の骨にストレスがかかり、いわゆる『スマホ首』という、首が前に出ている『ストレートネック』が誘発されます」(中城さん・以下同)
浅い呼吸、首こり、肩こり、手足のしびれ、便秘なども
この姿勢が続くとさまざまな健康被害が出てくると言います。
「猫背で首が前に出ている姿勢が続くと胸部が狭くなり、横隔膜も硬化。血流も滞ってくるため、誤嚥性肺炎、めまい、浅い呼吸、首こり、肩こり、片頭痛、手足のしびれ、便秘、胃もたれ、喘息症状、うつ病、認知症予備軍、内斜視といった健康被害が出てくる可能性があります。なぜかわからないけれど疲労感がある、といった不定愁訴も猫背姿勢が原因である場合もあります」
スマホ操作やデスクワークによる猫背姿勢は、健康に害があるだけでなく、スタイルにも…。
「スマホやパソコンを見るために、頭や首、肩が前に傾いた状態が続くと、首と背筋のS字カーブがなくなり、背中が丸くなります。すると、背中やお腹の肉がたるみ、バストも下がってきます。使われるべき腹筋や背筋も動かなくなるため、代謝が衰えて脂肪がつきやすくなります。
さらに、骨盤がゆがむことによって、ますますお腹の筋力が低下し、支えられなくなった内臓が下がり、下腹部がポッコリ膨らんできます。
また、猫背姿勢のまま飲食をすると、食べたものが胃へたどり着くのに時間がかかるようになるため、満腹のサインが出るのが遅くなり、食べ過ぎにもつながっていきます」
顎を“ちょい上げ”する習慣を
ここまで読んで、スッと首を引っ込め、背筋を伸ばした人もいるでしょう。もちろん背筋を伸ばすことも大切ですが、正しい姿勢は、もうワンポイントあります。
中城さんは、「顎先をちょっと上げてキープする」姿勢こそ、骨格から見た最も自然な頭の位置であり、ベストポジションだと言います。
「顎先をちょっと上げてキープするだけで、全身のバランスが弛緩した状態になり、副交感神経(リラックス神経)が優位に。そして全体のパフォーマンスがアップし、脳のキレも体のキレもグンとよくなり、若さがみなぎってくるのです」
要は、顎を引いたうつむき姿勢と、真逆の姿勢。うつむき姿勢では交感神経(ストレス神経)が優位になり、自分でも気づかないうちにストレスをため込んでしまうため、意識して顎をちょい上げするようにしましょう。