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オリンピック選手らを指導するトレーナーが指南!「動ける体」の土台を作る簡単メソッド「ふるふる」とは?

ストレッチする女性
オリンピック選手らを指導するトレーナーが指南!「動ける体」の土台を作る簡単メソッド「ふるふる」とは?(写真/イメージマート)
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運動は嫌いだけど、やせたいし、いつまでも元気に動きたい──。そんな虫のいい話が、あったんです! ストレッチや運動を頑張っても、「動ける体」の土台がないと効果を得られない。トレーナーの庄島義博さんは、その土台を作る方法がオリンピック選手も行っている「ふるふる」だ。

こり固まった体にストレッチを施すのは逆効果

庄島さんは「こり固まった体にストレッチを施すのは逆効果」と断言する。

「こりや痛みは、筋肉が固まり、それに伴う血流の滞りが原因で生じます。筋肉は縦に繊維が走っていて、ストレッチはその繊維に沿って筋肉を伸ばすもの。しなやかな筋肉の人が行う分にはほぐし効果がありますが、固まった筋肉をそのまま伸ばせば筋繊維を痛め、さらに固めてしまう」(庄島さん・以下同)

ストレッチや運動の効果を上げるには体をほぐして血流をよくすること。その対処法が「ふるふる」だ。

「筋肉を“横に揺らす”ことで、癒着した筋肉と血液の通り道にすき間を作り、血流を促します。これができて初めて、ストレッチの効果を感じられる。『ふるふる』は、いわば“動ける体”の土台作りです」

庄島さんは、運動習慣のない高齢者からミュージシャン、俳優、オリンピック選手までを幅広く指導する。

「皆さん常に忙しいため、簡単ですぐに効果が実感でき、長続きするケアを求めています。簡単じゃないと続きませんからね」

基本は「腕」「尻」「ひざ」の3か所。すべてやるときはひざ→尻→腕の順で行おう。

「夜に行うと疲れがリセットされ、翌朝元気に動けるようになりますよ」

腕・肩まわりの可動域を広げる「腕ふるふる」

「肩こりや腕が上がらないときに効果的です。骨を横に揺らすイメージで、手を左右に振ってください。肩に力が入る場合は、肩を下げると振りやすくなります。ふるふるを行う前後に、片腕ずつ真横に伸ばし、腕を後方に動かしてみましょう。ふるふる後は肩の可動域が広がり、さらに後ろまで動かせるはずです」

腕・肩まわりの可動域を広げる「腕ふるふる」
腕・肩まわりの可動域を広げる「腕ふるふる」(イラスト/あらいぴろよ)
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【1】力こぶのあたりに親指をかけ、残りの指で腕の外側(上腕二頭筋と上腕三頭筋の間あたり)をつかむ。

【2】筋肉を固定した状態で、手のひらをでんでん太鼓のように“ふるふる”と10秒揺らす。立っても座ってもOK。左右行う。

上半身のゆがみを改善「指ひっぱり」

「手は27もの骨が集まってさまざまな動きに対応しますが、スマホやパソコンの登場で、指先のみで『突く』『押す』という動きが突出して増加。それが手先のみならず、上半身のゆがみやねじれにつながっています。『指ひっぱり』で指先の緊張をほぐすと巻き肩も解消します。の『腕ふるふる』の前に行うと、より上半身がほぐれます」

上半身のゆがみを改善「指ひっぱり」
上半身のゆがみを改善「指ひっぱり」(イラスト/あらいぴろよ)
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【1】左の指の第一関節(指先の関節)を、右の親指と人差し指でつかむ。

【2】つかんだ右の親指と人差し指で、左の指の第一関節を少し伸ばすようにして軽く折り曲げる(1、2秒)。1本ずつ、左右すべての指で行う。

首や胸まわりを柔軟にする「黒目ふるふる」

「デジタル機器の多用で一点を見つめることが増えた現代人は、黒目を動かせていません。これが、首や胸まわりの硬さを招いています。『目だけを動かして』と言うと、たいていの人は顔も一緒に動いてしまうので、顔を片方の手で固定するか、動画を撮って確認しましょう。けっこうハードなので無理は厳禁です」

首や胸まわりを柔軟にする「黒目ふるふる」
首や胸まわりを柔軟にする「黒目ふるふる」(イラスト/あらいぴろよ)
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【1】右手の人差し指を顔の正面に持ってくる。顔が正面から動かないよう反対の手であごを押さえるなどして固定するとよい。

【2】指を右に動かし、両目の目線だけで指を追う。限界まで見たら指を正面に戻し、左も同様に追う。左手でも同様に行う。

腰〜背骨をほぐす「お尻ふるふる」

「首からお尻を貫く背骨は、細やかに動かしてあげないと筋肉が固まり、痛みのもとに。さらに、立っている間は背骨を揺らすことができないので、うつぶせで手軽にできるこの動きは本当におすすめ。お尻を揺らしながらも『背骨の揺れ』を意識するのがポイントです」

腰〜背骨をほぐす「お尻ふるふる」
腰〜背骨をほぐす「お尻ふるふる」(イラスト/あらいぴろよ)
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【1】うつぶせになり、両足を肩幅くらいに広げ、内股にする。

【2】顔を左に向け、お尻を10秒ふるふると揺らす。右向きで同様に10秒揺らす。

股関節を緩める「ひざふるふる」

「太ももをシェイクするように振ると、ふくらはぎも一緒に揺れていきます。足が滑る場合は靴下を脱いで行うこと。これをすると、股関節まわりの動きがスムーズになります」

股関節を緩める「ひざふるふる」
股関節を緩める「ひざふるふる」(イラスト/あらいぴろよ)
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【1】仰向けになり、足は少し開いてひざを直角に立てる。

【2】太ももとふくらはぎを10秒小刻みに揺らす。

◆コンディショニングトレーナー・庄島義博さん

コンディショニングトレーナー。身体調整メソッド「ボディプリパレーション」を考案し、一流アスリートや歌手、俳優などのパフォーマンス向上をサポートする。著書に『朝起きてすぐに動きたくなる体』(サンマーク出版)。https://body-p.com/

取材・文/佐藤有栄

※女性セブン2025年4月17日号