自粛生活で多くの人が陥った“コロナ太り”。一方、自粛生活中にファスティング(断食)をしたことでやせたという声も。
今、「空腹の利点」に注目する専門家は少なくない。空腹感は血糖値が下がると脳が感知するが、空腹を感じても食べずにいると、脂肪を燃やして体脂肪を減らすことができるのだという。こうした利点を引き出すコツは? ダイエットのカギを握る“空腹”との闘い方について、さまざまな分野の専門家に聞いた。
空腹のときのおやつ、いつ食べる?何を食べる?
何も口にせず、耐えることに限界を感じたら「ガムやするめ、おしゃぶり昆布、ナッツ類など、長く噛むことができ、満腹中枢を刺激できる硬いものがおすすめです」と、桜美林大学リベラルアーツ学群教授で臨床発達心理士の山口創さんは言う。
「食べる際、たとえばナッツ類なら、人差し指と親指で作った輪の中に入る個数までにとどめること」とは、美容情報サイト『キレイナビ』を運営する美容家でダイエットインストラクターの飯塚美香さん。
カシューナッツやくるみなど粒の大きいものは、数を絞って食べるのがコツだ。
「また、フルーツを食べる場合は、バナナはカロリーが高いので午前中に、午後のおやつタイムには、すいかやいちごがおすすめです」(飯塚さん・以下同)
すいかはほとんどが水分で、いちごは血糖値上昇を抑える働きがあり、低カロリーだ。
◆果物と一緒に無糖で無脂肪のヨーグルトを
「これらの果物と無糖で無脂肪のヨーグルトを一緒に食べるのがベストです。また、ゆでた鶏のささみやサラダチキンもいいですよ。容器に入れて持ち歩き、お腹がすいたらひと口食べると空腹感は落ちつきます」
フードコンサルタントの小倉朋子さんは、炭酸水や白湯を飲むことでも空腹は抑えられると言う。
「炭酸水は、お腹の中に炭酸ガスが充満するので満腹感があり、温かい白湯は空腹にも優しい。私は食事前にも愛飲しており、食べすぎ防止に役立てています」(小倉さん)
太りにくい体質になる効果的な“やせ癖”のつけ方は?
今後も続く在宅ワークの際に「やせ癖をつけるのも重要」と、アスレティックトレーナーの西村典子さんは言う。
「たとえば、お菓子を食べたらスクワットを10回するなど、食べることと運動をセットにするといいですね。また、家で仕事をする場合は、座っている時間が長くなりがちなので、最低でも30分~1時間に1回は立ち上がり、全身運動をする。筋肉体操やラジオ体操、ストレッチもいいですよ」(西村さん)
運動以外に、立ち仕事をするのも効果的。表のように、家事やペットの世話、子供と遊ぶだけでも、体を充分に動かしていることがわかる。
◆在宅ワークで”部屋着のまま”はNG
さらに前出の飯塚さんは、「美意識を持って緊張感を保つことも重要」と語る。
「在宅ワークでは、人の目がないため、パジャマやTシャツ、短パンなど部屋着のまま仕事をしがちですが、会社にいるときと同じようにキチッとメイクをし、服を着替えて緊張感を持つことも大切です。ダイエットとは関係ないと思われるかもしれませんが、美意識を持って過ごすことは、ダイエット効果にもつながるのです」(飯塚さん)
自分の姿を常に意識するために、部屋の中に、位置を変えて鏡を3つ設置すると、自分の気持ちをキープすることができるそう。自分に厳しく現実を見つめることで、やせ癖も自然とつくのかも。
最後に前出の専門家にそれぞれ、空腹との闘い方を聞いた。
お腹のすき具合をチェックし、夜は早めに寝ておデブを回避
■管理栄養士・睡眠改善インストラクター/篠原絵里佳さん
食と睡眠の観点から健康と美容にアプローチする「睡食健美」を提唱。テレビや講習会でも活躍。
「一説によると、お腹がすいたと感じるのは3~4分間のみ。それを乗り越えれば平気になるので、その間、何か違うことをやったり、考えたりしているうちに、気が紛れて、お腹がすいていることも忘れられます。
また、本当に空腹なのかどうかを見極めることも大切です。もしかしたら、気のせいかもしれませんし、口さみしい、手持ちぶさたなどの理由で、何となく食べたくなる癖かもしれません。
もう1つ注意したいのが、睡眠時間です。起きている時間が長くなると、それだけエネルギーが必要になるため、食欲が出てしまいます。これは、睡眠不足になるとグレリンという食欲増進ホルモンの分泌が増えて、逆にレプチンという食欲を抑えるホルモンの分泌が低下してしまうためです。
睡眠中に脂肪を分解する働きや、代謝を促進する働きのある成長ホルモンが分泌されるので、徹夜をしたり、遅くまで起きていると、そのホルモンの分泌量が減って、何も食べなくても太りやすくなってしまうのです。
理想的なのは、ちょっとお腹がすいていると感じるくらいの状態で眠ること。これで眠りの質もよくなり、次の日の朝ご飯もおいしく食べられます。食欲を抑えたかったら、早く寝るのがいちばんです」
おいしく食べるためにも“食べたら動く”を習慣に
■アスレティックトレーナー/西村典子さん
スポーツ現場で活動しながら、運動指導、スポーツ障害予防、トレーニング等の講習会、執筆を行っている。
「コロナ自粛の影響で、活動量が減っているのに、いつもと同じ量の食事を摂っているから体重が増えてしまう」
そう、西村さんは語る。
「人間の体は、活動不足の状態が2週間以上続くと筋力の低下が目立ちはじめ、2~3か月続くとスタミナまで落ちてしまう。そうならないためにも、1日に20~30分は体を動かすようにしたいところです。でも、楽しみがないと続かないので、私は、おいしいものを食べるために運動をしています」(西村さん・以下同)
運動をする際、大切なことは、空腹は避け、何か食べてから行うことだ。
「たとえば、バナナなどの果物や、甘い飲み物など、少しでもお腹に入れてから運動をするのがいいですね。糖質を摂ったら、運動でその分を消費すればいいですし、カフェインを運動前に摂ると体脂肪が燃えやすくなります。特に、これからの季節は、何も食べないで運動をすると、熱中症のリスクが高まるので注意しましょう」
※女性セブン2020年6月25日号
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